本日と明日は画廊はお休みですが、亭主はこのところイベントで忙しい。
お問合せなどへのお返事が遅れてしまい、申し訳ありません。
本日も仕事です。
先日、ある打ち上げで中野にあるアラビア・トルコ料理に店に行きました。私たちがお世話になった方を偲びながらの建築関係者との会食だったのですが、美味しい料理とワインで満腹に。
夜も遅くなったので、植田実先生を途中までお送りするつもりでJRに乗りました。因みに植田先生は亭主より一回りも年長です。
車内は適当に混んでいたのですが、ちょんちょんと肩をたたかれた。可愛いお嬢さんが「席をどうぞ」と言うではないか。
一緒に立っていた植田先生にではなく、この亭主にです!
植田先生のにんまりした顔・・・・・
ああ、オレはそんなに老いぼれて見えるのかとショックでありました。

昔、美術展の仕事で広島のある都市を訪ねたことがあります。
数日滞在したのですが、迎えてくれた市の方が、瀬戸内のある島の観光を薦めてくださった。
風光明媚なその小さな島には町が二つあり、それぞれが立派な町立美術館を持っていらっしゃる。
私たちがタクシーで乗り付けて入館すると、館のスタッフが慌てて全館の照明のスイッチを入れてまわった。
普段はめったに人も訪れないので、経費節約のために照明はいつもは消していたのでした。
ちょっと物悲しい気分になりました。

ある時期、日本中が美術館建設に驀進したのはなんだったのでしょうか。
県立はもちろん、市立、町立、村立、私立まで数多くの美術館が雨後の筍のようにつくられました。
その多くがいま予算縮小で苦戦している。
当然、美術業界の私達もその余波をうけあえいでいます。

おもいっきり不便な場所に「よくもまあ、こういうところに作っちゃったよなあ」と思う美術館の中には、それでもスタッフたちの涙ぐましい努力で頑張っているところもたくさんあります。
小さくて、交通が不便で、それでもちゃんとしたポリシーを打ちたて、素晴らしいコレクションを持ち、輝いている東北の美術館を二つ、ご紹介しましょう。
いえ、基準なんかなく、亭主が単に好きな美術館というのに過ぎませんが・・・・

岩手町立石神の丘美術館
いわて銀河鉄道「いわて沼宮内駅」を下車しても駅周辺は閑散としている。ちょっとさびしい、すたこら歩いて10分くらいの丘に上にある美術館。
亭主は日本中の美術館を歩いていますが、入館料100円というのは旭川の中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館くらいしか思い出せない。
20120330_2549107_t石神の丘2lavender石神の丘

建物は小さいのですが、丘全体が彫刻美術館になっており、四季折々の自然の美しさは抜群です。
約4000m2の丘の斜面には2万株のラベンダーが植えられています。
長谷川誠展
長谷川誠展『白い森の足跡』
岩手町立石神の丘美術館
会期:2012年4月28日~6月10日

特筆すべきは野外彫刻と現代美術という基本理念を当初から確立し、今回のような地元で(決してローカルな意味でなく)活躍しているアーティストの個展を開催し続けていることです。
亭主が思い出すだけでも、村上善男展、柵山龍司展、戸村茂樹展、百瀬寿展などなど。そのたびに基本資料となる立派な図録も刊行しています。
ホームページもコンテンツ豊富で楽しめます。

CCGA現代グラフィックアートセンター
福島県須賀川市のこれまた不便極まりない場所にあるのですが、石神の丘美術館と違って、経営母体が大日本印刷で、同社の宇津峰カントリークラブ入り口にある優雅な雰囲気の版画専門の美術館です。
須賀川駅からだとタクシーで約20分もかかりタクシー代もたいへんですが、さすが大企業、電話で予約すれば送迎車を用意してくれますので、時間さえ気にしなければ緑豊かな敷地の中に建つ瀟洒な美術館でお茶でもいただきながらのんびりできます。
ただし送迎車の手配はJR水郡線小塩江駅というこれまた不便な駅からですのでご注意。
about_main_img郡山CCGA

美術館を持つ企業は少なくありませんが、このCCGA現代グラフィックアートセンターは、1995年に開館、アメリカ現代美術史を語る上で欠かせない版画工房タイラーグラフィックスで制作された版画作品の大コレクションが中核です。
田中一光など日本の現代グラフィックデザインの秀作コレクションも有名です。
20120503_after3111_600px20120503_after3112_600px

「日本ポルトガル交流
版で発信する作家たち: after 3.11」展

会期:2012年03月01日(木)~2012年06月03日(日)

同館HPから以下引用します。

2002年から10年間にわたって毎年「版で発信する作家たち」展を組織してきた福島県の版画家たちと、2006年から彼らと交流をつづけてきたポルトガルの版画家たちによるグループ展を開催します。2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれにつづく福島第一原発の事故は、私たち現代人に社会や文明のあるべき姿を再考させるきっかけになりました。同時にそれは、福島に生きる版画家たちにとっても自らの創作活動の意味や目的の問い直しを迫られる出来事でした。本展では震災後に制作された新作も展示し、困難な状況にあっても版に向き合いつづけてきた福島の版画家たちの姿をご覧いただきます。あの日から1年が過ぎようとしているいま、福島は少しずつではありますが着実に復興へと歩み出しています。本展がそうした歩みを後押しする力となることを願ってやみません。
----------------------------------------
ときの忘れもののコレクションから戸村茂樹、百瀬寿の作品をご紹介します。
晩夏IV_600
戸村茂樹
「晩夏IV」
インク・紙
19.0x13.5cm
サインあり


10_Square_lame-O_to_G_by_Y
百瀬寿
"Square lame' - O to G by Y"
2001
30.5×30.5cm
Ed.100 サインあり

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから