一昨日、高円寺でバーをやっているという若い方が来廊された。
いきなり「綿貫さん、アガツマですよね」
亭主「はあそうですが」
客「ボクもアガツマです。ブログでいろいろ見ていたら、綿貫さんがアガツマ出身と知り、どういう方かと思って尋ねてきました」。
聞けば同郷の人を訪ね歩くのが趣味らしい。

うz-む、そういう理由で来る客もいるのか。
確かに亭主は群馬県吾妻郡中之条町(小渕恵三さんの故郷)のさらに山奥の名久田村で生まれ、3歳だかで草津町に移り幼稚園時代を過ごし、小学校からは隣の嬬恋村で育ちました。
生粋の山育ちであります。
煌く大都会・高崎の高校に入学したのは1961年、入学して直ぐに買わされたのが白と紺のラグビージャージ。
ときの校長・田中悦平先生がイギリスのハイスクールを視察したおりラグビーコートが何面もあるのに感銘を受け我が高々(タカタカ)の校技となった。
昼休みはもちろん、休講のあった時間には校庭の奪い合いで、ヒマさえあればラグビーに興じていた。
我が母校のスポーツ好きについては山際淳司さんの「スローカーブを、もう一球」に関連して書きましたが、まあ受験校ですので、そう強いわけではない(むしろ弱い)。でもときどき旋風を巻き起こす。
ラグビーで教わったルールは単純明快、ボールを持った人間が常に先頭を走ること。
だからパスは前には出せない。
パス、パント、正面突破などと様々なプレーを展開して敵陣深くなだれこんでゴールを目指す。
プレーの組み立てはスタンドオフ(10番)と呼ばれるポジションが担う、別名司令塔。
一瞬のうちに受け取ったボールをどうするか(蹴るか、パスするか、自分で持って前に突進するか)判断する俊敏性が求められる。
(もっとも今ではスタンドオフとは言わず、「フライハーフ」というそうだ)
ラグビーにおいてはこのスタンドオフに優秀な人材がいるかどうかで勝負が決まる。

前置きが長くなりました。
いまときの忘れものは全体の流れを把握して各ポジションに的確な指示を出す司令塔が長期休暇中でして、社長も亭主もそのあおりをくって四苦八苦しております。
いえ留守を預かるスタッフもとても良くやってくれているのですが、なにせキャリアが違う。

亭主は実務のほとんどを丸投げしていたので、その反動は辛い。
書類一つつくるのでも、オレはこんなにのろかったのかと溜め息ばかり。
昨夕も植田実先生が来廊されたのですが、何となくつまらなそうでさっさと帰ろうとする、慌ててお引止めして久しぶりの青山長寿庵へ。先生ご贔屓の山口の地酒「獺祭(だっさい)」でご機嫌をなおしてもらいました。
いなくなって知る孝行娘のありがたさ。

ただいま開催中の「アンリ・カルティエ=ブレッソンとロベール・ドアノー展」、遠方からのお客様も少なくありません、昨日も愛知と兵庫から来廊あり。ありがたいことです。
一方で来週25日(月)から始まる2012年のビッグイベント「宮脇愛子展>」(出品リストやっとアップしました)」と、7月7日8日に開催される「ART OSAKA 2012」の出展準備が重なり、作業が狭い画廊で繰りひろげられており、来廊者の皆さんには随分とご迷惑をおかけしています。どうぞお許しください。

先日はアンリ・カルティエ=ブレッソンの出品作品をご紹介しましたが、本日はロベール・ドアノーの作品をご紹介します。
いずれも大きなドアノー展には必ず出品されるような代表作ばかり(エヘン)、自画自賛の展覧会であります。
doisneau_05_La-stricte-intimiteロベール・ドアノー
「La stricte intimite 厳粛な関係」
1945(Printed in 1977)
Gelatin silver print
Image size: 37.5x34.0cm
Sheet size: 44.0x40.0cm

doisneau_06_Un-regard-obliqueロベール・ドアノー
「Un regard oblique 斜めの視線」
1948(Printed in 1978)
Gelatin silver print
Image size: 33.5x37.7cm
Sheet size: 50.7x60.8cm

doisneau_07_Les-cantinieres-be-la-foiロベール・ドアノー
「Les cantinieres be la foi」
1950(Printed in 1977)
Gelatin silver print
Image size: 24.0x27.2cm
Sheet size: 30.5x40.5cm
Signed

doisneau_08_Monsieur-nollan-chez-luiロベール・ドアノー
「Monsieur nollan chez lui」
1950(Printed in 1977)
Gelatin silver print
Image size: 30.5x25.0cm
Sheet size: 40.3x30.7cm
Signed

doisneau_09_LEnferロベール・ドアノー
「L'Enfer 地獄」
1952
Gelatin silver print
Image size: 34.7x24.5cm
Sheet size: 40.0x30.0cm
Signed

doisneau_10_Creature-de-reveロベール・ドアノー
「Creature de reve 夢の想像物」
1952
Gelatin silver print
Image size: 38.5x32.5cm
Sheet size: 60.5x50.5cm

doisneau_11_La-palme-de-Picassoロベール・ドアノー
「La palme de Picasso」
1952(Printed in 1977)
Gelatin silver print
Image size: 22.3x34.0cm
Sheet size: 30.5x40.3cm
Signed

doisneau_12_Le-ptit-balconロベール・ドアノー
「Le ptit balcon かわいいバルコニー」
1953
Gelatin silver print
Image size: 24.0x34.5cm
Sheet size: 30.3x40.5cm
Signed

doisneau_13_Les-bouchers-melomanesロベール・ドアノー
「Les bouchers melomanes 音楽狂の肉屋」
1953
Gelatin silver print
Image size: 29.5x40.0cm
Sheet size: 40.0x50.5cm

doisneau_14_Jacques-prevertロベール・ドアノー
「Jacques prevert ジャック・プレヴェールのいる街角」
1955
Gelatin silver print
Image size: 29.0x23.2cm
Sheet size: 40.3x30.5cm

doisneau_15_Les-enfants-de-la-place-Hebertロベール・ドアノー
「Les enfants de la place Hebert エベール広場の子供達」
1957
Gelatin silver print
Image size: 29.8x24.0cm
Sheet size: 40.5x30.2cm
Signed

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ロベール・ドアノー Robert DOISNEAU(1912-1994)
1912年フランス、パリ郊外のジョンティイ生まれ。印刷会社でリトグラフの仕事を経験後、1931年写真家に転向。1934年ルノー自動車で広告、工業写真家として勤務し、1939年に独立するが、すぐに召集を受ける。パリ陥落後はレジスタンス活動に加わる。戦後は1946年にラフォ通信社に参加し、フリー写真家として「パリ・マッチ」などのフォトジャーナリズム分野で活躍。一方、1948年から1952年まではファッション誌の「ヴォーグ」の仕事も行う。
パリの庶民生活をエスプリを持って撮影し、もっともフランス的な写真家として根強い人気がある。1947年にコダック賞、1956年にニエペス賞を受賞。また、シカゴ美術館(1960年)、フランス国立図書館(1968年)、ジョージ・イーストマン・ハウス(1972年)をはじめ世界中の主要美術館で回顧展が開催される。1994年、歿。

◆ときの忘れものは、2012年6月15日[金]―6月23日[土]「アンリ・カルティエ=ブレッソンとロベール・ドアノー写真展展」を開催しています(会期中無休)。
案内用カード_m20世紀のフランスを代表する2人の作品22点を展示し、同時代を生きた写真家のそれぞれのまなざしをご覧いただきます。