猛暑はまだ続いていますが、さすがに9月の声を聞くと空も秋の色。
振り返ると、福井、高崎、名古屋、盛岡、軽井沢など東京から出かけることの多い夏ではありました。

●某月某日
師匠・MORIOKA第一画廊の上田浩司さんを訪ねて盛岡に行ってきました。
盛岡第一画廊20120822
上田さんが最も敬愛するのが松本竣介
コレクションとともに、秘蔵の1941年(昭和16)5月の「舟越保武・松本俊介二人展」のポスターを見せていただきました。
会場は盛岡の老舗デパート川徳のギャラリー。
「俊」の字に注目。
俊介が「竣介」になるのは1944年(昭和19)です。
亭主も親炙した舟越保武先生は略歴に必ず竣介との二人展を入れることを指示されました。
ときの忘れものは、12月に松本竣介展を開催します。

盛岡菜園子
現代美術を扱うギャラリー菜園子にて。
菅木志雄(左)と二村裕子(右)の作品が常設展示。

盛岡菜園子カフェ
ギャラリー菜園子は巨大な蔵の一階にあり、二階は<喫茶 一茶寮>になっています。
オーナーの村井さんは南部藩の豪商だった村井家の末裔で、多摩美で斎藤義重教室に学んだ方です。

中村アトリエ
ときの忘れもの長年の顧客、建築家の中村さんの事務所で。
震災復興の仕事で多忙な毎日を送る中村さんは磯崎新先生の版画のほとんどをコレクションされています。

●某月某日
先般の個展の御礼とご報告に軽井沢に宮脇愛子先生を訪ねました。
軽井沢20120830宮脇
長いつきあいの植田実さんと談笑する宮脇愛子先生。
右上に見えるのは辻邦生先生の別荘(磯崎新設計の名建築です)。

軽井沢20120830宮脇アトリエ
ドローイングやプロジェクトの模型がならぶ宮脇先生のアトリエ。

●某月某日
かつて亭主の同僚だった吉川盛一さん(編集者、農学博士でもあります)の招待で暑気払い。画廊を出た途端にブログで「瀧口修造の箱舟」の連載を開始した土渕信彦さんとばったり。お誘いして都内某所のバーに向かいました(撮影は土渕さん)。
バーS20120905
アーチ状の柱が並ぶクラシックな建物と鬱蒼とした樹木の間を縫って広大な敷地を歩いて行くと、忽然と現れる木造のモダン建築。

嗚呼玉杯に花うけて・・・・・向ヶ丘にそそりたつ

その向ヶ丘寮のあったところに木の香りに満ちた格調高いバーがあるなんて、トーダイ下暗し、驚きました。
酒良し、つまみ良し、値段はめちゃ安。
絶対ひとには教えたくない穴場(と言いながらこうやって紹介しているんだから世話ないですね)。
こういう店を見つけてくるのが吉川さんの特技。因みに編集者としての吉川さんと亭主の会心作は「銀座モダンと都市意匠」で、監修は植田実先生と藤森照信先生。

ところで植田先生、美味しい酒に酔ったか爆弾発言。
ここのところ寝ても覚めても竣介の絵が頭を離れず、仕事が手につかない。よって今月の連載は休載する」。
本業の建築関係の仕事の締め切りや秋の大学の授業の準備も手につかないほどの重篤の竣介病になってしまったらしい。
そんなわけで 「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」」は一回お休みさせていただきます。そのかわり9月15日は「美術展のおこぼれ」第37回を掲載しますのでお楽しみに。