現在開催中の「7月の画廊コレクション～ドローイング展」より、大宮政郎「北異の無有空感」をご紹介します。

大宮政郎
《北異の無有空感》
2013年
鉛筆、色鉛筆、紙
109.8x151.5cm
サインあり


この作品は、本展出品作品の中で一番大きなサイズです。
画面から溢れ出るエネルギーに圧倒され、絵を見ているとそのまま吸い込まれてしまうかのようです。中央の白い塊は、異次元の空間を浮遊する魂のようにも思えます。

1930年、岩手県水沢（現・奥州市）に生まれた大宮政郎。1960年代初めに盛岡で結成した前衛的芸術グループ「集団N39」の中心メンバーとして活躍しました。

1968年、モスクワに向かう機内で、数時間にわたって沈まない夕焼けを眺めた大宮にひとつのインスピレーションが浮かびます。
「人が動きながら、又は移動しながら自らスピードをもって物を見、考えたなら、芸術はどの様に変わるか…」
このひらめきによって「移動的視点による新たな美術活動」としての「人動説アート」を展開します。速度が高まれば物体や空間は短縮し質量が増大するという特殊相対性理論と、現代社会の加速する時空とを相乗的に解釈したのです。「人動説」は深化を続け、ドローイング、立体、版画、写真など多彩な表現を通じて実験と思索を繰り返し、独自の視点で現代美術に取り組んでいます。

2013年7月4日
ときの忘れものを訪れた
大宮政郎先生と奥様

大宮先生の活動意欲や好奇心は83歳を迎える今も衰えることなく、むしろますますエネルギーを加速させているかのようです。芸術家とは斯くあるべきという姿を目の当たりにしました。

展示風景


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■大宮政郎　Masao OMIYA（1930-）
1930年岩手県生まれ。1948年に岩手美術研究所入所し、翌49年岩手県立美術工芸学校油画科に入学。1960年に「岩手美術家会議」を結成、議長となり、63年から69年にかけて盛岡で結成した先鋭的な美術グループ「集団N39」の中心メンバーとして前衛美術を地方から発信し続けた。作品は絵画から版画、オブジェなど多岐にわたり、80歳を迎えても尚、好奇心と制作意欲が衰えることなく作家人生を邁進している。

◆ときの忘れものは、2013年7月10日（水）～7月18日（木）「7月の画廊コレクション～ドローイング展」を開催しています。（＊日曜・月曜休廊）
短い会期で、7月14日・15日は休廊ですのでご注意ください。

若林奮、大宮政郎、小野隆生、松本竣介、蛯名優子、O Jun、舟越直木、二木直巳、辰野登恵子