スタッフSの「百瀬恒彦展」百瀬恒彦さんと森友嵐士さんによるギャラリートーク・レポート
忘れぬ頃にこんにちわ、スタッフSこと新澤です。
どうも最近お目汚しの機会が増えていますが、今回もお時間があるようでしたらお付き合いください。
ときの忘れもので今週末の12日まで開催されている「百瀬恒彦写真展―無色有情」。先週の金曜日には今回の出展作家である百瀬恒彦さんと、シンガーソングライターでラジオパーソナリティでもある森友嵐士さんによるギャラリートークを開催いたしました。
左:百瀬恒彦さん
右:森友嵐士さん
百瀬さんの駄洒落から和やかに始まったギャラリートークですが、まず話題に上がったのは、どうやってお二人が知り合ったのか。写真家とシンガーということで、自分はてっきり百瀬さんが森友さんを撮影でもしたのがきっかけなのかな、等と思っていたのですが、実際には逆で百瀬さんの写真集「マザー・テレサ 祈り」に森友さんが興味を持ち、百瀬さんに自分のラジオ番組に出演を依頼したのが始まりなのだとか。
《作品》
1995年撮影
和紙にプリント
58.0×39.0cm
Ed.1
サインあり
森友さんも話題にしましたが、自分もマザー・テレサには漠然と優しく穏やかなイメージを持っていました。ですが、百瀬さんの作品を通して見えたのは遥かに硬質で、強い意志を感じるイメージでした。
お二人が森友さんの番組で語ったという、娘さんを助けるために始まり意外なオチが付いた百瀬さんのピアスの話題から二転三転、流石はプロと感心しきりな軽妙さで森友さんは話題をナビゲートしてくださり、様々なお話を楽しく聞くことができました。例えば百瀬さんは世界各地に出向かれていますが、あれは明確に何かを撮ろうと決めて向かうのではなく、撮ろうと思える機会に出会うためであること。自分の作品は自分で現像しており、カラー現像は取り扱いが手間なのでモノクロに注力した結果、個性を発揮するために和紙に現像するスタイルに至ったこと。デジタルはお手軽かつ便利で、明るい空間で暗室と同じ作業ができるのはスゴイが、やはり暗室で一枚のネガから無数のプリントを生み出す楽しさや得られる作品の質感は比較できないということ等々。
お茶目な発言で聴衆を笑わせる百瀬さんの声はハキハキと喋る森友さんとは対照的に終始穏やかで丸みがあり、なるほどこんな百瀬さんだから被写体となった人々も自然な表情を見せられるのかと勝手に納得。
今回の展覧会のタイトルにもなっている写真集「無色有情」は、1990年に百瀬さんが詩人の谷川俊太郎さんと旅行したモロッコの古都、フェズが舞台。既に四半世紀近くの時が流れ、先進国である日本などの暮らしぶりは当時から大きく変化しました。ですが、この石に囲まれた世界は今もきっとあの時の姿のままなのだろうと思わせる、利便性を得た代わりに自分たちは失くしてしまった何かを感じさせる作品たちです。
他にも「入れ墨」を題材にしたシリーズで、より被写体を理解するために自らも入れ墨を入れた結果(悪戯彫りという小さなものらしいです。軽い気持ちでお願いして、出来上がりを聞いたら背中の上から腰まで届く大作になりそうだったので、慌てて止めてもらったとか)、彫り師とそのお客に共感を持って受け入れられたり、撮影した作品のモデルが発砲事件の犯人になったので公開できなくなってしまったりなど、「意外とシャレにならないのでは?」という話題も面白おかしく語っていただき、楽しいひと時でございました。
今展覧会も残すところ後二日ですが、百瀬さんは毎日画廊にいらっしゃっており、来廊者の皆様と様々なお話をされています。
お時間のある方は、ぜひお出かけください。
恒例の集合写真。
今回は男女比率の偏りがエラいことに。

4月8日には詩人の谷川俊太郎さんも来廊されました。
(しんざわゆう)
◆ときの忘れものは2014年4月2日[水]―4月11日[土]「百瀬恒彦写真展―無色有情」を開催しています(*会期中無休)。
百瀬恒彦が1990年にモロッコを旅し、城壁の街フェズで撮ったモノクロ写真約20点を展示します。あわせてポートフォリオ『無色有情』(10点組、限定部数12部)を刊行します。
その写真世界については鳥取絹子のエッセイ「百瀬恒彦の百夜一夜」をお読みください。
●出品作品を順次ご紹介します。
ポートフォリオ『無色有情』より6
1990年(2013年プリント)
ゼラチンシルバープリント、バライタ紙
20.3×25.4cm
サインあり
ポートフォリオ『無色有情』より7
1990年(2013年プリント)
ゼラチンシルバープリント、バライタ紙
20.3×25.4cm
サインあり
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●本日のウォーホル語録
<ぼくは壁の上のお金が好きだ。あなたが20万ドルの絵を買うとしよう。ぼくは、あなたがそのお金をまとめて、くくりつけて、壁にかけておくべきだと思う。そうして、誰かが訪ねてきたら、彼らが最初に目にするのは、壁の上のお金だ。
―アンディ・ウォーホル>
ときの忘れものでは4月19日~5月6日の会期で「わが友ウォーホル」展を開催しますが、それに向けて、1988年に全国を巡回した『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録から“ウォーホル語録”をご紹介して行きます。
忘れぬ頃にこんにちわ、スタッフSこと新澤です。
どうも最近お目汚しの機会が増えていますが、今回もお時間があるようでしたらお付き合いください。
ときの忘れもので今週末の12日まで開催されている「百瀬恒彦写真展―無色有情」。先週の金曜日には今回の出展作家である百瀬恒彦さんと、シンガーソングライターでラジオパーソナリティでもある森友嵐士さんによるギャラリートークを開催いたしました。
左:百瀬恒彦さん右:森友嵐士さん
百瀬さんの駄洒落から和やかに始まったギャラリートークですが、まず話題に上がったのは、どうやってお二人が知り合ったのか。写真家とシンガーということで、自分はてっきり百瀬さんが森友さんを撮影でもしたのがきっかけなのかな、等と思っていたのですが、実際には逆で百瀬さんの写真集「マザー・テレサ 祈り」に森友さんが興味を持ち、百瀬さんに自分のラジオ番組に出演を依頼したのが始まりなのだとか。
《作品》1995年撮影
和紙にプリント
58.0×39.0cm
Ed.1
サインあり
森友さんも話題にしましたが、自分もマザー・テレサには漠然と優しく穏やかなイメージを持っていました。ですが、百瀬さんの作品を通して見えたのは遥かに硬質で、強い意志を感じるイメージでした。
お二人が森友さんの番組で語ったという、娘さんを助けるために始まり意外なオチが付いた百瀬さんのピアスの話題から二転三転、流石はプロと感心しきりな軽妙さで森友さんは話題をナビゲートしてくださり、様々なお話を楽しく聞くことができました。例えば百瀬さんは世界各地に出向かれていますが、あれは明確に何かを撮ろうと決めて向かうのではなく、撮ろうと思える機会に出会うためであること。自分の作品は自分で現像しており、カラー現像は取り扱いが手間なのでモノクロに注力した結果、個性を発揮するために和紙に現像するスタイルに至ったこと。デジタルはお手軽かつ便利で、明るい空間で暗室と同じ作業ができるのはスゴイが、やはり暗室で一枚のネガから無数のプリントを生み出す楽しさや得られる作品の質感は比較できないということ等々。
お茶目な発言で聴衆を笑わせる百瀬さんの声はハキハキと喋る森友さんとは対照的に終始穏やかで丸みがあり、なるほどこんな百瀬さんだから被写体となった人々も自然な表情を見せられるのかと勝手に納得。
今回の展覧会のタイトルにもなっている写真集「無色有情」は、1990年に百瀬さんが詩人の谷川俊太郎さんと旅行したモロッコの古都、フェズが舞台。既に四半世紀近くの時が流れ、先進国である日本などの暮らしぶりは当時から大きく変化しました。ですが、この石に囲まれた世界は今もきっとあの時の姿のままなのだろうと思わせる、利便性を得た代わりに自分たちは失くしてしまった何かを感じさせる作品たちです。
他にも「入れ墨」を題材にしたシリーズで、より被写体を理解するために自らも入れ墨を入れた結果(悪戯彫りという小さなものらしいです。軽い気持ちでお願いして、出来上がりを聞いたら背中の上から腰まで届く大作になりそうだったので、慌てて止めてもらったとか)、彫り師とそのお客に共感を持って受け入れられたり、撮影した作品のモデルが発砲事件の犯人になったので公開できなくなってしまったりなど、「意外とシャレにならないのでは?」という話題も面白おかしく語っていただき、楽しいひと時でございました。
今展覧会も残すところ後二日ですが、百瀬さんは毎日画廊にいらっしゃっており、来廊者の皆様と様々なお話をされています。
お時間のある方は、ぜひお出かけください。
恒例の集合写真。今回は男女比率の偏りがエラいことに。

4月8日には詩人の谷川俊太郎さんも来廊されました。
(しんざわゆう)
◆ときの忘れものは2014年4月2日[水]―4月11日[土]「百瀬恒彦写真展―無色有情」を開催しています(*会期中無休)。
百瀬恒彦が1990年にモロッコを旅し、城壁の街フェズで撮ったモノクロ写真約20点を展示します。あわせてポートフォリオ『無色有情』(10点組、限定部数12部)を刊行します。その写真世界については鳥取絹子のエッセイ「百瀬恒彦の百夜一夜」をお読みください。
●出品作品を順次ご紹介します。
ポートフォリオ『無色有情』より61990年(2013年プリント)
ゼラチンシルバープリント、バライタ紙
20.3×25.4cm
サインあり
ポートフォリオ『無色有情』より71990年(2013年プリント)
ゼラチンシルバープリント、バライタ紙
20.3×25.4cm
サインあり
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●本日のウォーホル語録
<ぼくは壁の上のお金が好きだ。あなたが20万ドルの絵を買うとしよう。ぼくは、あなたがそのお金をまとめて、くくりつけて、壁にかけておくべきだと思う。そうして、誰かが訪ねてきたら、彼らが最初に目にするのは、壁の上のお金だ。
―アンディ・ウォーホル>
ときの忘れものでは4月19日~5月6日の会期で「わが友ウォーホル」展を開催しますが、それに向けて、1988年に全国を巡回した『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録から“ウォーホル語録”をご紹介して行きます。
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