野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第3回

KIAF終了、シンガポール、個展へ向けての制作開始

韓国でのアートフェアKIAF、今年もときの忘れものさんのブースから出展させて頂きました。
長丁場の6日間中、数千人のお客様に観て頂き、素晴らしい、美しいという言葉をたくさん頂きました。

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ただ、過去2年よりも確実に手応えを感じつつ、売上という面では厳しい結果となり、力不足を痛感しました。とはいえ勉強になった事は最も多いフェアだったので、本当に良い経験になりました。ときの忘れものの綿貫さんからは、「勝敗は時の運、兵家も期すべからず。禍転じて福となす。大丈夫、あれだけいい作品を作れば、いいことがあります。」とのお言葉を頂き救われました。同じく日本から出展していたギャラリー・エデルの堀居さんには毎日「売れへんなー」とネタのようにいじられながらも(笑)たくさんアドバイスも頂き感謝しております。そして、ときの忘れもののスタッフの皆さん、通訳の飯田さんとは毎日本当にお世話になりました。売れた売れなかった、そんな事はあまり書く事ではないかもしれませんが、ともかく、落ち込んでいる時間も無く、11月末にはシンガポールのアートフェア、12月には個展が迫っているので、この経験を糧に、お世話になっている皆さんへ恩返しできるように気合いを入れ直します。

現在は「HANABI#9」30号F制作中、花火の構成は丸く切った紙を並べて考えます。PC使って考える事もできるかと思いますが、やはり実寸で紙並べて考えるのが一番で、箔押し時にはこの丸い紙切って型紙にもできるので一石二鳥なんです。

katagami「HANABI#9」の構成


DSC_0649「HANABI#9」制作途中


実は最近、ずっと作っていた「Landscape」や「HANABI」のシリーズをあまり作る気がしませんでした。何故かというと、何か、ただ装飾的なパターンをコラージュしているだけな気分になってしまって、あまり感情移入できなかった事と、どうしても作為的になってしまう事が少し嫌だったからです、元々頭も固い方なので。
最近の「I…」シリーズや、もじゃもじゃな作品が多かったのは、コンセプトを付けもっと感情移入できるものを作りたいという気持ちと、出来る限り無作為に、もっと自由な作品を作れないものかと、自分なりにもがいていたからです。
多分、全般的に今は迷いながらの変化の時なのかと思いますが、どんなモノ作りもそういうものだと思うので、もがいて、試行錯誤し続けたいと思います。
でも、少しもがいたお陰で、「Landscape」も「HANABI」も今何か進化した違ったものができるのではないかと思えるようになったので、やってみようと思います。

DSC_0593新作


のぐち たくろう

野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。12月にはときの忘れもので新作個展を開催します。

◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・去る8月20日亡くなられた宮脇愛子先生のエッセイ「私が出逢った作家たち」はコチラです
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は毎月5日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」は毎月8日の更新です。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は毎月11日の更新です。
 ・新連載・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は毎月13日の更新です。
 ・新連載・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・去る5月17日死去した木村利三郎のエッセイ、70年代NYのアートシーンを活写した「ニューヨーク便り(再録)」は毎月17日の更新です。
 ・井桁裕子のエッセイ「私の人形制作」は毎月20日の更新です。
 ・故・難波田龍起のエッセイ「絵画への道」は毎月23日に再録掲載します。
 ・小林美香のエッセイ「母さん目線の写真史」は毎月25日の更新です。
 ・「スタッフSの海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日に更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」は終了しました。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・浜田宏司のエッセイ「展覧会ナナメ読み」は随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイ他を随時更新します。
 ・故・針生一郎の「現代日本版画家群像」の再録掲載は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「私のAndy Warhol体験」は終了しました。
 ・君島彩子のエッセイ「墨と仏像と私」は終了しました。
 ・鳥取絹子のエッセイ「百瀬恒彦の百夜一夜」は終了しました。
 ・ときの忘れものでは2014年からシリーズ企画「瀧口修造展」を開催し、関係する記事やテキストを「瀧口修造の世界」として紹介します。土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。

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●今日のお勧め作品は野口琢郎です。
noguchi_18_LS-28野口琢郎
「Landscape#28」
2013年
箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具)
116.7x90.9cm
サインあり

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