現代美術と磯崎建築~北陸の冬を楽しむツアー」に参加して~その3

酒井実通男


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先日の福井の建築ツアーでの写真である。それにしても今回の旅は印象深いものがあった。勝山市という人口3万人前後の地方の一小都市に、世界的建築家である磯崎新デザインの個人住宅が二件も存在しているというのは、驚きの一言であったのである。写真の中上邸は、勿論、磯崎建築である。それに、中上邸のオーナーである中上光雄医師ご夫妻の現代美術に対するパッションは熱い。ご夫妻はこの小さな町で 「 アートフル勝山 」 というコンテンポラリー絵画を愛する会を作り、その啓蒙・支援活動を40年近くに渡って続けられていたことである。と言うのを僕はこの旅で知ったのである。そしてこのご自宅をも、作品展示や会の集まりなどにも快く提供された、と言うのだった。今回の旅の懇親会では、中上邸のサロンが提供されたのである。夜の邸の内部では、もう “ 宴 ” が始っている、だろう … 。

夫人は既に故人となられていたが、中上医師は入院中ということだった。そしてこの27日朝に、亡くなられた、と言う訃報が入ってきた。。88歳であった、と言う。
ご冥福をお祈り致します。
(さかいみちお)
gallery artbookchairより転載)

*中上邸イソザキホール誕生の経緯についてはコチラをお読みください。

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*画廊亭主敬白
以前このブログでご紹介した酒井実通男さんのブログgallery artbookchair から転載させていただきました。

亭主は社長と二人で30日に再び勝山に向かい中上光雄先生の葬儀に参列してまいりました。
CIMG6344ツアーのときとうってかわり雪の降りしきる中でのお別れでした。
微笑む遺影の脇には磯崎新先生からの白いお花が添えられ、靉嘔先生からの真情あふれる弔電が読み上げられました。

帰京後、メールをあけるとツアー参加者の皆さんからもメッセージが入っていました。

<福井ツアーの企画ありがとうございました。
後で写真をお送りするようにいたします。
中上先生の訃報に接し大変驚いております。
私は前回中上邸にお邪魔し、2階の空間を綿貫さんにご案内いただきました。
そのとき先生も2階に上がっていらっしゃいました。
その先生のお顔はいまでも瞼の奥に残っております。
また奥様の笑顔も忘れられません。覚えております。
マン・レイストの石原さんとは沢山のお酒とお話をすることが出来ました。
三條廣道辺り・三條白川橋上る・で接するのとは違う人間石原でした。
他のかたがたも個性的で楽しい集いでしたね。
中上先生のご家族の気丈さに特に感心しております。
また荒井コレクションに接し、自分はコレクターであるとは言えない気持ちにもなりましたが、励まされたと思って少しずつ進んでいければと考えています。
初日の朝 片山津温泉の総湯に入りました。
最初から最後まで楽しい旅行になりました。
皆さんのおかげです。
ありがとうございます。>

(ツアーに参加されたNさんからのメール)
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<中上様の訃報のこと、誠にご愁傷様でございます。
お会いしたことはありませんでしたが、今回の中上邸での懇親会は、故人のこの上ない贈り物を頂いたように思います。
親睦会は僕には感動的な“宴”でありました。
故人になってしまわれた中上先生から、名状し難い「出会い」を頂いたように思います。
今回のツアー、改めて感謝申し上げます。
雪深い過疎の村から、先生のご冥福をお祈り致します。>

(ツアーに参加されたSさんからのメール)

<昨夜 ブログを読ませて頂き改めて勝山での暖かいおもてなしを思い出しました。
又残された御自宅 コレクションなどから故人の豊かな感性と知性を感じ取ることができました。
そのような方との40年にわたるお付き合いされてきた綿貫さん御夫妻 
さぞかし力を 落とされているとおもいます。
くれぐれも 御自愛下さいませ。>

(ツアーに参加されたRさんからのメール)

金沢21世紀美術館で3月15日まで開催されているジャパン・アーキテクツ1945–2010」の招待券が若干あります。ご希望の方はメールにてお申し込みください。

福井県立美術館では2月8日まで『福井の小コレクター運動とアートフル勝山の歩み―中上光雄・陽子コレクションによる―』が開催されています。ときの忘れものが編集を担当したカタログと、同展記念の特別頒布作品(オノサト・トシノブ、吉原英雄、靉嘔)のご案内はコチラをご覧ください。

◆2015年1月24日~25日「現代美術と磯崎建築~北陸の冬を楽しむツアー」
石原輝雄さんの体験記
浜田宏司さんの体験記
酒井実通男さんの体験記
◆福井県勝山の磯崎新設計「中上邸イソザキホール」については亭主の回想「台所なんか要りませんから」をお読みください。