野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第8回
アートフェア東京に向けて
もうすぐアートフェア東京が始まります。今回私はときの忘れものさんのブースから出展させて頂ける事になりました。
アートフェア東京への出展自体が初めての経験なのでとても楽しみにしております。
出展予定の作品は、昨年末のときの忘れものさんでの個展に出していた大作「Landscape#32」の一点だけですが、個展後に一度京都の家に送り返して頂き、他の作品制作と同時進行ながらじっくりと2ヶ月程かけて手直しをしました。
手直し前の「Landscape#32」
手直し後
"Landscape#32"
2014年
箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、透明アクリル絵具)
227.3×145.5cm Signed
画像で見て頂くと一目瞭然ですが、まず一番目立っていた金地の盛り上げ部分を、部分的に残した以外はノミで全て剥がし、左下の水玉部分他、何ヶ所かもヤスリで表面を削りました。
ノミでパネルまで傷つけてしまった箇所はパテで補修し、削った部分にそれぞれまた地の漆を塗り直してから、密度にこだわってコツコツと箔押しをした結果、元の作品よりも質の高い、良い作品に仕上げる事ができました。
ノミでの剥がし作業

不思議なもので、細部を描き密度が増した事で全体の迫力が増し、作品のサイズまで大きく感じます。
また、石炭によって黒い道を描いた事で、作品を寝かして俯瞰するとまるで本当の町を見渡しているようにも見えます。

個展で一度観て頂いた方にもぜひ、進化したこの作品を観て頂きたいです。
今回も期間中はずっと会場で皆様のご来場をお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
・frgmの皆さんによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は毎月5日の更新です。
・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」は毎月8日の更新です。
・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は毎月11日の更新です。
・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は毎月13日の更新です。
・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
・井桁裕子のエッセイ「私の人形制作」は毎月20日の更新です。
・小林美香のエッセイ「母さん目線の写真史」は毎月25日の更新です。
・「スタッフSの海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」は終了しました。
「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
・新連載「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」は英文版とともに随時更新します。
・浜田宏司のエッセイ「展覧会ナナメ読み」は随時更新します。
・深野一朗のエッセイは随時更新します。
・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイ他を随時更新します。
・故・木村利三郎のエッセイ、70年代NYのアートシーンを活写した「ニューヨーク便り」の再録掲載は終了しました。
・故・針生一郎の「現代日本版画家群像」の再録掲載は終了しました。
・故・難波田龍起のエッセイ「絵画への道」の再録掲載は終了しました。
・森下泰輔のエッセイ「私のAndy Warhol体験」は終了しました。
・ときの忘れものでは2014年からシリーズ企画「瀧口修造展」を開催し、関係する記事やテキストを「瀧口修造の世界」として紹介します。土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
今までのバックナンバーはコチラをクリックしてください。
●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。

野口琢郎
「Landscape#30」
2013年
箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具)
91.0x182.0cm
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆ときの忘れものは「アートフェア東京2015」に出展します。

オープニングプレビュー:3月19日[木]18:00-21:00
※招待状をお持ちの方のみ
一般公開:3月20日[金]―22日[日]
会場:東京国際フォーラム・ガラス棟地下2階、展示ホール
(東京都千代田区丸の内3-5-1)
ときの忘れものブースナンバー:S15
出品:葉栗剛、秋葉シスイ、野口琢郎、木坂宏次朗、瑛九、松本竣介、瀧口修造
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
アートフェア東京に向けて
もうすぐアートフェア東京が始まります。今回私はときの忘れものさんのブースから出展させて頂ける事になりました。
アートフェア東京への出展自体が初めての経験なのでとても楽しみにしております。
出展予定の作品は、昨年末のときの忘れものさんでの個展に出していた大作「Landscape#32」の一点だけですが、個展後に一度京都の家に送り返して頂き、他の作品制作と同時進行ながらじっくりと2ヶ月程かけて手直しをしました。
手直し前の「Landscape#32」
手直し後"Landscape#32"
2014年
箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、透明アクリル絵具)
227.3×145.5cm Signed
画像で見て頂くと一目瞭然ですが、まず一番目立っていた金地の盛り上げ部分を、部分的に残した以外はノミで全て剥がし、左下の水玉部分他、何ヶ所かもヤスリで表面を削りました。
ノミでパネルまで傷つけてしまった箇所はパテで補修し、削った部分にそれぞれまた地の漆を塗り直してから、密度にこだわってコツコツと箔押しをした結果、元の作品よりも質の高い、良い作品に仕上げる事ができました。
ノミでの剥がし作業
不思議なもので、細部を描き密度が増した事で全体の迫力が増し、作品のサイズまで大きく感じます。
また、石炭によって黒い道を描いた事で、作品を寝かして俯瞰するとまるで本当の町を見渡しているようにも見えます。

個展で一度観て頂いた方にもぜひ、進化したこの作品を観て頂きたいです。
今回も期間中はずっと会場で皆様のご来場をお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
・frgmの皆さんによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は毎月5日の更新です。
・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」は毎月8日の更新です。
・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は毎月11日の更新です。
・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は毎月13日の更新です。
・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
・井桁裕子のエッセイ「私の人形制作」は毎月20日の更新です。
・小林美香のエッセイ「母さん目線の写真史」は毎月25日の更新です。
・「スタッフSの海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」は終了しました。
「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
・新連載「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」は英文版とともに随時更新します。
・浜田宏司のエッセイ「展覧会ナナメ読み」は随時更新します。
・深野一朗のエッセイは随時更新します。
・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイ他を随時更新します。
・故・木村利三郎のエッセイ、70年代NYのアートシーンを活写した「ニューヨーク便り」の再録掲載は終了しました。
・故・針生一郎の「現代日本版画家群像」の再録掲載は終了しました。
・故・難波田龍起のエッセイ「絵画への道」の再録掲載は終了しました。
・森下泰輔のエッセイ「私のAndy Warhol体験」は終了しました。
・ときの忘れものでは2014年からシリーズ企画「瀧口修造展」を開催し、関係する記事やテキストを「瀧口修造の世界」として紹介します。土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
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●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。

野口琢郎
「Landscape#30」
2013年
箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具)
91.0x182.0cm
サインあり
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆ときの忘れものは「アートフェア東京2015」に出展します。

オープニングプレビュー:3月19日[木]18:00-21:00
※招待状をお持ちの方のみ
一般公開:3月20日[金]―22日[日]
会場:東京国際フォーラム・ガラス棟地下2階、展示ホール
(東京都千代田区丸の内3-5-1)
ときの忘れものブースナンバー:S15
出品:葉栗剛、秋葉シスイ、野口琢郎、木坂宏次朗、瑛九、松本竣介、瀧口修造
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