本日5月9日は内間安瑆先生の命日です。
ForestByobu (Fragrance)_600
内間安瑆
FOREST BYOBU(FRAGRANCE)
1981
木版(摺り:米田稔)
Image size: 76.0x44.0cm
Sheet size: 83.6x51.0cm
Ed.120  Signed
*現代版画センターエディション
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1月16日~3月25日の会期で開催された埼玉県立近代美術館の「版画の景色 現代版画センターの軌跡」には亭主がエディションした約80作家、700点の作品の中から選ばれた280点余が展示されました。
版元としてどの作品が会心のエディションだったかと問われれば、磯崎新、アンディ・ウォーホル、ジョナス・メカスなどいろいろあるのですが、内間安瑆先生の木版画「Forest Byobu(FRAGRANCE)」を外すわけにはいきません。

優れた同時代作家を見出し、その作家が何を表現したいかを掘り下げ、その実現のために一流の技をもった摺り師との協働を組織する。それに要する多額な資金を多数の会員、支部のサポートで賄い、「歴史に残る名作」を生み出すことを追い求めた現代版画センターの理想をこの作品ほど見事に具体化したものはなかったからです。

内間安瑆先生は1921年アメリカに生まれます。苗字からわかるように父と母は沖縄からの移民です。1940年日本に留学、戦時中は帰米せず、早稲田大学で建築を学びます。戦後は通訳として進駐軍の将校たちを日本の画家のところに案内したのを機に、創作版画の恩地孝四郎に巡り逢い油彩から木版画に転じました。
1954年デモクラート美術家協会の青原俊子と結婚。1955年東京・養清堂画廊で木版画による初個展を開催。1959年妻の俊子と息子を伴い帰米、以降ニューヨーク在住。
版画制作の傍ら、サラ・ローレンス大学で教え、1962,70年グッゲンハイム・フェローシップ版画部門で受賞。サラ・ローレンス大学名誉教授。俊子夫人の献身的な介護を受け長い闘病生活の末、2000年5月9日亡くなりました。享年79。
作品は、メトロポリタン美術館、ホイットニー美術館、シカゴ美術館、アムステルダム国立美術館他に収蔵されています。
内間安王星_WINDOW NUANCE(ROSE) _600内間安瑆
《WINDOW NUANCE (ROSE)》
1978年  銅版+木版
イメージサイズ:30.0×22.0cm
シートサイズ:37.5×28.5cm
A.P.  サインあり

600内間安瑆
(作品)
1982年  紙に水彩
イメージサイズ:8.5×6.0cm
シートサイズ:14.0×8.2cm
サインあり

日米、二つの祖国をもった内間先生は浮世絵の伝統技法を深化させ「色面織り」と自ら呼んだ独自の技法を確立し、伝統的な手摺りで45度摺を重ねた『森の屏風 Forest Byobu』連作を生み出します。鮮やかな色彩のハーモニー、微妙なぼかしが入った色面が幾重にも重なる複雑な構成、多色にもかかわらず画面全体には静かな気品が漂う。現代感覚にあふれた瑞々しい木版画はこれからもっともっと評価されるに違いないと私たちは確信しています。
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2015年8月25日[火]―9月5日[土]
「内間安瑆展」(会場:青山・ときの忘れもの)
右から、「Forest Byobu 森の屏風・秋」「FOREST BYOBU (FRAGRANCE)」「FOREST BYOBU (TWILIGHT WEAVE) A」「Forest Weave (Bathers-two-cobalt)」木版

2014年9月12日付ブログ用画像_08
1982年
内間安瑆先生と俊子夫人

内間先生を支えた奥様の内間俊子さんも優れた作家でした。
FromtheProvence内間俊子
《From the Provence -Avignon-》
1977年
コラージュ
Image size: 23.0x33.0cm
Acrylic box size: 31.0x41.2cm
Frame size: 42.0x49.0x3.0cm
サインあり


ButterflyDuet内間俊子
《蝶のデュエット》
1978年
コラージュ
Image size: 26.0x22.0cm
Acrylic box size: 35.3x27.5cm
Frame size: 36.0x28.2x3.5cm
サインあり


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内間俊子は旧姓・青原、高知県にルーツを持ち、1918年(大正7)満州・安東市で生れました。
1928年(昭和3)大連洋画研究所で石膏デッサンと油彩を学び、1937年(昭和12)に大連弥生女学校を、1939年(昭和14)には神戸女学院専門部本科を卒業。帰国後、小磯良平に師事します。
1952年「第4回読売アンデパンダン展」に油彩小品を出品。
1953年瑛九らのデモクラート美術家協会に参加。この頃、久保貞次郎や瀧口修造を知り、抽象的な油彩や木版画、リトグラフを制作します。
1955年日本女流版画協会の創立会員となる。
1958年「グレンシェン国際版画トリエンナーレ」(スイス)への出品以降、海外での発表が中心となります。
1959年夫の内間安瑆と渡米後はニューヨークに定住し、制作を続けます。
1966年ころから、古い木片や石などを封印したボックス型のアッサンブラージュやコラージュの制作に取り組み、全米各地の展覧会や日本での個展での発表を続けました。
1986年の「前衛芸術の日本 1910-1970」(ポンピドーセンター/パリ)や1997年の「東洋の伝統と抽象表現 1945-1970」(1997年、ジムメリィ美術館他)にも出品しています。

1982年7月現代版画センタ-の機関誌のために夫の内間安瑆先生はニュ-ヨ-クでインタビ ュ-を受けてくれたのですが、その僅か数か月後、突然の不幸が夫妻を襲います。脳出血で倒れ体の自由を失った夫を18年間にわたり献身的に看病し続けます。
介護をしながらの限られた時間の中でも制作は続けられました。
作品は「夢、希望、思い出」をテーマにしたものが多く、日常の「モノ」たちの組み合わせから内間俊子の人生の記録が表現されています。
2000年 5月9日夫が79歳の生涯を静かに終えると、その後を追うかの如く、同年12月18日ニューヨークで死去されました。

私たちが内間夫妻と出会った経緯は版画掌誌第4号の編集後記に書きましたのでお読みください。

ときの忘れものでは1997年11月に開催した「久保貞次郎と作家たち-追悼集『久保貞次郎を語る』刊行記念展」で俊子の版画作品を展示しました。
そのときに展示したのは1954年6月に刊行された『スフィンクス 瀧口修造の詩による版画集』でした。
久保貞次郎企画、福島辰夫編集、山城隆一デザインによるこの詩画集にただ一人の女性作家として参加したのが青原俊子、のちの内間俊子です。

ときの忘れものではニューヨークのご遺族の全面的な協力を得て、内間夫妻の代表作による「内間安瑆・内間俊子展」をこの夏に開催します。
会期:2018年7月17日(火)~8月10日(金)
どうぞご期待ください。

◆ときの忘れものは「没後70年 松本竣介展」を開催しています。
会期:2018年5月8日[火]―6月2日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

ときの忘れものは生誕100年だった2012年に初めて「松本竣介展」を前期・後期にわけて開催しました。あれから6年、このたびは小規模ですが「没後70年 松本竣介展」を開催します。
201804MATSUMOTO_DM

「没後70年 松本竣介展」出品作品を順次ご紹介します
1出品No.1)
松本竣介
《人物(M)》

1947年8月
わら半紙にペン、筆、インク
Image size: 22.0x15.0cm
Sheet size: 27.4x19.2cm
サインあり
※『松本竣介素描』(1977年、株式会社綜合工房)p.121所収


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●本展の図録を刊行しました
MATSUMOTO_catalogue『没後70年 松本竣介展』
2018年
ときの忘れもの 刊行
B5判 24ページ 
テキスト:大谷省吾(東京国立近代美術館美術課長)
作品図版:16点
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
税込800円 ※送料別途250円

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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