ただいま「Tricolore2019―中村潤・尾崎森平・谷川桐子展 」を開催中です。
展示風景をご紹介します。
●中村潤さんの作品










●谷川桐子さんの作品



●尾崎森平さんの作品




明日4月20日(土)17時より、尾崎森平さんと喜夛孝臣(練馬区立美術館学芸員)によるギャラリートークを開催します。
まだ席に余裕がありますので、ぜひご参加ください。
●尾崎森平(おざきしんぺい)さんからのメッセージ
こんにちは。作家の尾崎 森平です。
今回のグループ展では3点の作品を展示いたします。メインとなる昨年に制作した「昨日の世界」と新作の「苦闘するアポローン/愛の歌」、「Stray Cow(Io Was Driven Into A Corner)」です。私は地方に住んでいるので、残念ですが展示期間中の在廊日が限られています。観に来てくださる方とFace To Faceでお話ができれば良いのですが、それが叶いません。ですので、こちらのブログに簡単ではございますが、展示作品の「昨日の世界」ついての解説を書かせて頂きます。解説というより、作家の私が作品を制作する上での動機付けのようなもので、観る方の解釈を限定させる意図はございませんので、観賞前に先入観をお持ちになりたくないという方も、ぜひ最後まで読んで頂けたら幸いです。本の注釈のように、観賞頂く際のご参考にしていただければと思います。
新作の2点に関しましては4月20日(土)のトークショウにて詳しくお話ししたいと思っております。ぜひお越しください。
昨日の世界(2018年)
タイトルはオーストリアのユダヤ人作家で、ナチスドイツに迫害され、最期は亡命先のブラジルで自死したシュテファン・ツヴァイクの回想録「昨日の世界」から。
本作はアイディアスケッチ(絵)よりも言葉が先にありました。
“愛が終わり 家が燃え 牛が死んだ”
次回作(本作)の構想を練っている時に、出し抜けにこのフレーズが口から出てきました。直感的にこのフレーズは絵にすべきだと思い、手元にあった付箋紙に書きとめ、目の前のパソコンのデスクトップ脇に貼り付けておきました。
おそらくこのフレーズは、私の記憶や経験の断片が映画のマッチカットのように脳内で編集されて、一本に繋がって出てきた言葉だと思います。東日本大震災による原発事故によって、避難区域に取り残され、薄暗い牛舎の中で骨と皮だけになって死んでいった牛たちのスチール写真を見たときの記憶。通勤路沿いに建っていたある一軒家が、翌日には火事で跡形もなく焼失してしまっていたときの衝撃。そしてあまり思い出したくはない私自身の別離の経験。時間も場所も脈略も異なるこの三つの事象が私の中で“喪失”という痛みによって深く繋がっているのではないかと思いました。もしそうであれば、この繋がりは他人の記憶や経験とも繋がっているのではないか。個人の記憶や経験は人類の共有資産であるからこそ、我々は他人の悲しみや喜びを自分のこととして受け取ることができるのではないか、と。
シュテファン・ツヴァイクの著書「昨日の世界」は、ヨーロッパの繁栄と没落にツヴァイク自身の人生とを重ね合わされています。コスモポリスとしてのヨーロッパを未来に描いた彼の理想は、二度の世界大戦によって砕かれ“喪失”します。彼はこの本の中でこう記しています。「私が物語るのは、私の運命ではなくて、ひとつの世代全体の運命である」と。
私の絵の中の“喪失”とツヴァイクの“喪失”がほんの僅かでも繋がることを願って。
◆ときの忘れものでは「第310回企画◆Tricolore2019―中村潤・尾崎森平・谷川桐子展 」を開催しています。
会期:2019年4月12日[金]―4月27日[土]11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
●4月27日(土)に予定していた谷川桐子×小松崎拓男さんのトークは、作家の体調が思わしくなく中止します。またの機会に開催しますので、悪しからずご了承ください。

ときの忘れものが期待する1980年代生まれの若手作家の三人展を開催します。それぞれが選んだメディアは異なりますが、表現したいものをどのように創るかに、強いこだわりを持った三人です。
中村潤はトイレットペーパーを編んで造形したものや方眼紙を刺したオブジェ作品を京都で制作しています。
尾崎森平は環境心理学に触発され、生まれ育った東北の現代の風景を描いています。
谷川桐子は油彩という古典的材料を使いながら、緻密に描いた砂利や地面の上にハイヒールやブラジャーなどを配した作品を創り続けています。
今回の三人展では大作を含め、それぞれ数点を出品します。
●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。
*日・月・祝日は休廊。
展示風景をご紹介します。
●中村潤さんの作品










●谷川桐子さんの作品



●尾崎森平さんの作品




明日4月20日(土)17時より、尾崎森平さんと喜夛孝臣(練馬区立美術館学芸員)によるギャラリートークを開催します。
まだ席に余裕がありますので、ぜひご参加ください。
●尾崎森平(おざきしんぺい)さんからのメッセージ
こんにちは。作家の尾崎 森平です。
今回のグループ展では3点の作品を展示いたします。メインとなる昨年に制作した「昨日の世界」と新作の「苦闘するアポローン/愛の歌」、「Stray Cow(Io Was Driven Into A Corner)」です。私は地方に住んでいるので、残念ですが展示期間中の在廊日が限られています。観に来てくださる方とFace To Faceでお話ができれば良いのですが、それが叶いません。ですので、こちらのブログに簡単ではございますが、展示作品の「昨日の世界」ついての解説を書かせて頂きます。解説というより、作家の私が作品を制作する上での動機付けのようなもので、観る方の解釈を限定させる意図はございませんので、観賞前に先入観をお持ちになりたくないという方も、ぜひ最後まで読んで頂けたら幸いです。本の注釈のように、観賞頂く際のご参考にしていただければと思います。
新作の2点に関しましては4月20日(土)のトークショウにて詳しくお話ししたいと思っております。ぜひお越しください。
昨日の世界(2018年)
タイトルはオーストリアのユダヤ人作家で、ナチスドイツに迫害され、最期は亡命先のブラジルで自死したシュテファン・ツヴァイクの回想録「昨日の世界」から。
本作はアイディアスケッチ(絵)よりも言葉が先にありました。
“愛が終わり 家が燃え 牛が死んだ”
次回作(本作)の構想を練っている時に、出し抜けにこのフレーズが口から出てきました。直感的にこのフレーズは絵にすべきだと思い、手元にあった付箋紙に書きとめ、目の前のパソコンのデスクトップ脇に貼り付けておきました。
おそらくこのフレーズは、私の記憶や経験の断片が映画のマッチカットのように脳内で編集されて、一本に繋がって出てきた言葉だと思います。東日本大震災による原発事故によって、避難区域に取り残され、薄暗い牛舎の中で骨と皮だけになって死んでいった牛たちのスチール写真を見たときの記憶。通勤路沿いに建っていたある一軒家が、翌日には火事で跡形もなく焼失してしまっていたときの衝撃。そしてあまり思い出したくはない私自身の別離の経験。時間も場所も脈略も異なるこの三つの事象が私の中で“喪失”という痛みによって深く繋がっているのではないかと思いました。もしそうであれば、この繋がりは他人の記憶や経験とも繋がっているのではないか。個人の記憶や経験は人類の共有資産であるからこそ、我々は他人の悲しみや喜びを自分のこととして受け取ることができるのではないか、と。
シュテファン・ツヴァイクの著書「昨日の世界」は、ヨーロッパの繁栄と没落にツヴァイク自身の人生とを重ね合わされています。コスモポリスとしてのヨーロッパを未来に描いた彼の理想は、二度の世界大戦によって砕かれ“喪失”します。彼はこの本の中でこう記しています。「私が物語るのは、私の運命ではなくて、ひとつの世代全体の運命である」と。
私の絵の中の“喪失”とツヴァイクの“喪失”がほんの僅かでも繋がることを願って。
◆ときの忘れものでは「第310回企画◆Tricolore2019―中村潤・尾崎森平・谷川桐子展 」を開催しています。
会期:2019年4月12日[金]―4月27日[土]11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
●4月27日(土)に予定していた谷川桐子×小松崎拓男さんのトークは、作家の体調が思わしくなく中止します。またの機会に開催しますので、悪しからずご了承ください。

ときの忘れものが期待する1980年代生まれの若手作家の三人展を開催します。それぞれが選んだメディアは異なりますが、表現したいものをどのように創るかに、強いこだわりを持った三人です。
中村潤はトイレットペーパーを編んで造形したものや方眼紙を刺したオブジェ作品を京都で制作しています。
尾崎森平は環境心理学に触発され、生まれ育った東北の現代の風景を描いています。
谷川桐子は油彩という古典的材料を使いながら、緻密に描いた砂利や地面の上にハイヒールやブラジャーなどを配した作品を創り続けています。
今回の三人展では大作を含め、それぞれ数点を出品します。
●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。
*日・月・祝日は休廊。
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