*画廊亭主敬白
臨時休廊7日目に入りました。
<この状況が続く限り、唯一できることは、ウイルスの拡散スピードを緩和し、数か月にわたって引き延ばすことで時間を稼ぐことです。これが私たちのすべての行動の指針です。研究者がクスリとワクチンを開発するための時間です。また、発症した人ができる限りベストな条件で治療を受けられるようにするための時間でもあります。(中略)
私たちは皆、好意と友情を示す別の方法を見つけなければなりません。スカイプや電話、イーメール、あるいはまた手紙を書くなど。郵便は配達されるのですから。自分で買い物に行けないお年寄りのための近所の助け合いの素晴らしい例も今話題になっています。まだまだ多くの可能性があると私は確信しています。私たちがお互いに一人にさせないことを社会として示すことになるでしょう。
2020年3月18日メルケル独首相の国民への演説より)>

東独出身で「旅行および移動の自由が苦労して勝ち取った権利であるという私のようなもの」メルケルさんの「このような状況下で日々スーパーのレジに座っている方」や医療最前線で闘う人たちへの感謝の言葉には誠意があります。心打つ演説でした。

ということでメルケルさんに敬意を表して、
本日の「一日限定! 破格の掘り出し物」はドイツ帝国、ヴァイマル共和国、ナチス・ドイツという激動の20世紀前半を生きたケーテ・コルヴィッツ (1867 - 1945)の木版画です。
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ケーテ・コルヴィッツ Kathe KOLLWITZ “寡婦Ⅱ”  
1922年 木版
イメージサイズ:37.0×25.0cm
シートサイズ:64.0×47.9cm
サインあり

彼女は医師だった夫とともにベルリンの貧民街で患者たちに接し、母として、女性として貧しい人々の生活や労働を描き続けました。人気作家であったためヒットラーの『退廃芸術展』には展示されなかったもののさまざまな制約を受けます。第一次世界大戦では末息子が、第二次世界大戦では孫が戦死します。彼女自身もベルリン空襲で住宅や作品を焼かれ、戦争終結を見ることなく1945年4月22日に波乱の生涯を閉じました。
2006年にベルリンのケーテ・コルヴィッツ美術館などから版画、素描、彫刻合わせて165点を借りて開催した町田市立国際版画美術館の「ケーテ・コルヴィッツ展」にも代表作として展示されたのが「寡婦Ⅱ」です。