映画「眩暈 Vertigo」(制作中)からのお願い事です
井上 春生
みなさま、はじめまして、わたしは井上春生と言います。このたび、綿貫さまのご厚意でこの場を借りてお願いごとをさせていただくことになりました。現在、世界ではウィルス感染の勢いは収まる気配も無く、わたしたちの心を占める不安が、日を追うごとに膨らんできています。そういう折りにこの場を借りてこのようなお願いをすることは、もしかすると不謹慎に映るかもしれませんが、心を込めてご報告します。
わたしは、映像を生業としています。この度、日本を代表する詩人の吉増剛造さん(82歳)と昨年暮れから日本で撮影をはじめ、1月下旬にNYに向かい、ひとつの映画を撮ってきました。一年前の1月23日に逝去した、アメリカ前衛芸術や実験映画のゴッドファーザーと呼ばれるジョナス・メカス(享年96歳)を追悼するものです。
この映画はクラウドファンディングをしています。4月15日が〆切りですが、わたしの微力ゆえ、達成率がかなり低いままです。よろしければ、こんなものがあるよと周りに広めて下されば幸いです。いろいろなリターンを準備していますので、さらに、コレクターになっていただければこの上なく嬉しいです。
この映画のクラウドファンディングサイトはこちらです。
予告編、かずかずのリターンが並んでいます。
https://motion-gallery.net/projects/gozomekas
下記、お時間があればお目通しください。
今回の映画は、ブルックリンにあるジョナス・メカスの事務所が逝去後、一年目にしてたたまれるその瞬間に出くわします。家具などは半分ほど撤去されていて、この映画の題名「眩暈Vertigo」とは、その事務所の片隅で吉増さんに襲いかかっためまいを元に名付けました。本作にも登場するメカスのご子息のセバスチャンさんに聞くと、その片隅は父であるメカスがマットを敷くか、椅子に腰掛けて眠っていた場所でした。メカスは新天地に根を張っても、デラシネのように決まった寝床を持つことがなかったのです。この経験が詩の創作の発端をもたらします。
来年早々に国際映画祭に出品し、世界および日本公開予定(場所・館未定)です。これまでの準備費、国内および海外撮影ロケ費はすべて私の個人事務所のHUGMACHINE有限会社が出しています。達成の額にはほど遠いままですが、このファンディングは達成額に届かない場合は20%の手数料を引いた分を受け取れます。かならず足りない分は私が補填して完成にこぎつけますので、その点はご安心下さい。心配りが足りないこともあるかと思いますが、試写会や劇場で見かけましたらお声がけ下さいますと嬉しいです。
中には、クラウドファンディングなど分からないという方に対してはお振込にも応じています。振込後、電話かメッセージ、メール等でご連絡をください。
城北信用金庫 落合支店 普通5022761 ハグマシーン(ユ
井上携帯 090-3686-5302
井上メール inoue@hug-machine.com
この映画を製作する、その見せ所のポイントを3つご紹介します。
1、詩人が詩人を追悼する。
ジョナス・メカスはリトアニア出身の詩人です。ナチスの迫害を逃れ、戦後ニューヨークに亡命しました。メカスは新天地で母国語でしか詩は書けないと、その表現を映画に託します。以来、毎日を記録する数々の日記映画を制作してきました。27年ぶりに訪れた故郷リトアニアを描いた「リトアニアへの旅の追憶」はその集大成と言えるものです。メカスは1985年に吉増剛造さんと出会い、お互いの存在を認め、絆を深めます。映画でも紹介しますが、30年以上も前に交わした映像書簡も残っています。そこにはメカスが「アイミスユー」と語りかけ、吉増さんが「メカスさん!」と対話する姿が残っています。



2、詩が誕生する瞬間をリアルタイムで記録する。
吉増剛造さんは、前衛の詩人と言われています。表現は筆、鉛筆、絵の具、紙、フィルム、ガラスを使うなど多岐に渡っており、詩の領域を逸脱、拡大しています。その詩の最高峰がどのように詩を生み出していくのかを、メカスがかつて歩いてきた場所で、たとえば地下鉄、NYの避暑地コニーアイランド、ウィリアムズバーグ橋、アンソロジーフィルムアーカイブス、ブルックリン、メカスの事務所で具(つぶさ)に切り取っていきます。

↑吉増さんと対している男性はジョナス・メカスのご子息のセバスチャンさんです

3、前衛芸術のゴッドファーザーが辿った歴史に光をあてる。
多くの資料や書物を読めば、東西巨匠の作品に対する理解度は増し、人格も他面的に把握できると思います。では、この映画を見る、作る良さはいったいどこにあるのかというと、盟友が辿ったパーソナルヒストリーの「残響」を五感でとらえ、発見して、驚き、感動していく詩人の船に私たちも乗りこんで、時間と場所を超えて創作を同時体験できることにあり、ふたりの詩人の人生の歴史とひととなりにひと筋の光を当てることです。撮影は4K、そして8mmフィルムを使っています。



この映画を作るきっかけを書いたサイトはこちらです。
ジョナス・メカスとの出会いを書いています。
http://webneo.org/archives/48000


最後までお読みいただきありがとうございました。2020年は大変な時代になってしまいましたが、みなさま、どうかどうかお気を付け下さい。そして、試写会や映画館でお会いできますことを楽しみにお待ちしております。
(いのうえ・はるお)
■井上 春生(いのうえ・はるお)
映画監督 、脚本家 、CM&TVプロデューサー&ディレクター、全国劇場公開映画14本
幻を見るひと(吉増剛造出演)監督 国際映画祭10冠
バードコール(鈴木えみ・田中圭主演)監督脚本
チェリーパイ(北川景子主演)監督脚本
音符と昆布(池脇千鶴・市川由衣主演)監督脚本
遠くの空(内山理名主演)監督脚本
案山子とラケット(平祐奈・大友花恋主演)監督 など
CM 資生堂、キリンビール、docomoなど多数
~~~~~~
*画廊亭主敬白
臨時休廊10日目。
アメリカが大変な事態になる直前に吉増剛造先生はNYに向かい、メカスさんを追悼する映画の撮影をされてきました。間一髪といっていいでしょう。その資金を井上さんたちはクラウドファンディングで集めようとしています。15日の締め切りを目前に苦戦しています。
メカスファンの皆さん、そして吉増ファンの皆さん、ぜひ応援してください。
2005年10月メカスさんがときの忘れもので個展を開いた夜のことは原茂さんの「天使の謡う夜に」をお読みください。
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◎昨日読まれたブログ(archive)/2017年09月09日|吉岡知子<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>
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◆ときの忘れものは版画・写真のエディション作品などをアマゾンに出品しています。
●ときの忘れものは2017年6月に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
井上 春生
みなさま、はじめまして、わたしは井上春生と言います。このたび、綿貫さまのご厚意でこの場を借りてお願いごとをさせていただくことになりました。現在、世界ではウィルス感染の勢いは収まる気配も無く、わたしたちの心を占める不安が、日を追うごとに膨らんできています。そういう折りにこの場を借りてこのようなお願いをすることは、もしかすると不謹慎に映るかもしれませんが、心を込めてご報告します。
わたしは、映像を生業としています。この度、日本を代表する詩人の吉増剛造さん(82歳)と昨年暮れから日本で撮影をはじめ、1月下旬にNYに向かい、ひとつの映画を撮ってきました。一年前の1月23日に逝去した、アメリカ前衛芸術や実験映画のゴッドファーザーと呼ばれるジョナス・メカス(享年96歳)を追悼するものです。
この映画はクラウドファンディングをしています。4月15日が〆切りですが、わたしの微力ゆえ、達成率がかなり低いままです。よろしければ、こんなものがあるよと周りに広めて下されば幸いです。いろいろなリターンを準備していますので、さらに、コレクターになっていただければこの上なく嬉しいです。
この映画のクラウドファンディングサイトはこちらです。
予告編、かずかずのリターンが並んでいます。
https://motion-gallery.net/projects/gozomekas
下記、お時間があればお目通しください。
今回の映画は、ブルックリンにあるジョナス・メカスの事務所が逝去後、一年目にしてたたまれるその瞬間に出くわします。家具などは半分ほど撤去されていて、この映画の題名「眩暈Vertigo」とは、その事務所の片隅で吉増さんに襲いかかっためまいを元に名付けました。本作にも登場するメカスのご子息のセバスチャンさんに聞くと、その片隅は父であるメカスがマットを敷くか、椅子に腰掛けて眠っていた場所でした。メカスは新天地に根を張っても、デラシネのように決まった寝床を持つことがなかったのです。この経験が詩の創作の発端をもたらします。
来年早々に国際映画祭に出品し、世界および日本公開予定(場所・館未定)です。これまでの準備費、国内および海外撮影ロケ費はすべて私の個人事務所のHUGMACHINE有限会社が出しています。達成の額にはほど遠いままですが、このファンディングは達成額に届かない場合は20%の手数料を引いた分を受け取れます。かならず足りない分は私が補填して完成にこぎつけますので、その点はご安心下さい。心配りが足りないこともあるかと思いますが、試写会や劇場で見かけましたらお声がけ下さいますと嬉しいです。
中には、クラウドファンディングなど分からないという方に対してはお振込にも応じています。振込後、電話かメッセージ、メール等でご連絡をください。
城北信用金庫 落合支店 普通5022761 ハグマシーン(ユ
井上携帯 090-3686-5302
井上メール inoue@hug-machine.com
この映画を製作する、その見せ所のポイントを3つご紹介します。
1、詩人が詩人を追悼する。
ジョナス・メカスはリトアニア出身の詩人です。ナチスの迫害を逃れ、戦後ニューヨークに亡命しました。メカスは新天地で母国語でしか詩は書けないと、その表現を映画に託します。以来、毎日を記録する数々の日記映画を制作してきました。27年ぶりに訪れた故郷リトアニアを描いた「リトアニアへの旅の追憶」はその集大成と言えるものです。メカスは1985年に吉増剛造さんと出会い、お互いの存在を認め、絆を深めます。映画でも紹介しますが、30年以上も前に交わした映像書簡も残っています。そこにはメカスが「アイミスユー」と語りかけ、吉増さんが「メカスさん!」と対話する姿が残っています。



2、詩が誕生する瞬間をリアルタイムで記録する。
吉増剛造さんは、前衛の詩人と言われています。表現は筆、鉛筆、絵の具、紙、フィルム、ガラスを使うなど多岐に渡っており、詩の領域を逸脱、拡大しています。その詩の最高峰がどのように詩を生み出していくのかを、メカスがかつて歩いてきた場所で、たとえば地下鉄、NYの避暑地コニーアイランド、ウィリアムズバーグ橋、アンソロジーフィルムアーカイブス、ブルックリン、メカスの事務所で具(つぶさ)に切り取っていきます。

↑吉増さんと対している男性はジョナス・メカスのご子息のセバスチャンさんです
3、前衛芸術のゴッドファーザーが辿った歴史に光をあてる。
多くの資料や書物を読めば、東西巨匠の作品に対する理解度は増し、人格も他面的に把握できると思います。では、この映画を見る、作る良さはいったいどこにあるのかというと、盟友が辿ったパーソナルヒストリーの「残響」を五感でとらえ、発見して、驚き、感動していく詩人の船に私たちも乗りこんで、時間と場所を超えて創作を同時体験できることにあり、ふたりの詩人の人生の歴史とひととなりにひと筋の光を当てることです。撮影は4K、そして8mmフィルムを使っています。



この映画を作るきっかけを書いたサイトはこちらです。
ジョナス・メカスとの出会いを書いています。
http://webneo.org/archives/48000


最後までお読みいただきありがとうございました。2020年は大変な時代になってしまいましたが、みなさま、どうかどうかお気を付け下さい。そして、試写会や映画館でお会いできますことを楽しみにお待ちしております。
(いのうえ・はるお)
■井上 春生(いのうえ・はるお)
映画監督 、脚本家 、CM&TVプロデューサー&ディレクター、全国劇場公開映画14本
幻を見るひと(吉増剛造出演)監督 国際映画祭10冠
バードコール(鈴木えみ・田中圭主演)監督脚本
チェリーパイ(北川景子主演)監督脚本
音符と昆布(池脇千鶴・市川由衣主演)監督脚本
遠くの空(内山理名主演)監督脚本
案山子とラケット(平祐奈・大友花恋主演)監督 など
CM 資生堂、キリンビール、docomoなど多数
~~~~~~
*画廊亭主敬白
臨時休廊10日目。
アメリカが大変な事態になる直前に吉増剛造先生はNYに向かい、メカスさんを追悼する映画の撮影をされてきました。間一髪といっていいでしょう。その資金を井上さんたちはクラウドファンディングで集めようとしています。15日の締め切りを目前に苦戦しています。
メカスファンの皆さん、そして吉増ファンの皆さん、ぜひ応援してください。
2005年10月メカスさんがときの忘れもので個展を開いた夜のことは原茂さんの「天使の謡う夜に」をお読みください。
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◎昨日読まれたブログ(archive)/2017年09月09日|吉岡知子<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>
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◆ときの忘れものは版画・写真のエディション作品などをアマゾンに出品しています。
●ときの忘れものは2017年6月に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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