スタッフSの海外ネットサーフィン No.84
「MUSHROOMS: THE ART, DESIGN AND FUTURE OF FUNGI」
Somerset House


 読者の皆様こんにちは。季節が夏めいてくる中、既に公共の場ではマスクの着用が常となった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか? 先日雨の中をマスクを付けたまま自転車をこいでいたら、危うく窒息しかけるという、世にも阿呆な死にざまを晒しかけました、スタッフSこと新澤です。

 ここ最近の記事ではアメリカやフランスばかりにかまけておりましたので、今回は初心に戻って(?)わが心の故郷、イギリスのイベントを紹介させていただきます。

 コロナウイルス騒ぎも解決したわけではないものの、世の中も多少は落ち着き、方々の美術館・博物館も営業を(制限付きではありますが)再開しはじめました。今回ご紹介するロンドンのSomerset House(サマセットハウス)で今月16日から始まった 「MUSHROOMS: THE ART, DESIGN AND FUTURE OF FUNGI」も当日券は扱っておらず、オンライン上で特定の時間帯のチケットを予約する方式で3密を避ける方法を取っています。
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 サマセットハウスの歴史は古く、16世紀にエドワード6世が幼くして即位すると、当時摂政として国の実権を手にしたサマセット公爵エドワード・シーモアが、財を尽くして作らせた宮殿が始まりです。サマセット公が権力争いに敗れて処刑された後、宮殿は王室の所有となり、長らく王妃の宮殿として使われていました。現在の姿は、18世紀末にウィリアム・チェンバーズが手がけた新古典主義の建物をミレニアム記念に復元したもので、様々な政府関連機関、芸術・教育関連機関が入っています。ロンドン大学付属のコートールド・ギャラリー等がその代表的な例ですが、他にも中庭が冬季中はアイススケートのリンクとして一般に開放されており、ロンドンの冬の風物詩として知られています。
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 そんなサマセットハウスで今月の16日から9月の13日まで開催されているのが「MUSHROOMS: THE ART, DESIGN AND FUTURE OF FUNGI」、直訳すると「きのこ:菌類の美術、デザイン、そして未来」です。中々にニッチなジャンルに思えますが、参加している作家は豪華で日本からは何と村上隆の作品も出展されていますし、ときの忘れものとしては何といってもジョン・ケージの「Mushroom Book」(菌類学者アレクサンダー・スミスと画家ロイス・ロングとの合作)が出展されていることは見逃せません。蛇足になりますが、ときの忘れものHPでジョン・ケージの英文ページを制作した際、作家略歴に「キノコ研究家」という文字を見た時は思わず見間違いじゃないかと原文を二度見したものです。
 他にも米国作家・彫刻家のサイ・トゥオンブリーによるコラージュポートフォリオや、ピーターラビットの作者として名高いビアトリクス・ポターの水彩画などの他、40名の作家が名を連ねています。

 展覧会はアートだけに収まらず、デザイン、テキスタイル、建築等におけるキノコの新しい利用法や、菌糸で作られた靴など、あらゆる分野に根を伸ばすキノコの可能性をご覧いただけます。

 残念ながら日本国内にあっては直接展覧会を見に行くことは無理ですが、素晴らしきかなインターネット、この展覧会はYouTubeにてバーチャルツアーを公開しており、6分の映像で多岐に渡る作品を観ることができます。ご興味があれば、是非以下の動画をご覧ください。

(しんざわ ゆう)

展覧会公式バーチャルツアー


展覧会公式ページ(英語)

サマセットハウス公式ページ(英文)

●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。