「ハリウッドのスペシャル」
読者の皆様こんにちは。日中は暖かい日も増えてきましたが夜になると相変わらず寒い今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか? カップ麺こそは日本の食文化の極みと思いつつも、宅配ピザなども心惹かれてしまうスタッフSこと新澤です。まぁ結局のところ美味しければ何でもいいワケですが。
本日は現在開催中の「銀塩写真の魅力Ⅶ 20世紀の肖像」より、ハリウッドで「スペシャル」と呼ばれた写真家、ボブ・ウィロビーをご紹介します。
ハリウッド黄金期と呼ばれた1940年代まで、映画関係の写真というものは、それぞれの制作会社が自社で雇ったカメラマンが撮影するものでした。自然、撮影される写真も撮影中の風景や広報に使うことを前提としたものが多数を占めるようになります。そんな環境にあって、特定の制作会社や出版社に所属することなく、フリーの立場で大手スタジオと契約して世界中のマスコミに資料を提供する、「スペシャル」と呼ばれる職種を最初に開拓したパイオニアがボブ・ウィロビーです。
それまでは撮影現場に立ち会う形で行われていた撮影に対して、ウィロビーは個々の俳優に寄り添うことで、世間が俳優たちに抱いているイメージ以外の、撮影の合間や外で垣間見せる、演じられたものではない、俳優本人の表情をフィルムに焼き付けることに成功しました。
ボブ・ウィロビー
Hepburn, Audrey, 1953Audrey Hepburn getting into a car after her first photo shoot at Paramount, having recently finished her first film "Roman Holiday," 1953.(A120) ※「ローマの休日」
1953 (Printed in 2004)
ゼラチンシルバープリント
12×16 in.
Ed.200
Initialed by Bob Willoughby, stamped and signed by Christopher Willoughby
「ローマの休日」クランクアップ後、パラマウント映画で初めて写真撮影を行った帰り、車に乗り込む直前のヘプバーンを反対側の座席から撮影した作品。1993年に朝日新聞社から出版された「オードリー・ヘプバーン ボブ・ウィロビー写真集」の表紙を飾った、特に有名な1枚です。ハリウッド女優の代表格であるオードリー・ヘプバーンですが、ウィロビーも1953年にパラマウント映画で初めて彼女に出会った時から魅了され、彼女をモデルに公私にわたって数多くの写真を撮っています。中には自宅でお互いの家族を交えて撮影されたものも在るほど親密でした。
ボブ・ウィロビー
Taylor, Elizabeth, 1956Elizabeth Taylor portrait in white dress on MGM set of "Raintree County," 1956.(A108) ※「愛情の花咲く樹」
1956 (Printed in 1995)
ゼラチンシルバープリント
12×16 in.
Ed.200
Signed by Bob Willoughby
ハリウッド黄金期のスタジオシステムが生み出した最後の大物スターと呼ばれるエリザベス・テイラー。この写真は彼女が初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされた『愛情の花咲く樹』のセットで撮影されたもの。
ボブ・ウィロビー
Seberg, Jean, 1956Jean Seberg in NYC's Central Park after she won the title role in Otto Preminger's film "Saint Joan," 1956.(A015) ※「聖女ジャンヌ・ダーク」
1962 (Printed in 1984)
ゼラチンシルバープリント
12×16 in.
Ed.200
Initialed by Bob Willoughby, stamped and signed by Christopher Willoughby
セバーグがオットー・プレミンジャー監督の映画「聖女ジャンヌ・ダーク」でデビュー作にして主演女優に抜擢された後、ニューヨークのセントラルパークで撮影された一枚。鷲の彫刻を背景に本人も翼を広げたような、撮影されることを意識した構図ですが、一方で部屋着でホテルのベッドに寝転がり、新聞を読んでいる彼女を撮影した写真もあり、華やかなだけではない、一人の俳優の様々な一面をウィロビーは撮影し続けました。
コロナ禍もやや落ち着いてきた感がありますが、それもあってか今展覧会は1月に比べて来廊者も増えております。現在ときの忘れものはアポイント制をとっておりますので、来廊して実物をご覧になりたい方はお早めのご予約をお勧めいたします。
(しんざわ ゆう)
*画廊亭主敬白
最近、ブログのアクセスにいくつか異変が。
1月31日掲載の堀江敏幸先生のエッセイは、滋賀県立近代美術館館長の保坂健二朗先生のtwitterがきっかけで二日で2,200名ものアクセスがあり、現在も多くの方に読まれているようです。
9年前の石岡瑛子さんの追悼記事にも驚くほどのアクセスがありました。東京都現代美術館の石岡さんの大回顧展はコロナ禍にもかかわらず、歩けないほどの大混雑でした。
ここ数日は二年前の中村惠一さんのエッセイにアクセスが集中し、何事かと思ったら、東京都美術館の「没後70年 吉田博展」が好評らしい。そういえば待てよ、確か「帆船」はあったよなぁと思い出しました。大昔、あるイギリス人のために戸張孤雁、織田一磨、恩地孝四郎などの創作版画に没頭していた時期があり、10年間で7000点も売ったのですが、そのときの余勢で吉田博、橋口五葉、竹久夢二などの大正期の木版画が集まってきました。
例年3月はアートフェア東京(3月19日~21日)の時期で、今年は二年ぶりに開催となります。画廊では「春の画廊コレクション展」を予定していますが(3月10日~19日)、急遽内容を変え(君子豹変、朝令暮改)冬眠していた大正版画のいくつかをご覧いただこうかと思案しています(迷惑なのはスタッフたちですが)。
◆「銀塩写真の魅力Ⅶ 20世紀の肖像」を開催しています(予約制/WEB展)。
観覧ご希望の方は事前に電話またはメールでご予約ください。
会期=2021年2月12日(金)―3月6日(土)*日・月・祝日休廊

マン・レイ、ボブ・ウィロビー、ロベール・ドアノー、エドワード・スタイケン、金坂健二、細江英公、安齊重男、平嶋彰彦の8人の写真家たちが撮った20世紀を代表する優れた表現者た ち(ピカソ、アンドレ・ブルトン、A.ヘップバーン、A.ウォーホル、ブランクーシ、 三島由紀夫、イサム・ノグチ、黒澤明、他)のポートレートをご覧いただきます。
出品全作品の詳細は2月9日のブログをご覧ください。
気鋭の写真史家・打林 俊先生には「怒号にさざめく現像液-細江英公の〈薔薇刑〉をめぐって」をご寄稿いただきました。
●打林 俊先生によるギャラリートークもYouTubeにて公開しております。
●ときの忘れものが青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転して3年が経ちました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会(Web展)を開催しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
読者の皆様こんにちは。日中は暖かい日も増えてきましたが夜になると相変わらず寒い今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか? カップ麺こそは日本の食文化の極みと思いつつも、宅配ピザなども心惹かれてしまうスタッフSこと新澤です。まぁ結局のところ美味しければ何でもいいワケですが。
本日は現在開催中の「銀塩写真の魅力Ⅶ 20世紀の肖像」より、ハリウッドで「スペシャル」と呼ばれた写真家、ボブ・ウィロビーをご紹介します。
ハリウッド黄金期と呼ばれた1940年代まで、映画関係の写真というものは、それぞれの制作会社が自社で雇ったカメラマンが撮影するものでした。自然、撮影される写真も撮影中の風景や広報に使うことを前提としたものが多数を占めるようになります。そんな環境にあって、特定の制作会社や出版社に所属することなく、フリーの立場で大手スタジオと契約して世界中のマスコミに資料を提供する、「スペシャル」と呼ばれる職種を最初に開拓したパイオニアがボブ・ウィロビーです。
それまでは撮影現場に立ち会う形で行われていた撮影に対して、ウィロビーは個々の俳優に寄り添うことで、世間が俳優たちに抱いているイメージ以外の、撮影の合間や外で垣間見せる、演じられたものではない、俳優本人の表情をフィルムに焼き付けることに成功しました。
ボブ・ウィロビーHepburn, Audrey, 1953Audrey Hepburn getting into a car after her first photo shoot at Paramount, having recently finished her first film "Roman Holiday," 1953.(A120) ※「ローマの休日」
1953 (Printed in 2004)
ゼラチンシルバープリント
12×16 in.
Ed.200
Initialed by Bob Willoughby, stamped and signed by Christopher Willoughby
「ローマの休日」クランクアップ後、パラマウント映画で初めて写真撮影を行った帰り、車に乗り込む直前のヘプバーンを反対側の座席から撮影した作品。1993年に朝日新聞社から出版された「オードリー・ヘプバーン ボブ・ウィロビー写真集」の表紙を飾った、特に有名な1枚です。ハリウッド女優の代表格であるオードリー・ヘプバーンですが、ウィロビーも1953年にパラマウント映画で初めて彼女に出会った時から魅了され、彼女をモデルに公私にわたって数多くの写真を撮っています。中には自宅でお互いの家族を交えて撮影されたものも在るほど親密でした。
ボブ・ウィロビーTaylor, Elizabeth, 1956Elizabeth Taylor portrait in white dress on MGM set of "Raintree County," 1956.(A108) ※「愛情の花咲く樹」
1956 (Printed in 1995)
ゼラチンシルバープリント
12×16 in.
Ed.200
Signed by Bob Willoughby
ハリウッド黄金期のスタジオシステムが生み出した最後の大物スターと呼ばれるエリザベス・テイラー。この写真は彼女が初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされた『愛情の花咲く樹』のセットで撮影されたもの。
ボブ・ウィロビーSeberg, Jean, 1956Jean Seberg in NYC's Central Park after she won the title role in Otto Preminger's film "Saint Joan," 1956.(A015) ※「聖女ジャンヌ・ダーク」
1962 (Printed in 1984)
ゼラチンシルバープリント
12×16 in.
Ed.200
Initialed by Bob Willoughby, stamped and signed by Christopher Willoughby
セバーグがオットー・プレミンジャー監督の映画「聖女ジャンヌ・ダーク」でデビュー作にして主演女優に抜擢された後、ニューヨークのセントラルパークで撮影された一枚。鷲の彫刻を背景に本人も翼を広げたような、撮影されることを意識した構図ですが、一方で部屋着でホテルのベッドに寝転がり、新聞を読んでいる彼女を撮影した写真もあり、華やかなだけではない、一人の俳優の様々な一面をウィロビーは撮影し続けました。
コロナ禍もやや落ち着いてきた感がありますが、それもあってか今展覧会は1月に比べて来廊者も増えております。現在ときの忘れものはアポイント制をとっておりますので、来廊して実物をご覧になりたい方はお早めのご予約をお勧めいたします。
(しんざわ ゆう)
*画廊亭主敬白
最近、ブログのアクセスにいくつか異変が。
1月31日掲載の堀江敏幸先生のエッセイは、滋賀県立近代美術館館長の保坂健二朗先生のtwitterがきっかけで二日で2,200名ものアクセスがあり、現在も多くの方に読まれているようです。
9年前の石岡瑛子さんの追悼記事にも驚くほどのアクセスがありました。東京都現代美術館の石岡さんの大回顧展はコロナ禍にもかかわらず、歩けないほどの大混雑でした。
ここ数日は二年前の中村惠一さんのエッセイにアクセスが集中し、何事かと思ったら、東京都美術館の「没後70年 吉田博展」が好評らしい。そういえば待てよ、確か「帆船」はあったよなぁと思い出しました。大昔、あるイギリス人のために戸張孤雁、織田一磨、恩地孝四郎などの創作版画に没頭していた時期があり、10年間で7000点も売ったのですが、そのときの余勢で吉田博、橋口五葉、竹久夢二などの大正期の木版画が集まってきました。例年3月はアートフェア東京(3月19日~21日)の時期で、今年は二年ぶりに開催となります。画廊では「春の画廊コレクション展」を予定していますが(3月10日~19日)、急遽内容を変え(君子豹変、朝令暮改)冬眠していた大正版画のいくつかをご覧いただこうかと思案しています(迷惑なのはスタッフたちですが)。
◆「銀塩写真の魅力Ⅶ 20世紀の肖像」を開催しています(予約制/WEB展)。
観覧ご希望の方は事前に電話またはメールでご予約ください。
会期=2021年2月12日(金)―3月6日(土)*日・月・祝日休廊

マン・レイ、ボブ・ウィロビー、ロベール・ドアノー、エドワード・スタイケン、金坂健二、細江英公、安齊重男、平嶋彰彦の8人の写真家たちが撮った20世紀を代表する優れた表現者た ち(ピカソ、アンドレ・ブルトン、A.ヘップバーン、A.ウォーホル、ブランクーシ、 三島由紀夫、イサム・ノグチ、黒澤明、他)のポートレートをご覧いただきます。出品全作品の詳細は2月9日のブログをご覧ください。
気鋭の写真史家・打林 俊先生には「怒号にさざめく現像液-細江英公の〈薔薇刑〉をめぐって」をご寄稿いただきました。
●打林 俊先生によるギャラリートークもYouTubeにて公開しております。
映像制作:WebマガジンColla:J 塩野哲也
●ときの忘れものが青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転して3年が経ちました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会(Web展)を開催しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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