出品作品について
平嶋彰彦
●荒川修作とマドリン・ギンズ
平嶋彰彦
《荒川修作、マドリン・ギンズ 岐阜県養老町の養老天命反転地で。1995年10月》
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:25.9x38.7 cm
シートサイズ:35.6x43.0 cm
Ed.3 Signed
『養老天命反転地』(毎日新聞社、1995)の巻末に、この写真の隣のカットが掲載されている。画像はほとんど違わない。荒川修作とマドリン・ギンズのお二人が、どうしてこんな無邪気なポーズをとったのか、撮影したときも変だと思ったが、いまになってもわけが分からない。私の発想ではないのはもちろんで、ご夫妻による即興のパフォーマンスである。前代未聞の建築的実験である「養老天命反転地」が完成する直前で、その全体と9カ所に分節化された部分を、4×5のカメラでおさえるのが、出版企画と編集にたずさわった三輪晴美からの注文だった。撮影をどうにかこうにか終えて、ぼんやり休んでいると、仲睦まじくしているお二人の姿がふと目に入った。背景もカモがネギを背負ってきたみたいで悪くない。取材プランにはなかったが、見逃す手はないと思って、35ミリカメラに持ちかえ、近づいていくと、こちらから頼みもしないのに、阿吽の呼吸で応えてくれたのである。
●黒澤明
平嶋彰彦
《黒澤明 北海道苫小牧市。『影武者』ロケ現場。1979年10月》
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:25.9x38.7 cm
シートサイズ:35.6x43.0 cm
Ed.3 Signed
『影武者』は黒澤明が久しぶりに手掛けた時代劇で、映画ファンの期待も大きく、製作中からいろいろとメディアで取り上げられた。北海道のロケ現場を1泊2日で取材したこのときは、目まぐるしく変わる天候に災いされて、1日目は1シーンも撮り終えることができなかった。妥協を許さない映画づくりと聞いていたが、そのこともあって機嫌が悪く、一日中怒鳴りまくっていた。『七人の侍』や『用心棒』は私の大好きな映画だが、なんども観ていると、黒澤明が映画づくりを楽しんでいるのが伝わってくる。そんな黒澤を撮りたかった。2日目の夕方、スタッフが後片づけをする傍らで、黒澤は椅子に腰かけていた。斜光線のなかでくつろぐ表情は、まさしく私のうちなる黒澤明だった。近づいていって、400ミリレンズで、クローズアップを2コマ撮った。すると、黒澤はそれを待っていたかのように立ち上がり、あたりを歩きはじめた。後をついていって、スナップしたのがこの写真である。
(ひらしま あきひこ)
◆「銀塩写真の魅力Ⅶ 20世紀の肖像」を開催しています(予約制/WEB展)。
観覧ご希望の方は事前に電話またはメールでご予約ください。
会期=2021年2月12日(金)―3月6日(土)*日・月・祝日休廊

マン・レイ、ボブ・ウィロビー、ロベール・ドアノー、エドワード・スタイケン、金坂健二、細江英公、安齊重男、平嶋彰彦の8人の写真家たちが撮った20世紀を代表する優れた表現者た ち(ピカソ、アンドレ・ブルトン、A.ヘップバーン、A.ウォーホル、ブランクーシ、 三島由紀夫、イサム・ノグチ、黒澤明、他)のポートレートをご覧いただきます。
出品全作品の詳細は2月9日のブログをご覧ください。
気鋭の写真史家・打林 俊先生には「怒号にさざめく現像液-細江英公の〈薔薇刑〉をめぐって」をご寄稿いただきました。
●打林 俊先生によるギャラリートークもYouTubeにて公開しております。
●ときの忘れものが青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転して3年が経ちました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会(Web展)を開催しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
平嶋彰彦
●荒川修作とマドリン・ギンズ
平嶋彰彦《荒川修作、マドリン・ギンズ 岐阜県養老町の養老天命反転地で。1995年10月》
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:25.9x38.7 cm
シートサイズ:35.6x43.0 cm
Ed.3 Signed
『養老天命反転地』(毎日新聞社、1995)の巻末に、この写真の隣のカットが掲載されている。画像はほとんど違わない。荒川修作とマドリン・ギンズのお二人が、どうしてこんな無邪気なポーズをとったのか、撮影したときも変だと思ったが、いまになってもわけが分からない。私の発想ではないのはもちろんで、ご夫妻による即興のパフォーマンスである。前代未聞の建築的実験である「養老天命反転地」が完成する直前で、その全体と9カ所に分節化された部分を、4×5のカメラでおさえるのが、出版企画と編集にたずさわった三輪晴美からの注文だった。撮影をどうにかこうにか終えて、ぼんやり休んでいると、仲睦まじくしているお二人の姿がふと目に入った。背景もカモがネギを背負ってきたみたいで悪くない。取材プランにはなかったが、見逃す手はないと思って、35ミリカメラに持ちかえ、近づいていくと、こちらから頼みもしないのに、阿吽の呼吸で応えてくれたのである。
●黒澤明
平嶋彰彦《黒澤明 北海道苫小牧市。『影武者』ロケ現場。1979年10月》
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:25.9x38.7 cm
シートサイズ:35.6x43.0 cm
Ed.3 Signed
『影武者』は黒澤明が久しぶりに手掛けた時代劇で、映画ファンの期待も大きく、製作中からいろいろとメディアで取り上げられた。北海道のロケ現場を1泊2日で取材したこのときは、目まぐるしく変わる天候に災いされて、1日目は1シーンも撮り終えることができなかった。妥協を許さない映画づくりと聞いていたが、そのこともあって機嫌が悪く、一日中怒鳴りまくっていた。『七人の侍』や『用心棒』は私の大好きな映画だが、なんども観ていると、黒澤明が映画づくりを楽しんでいるのが伝わってくる。そんな黒澤を撮りたかった。2日目の夕方、スタッフが後片づけをする傍らで、黒澤は椅子に腰かけていた。斜光線のなかでくつろぐ表情は、まさしく私のうちなる黒澤明だった。近づいていって、400ミリレンズで、クローズアップを2コマ撮った。すると、黒澤はそれを待っていたかのように立ち上がり、あたりを歩きはじめた。後をついていって、スナップしたのがこの写真である。
(ひらしま あきひこ)
◆「銀塩写真の魅力Ⅶ 20世紀の肖像」を開催しています(予約制/WEB展)。
観覧ご希望の方は事前に電話またはメールでご予約ください。
会期=2021年2月12日(金)―3月6日(土)*日・月・祝日休廊

マン・レイ、ボブ・ウィロビー、ロベール・ドアノー、エドワード・スタイケン、金坂健二、細江英公、安齊重男、平嶋彰彦の8人の写真家たちが撮った20世紀を代表する優れた表現者た ち(ピカソ、アンドレ・ブルトン、A.ヘップバーン、A.ウォーホル、ブランクーシ、 三島由紀夫、イサム・ノグチ、黒澤明、他)のポートレートをご覧いただきます。出品全作品の詳細は2月9日のブログをご覧ください。
気鋭の写真史家・打林 俊先生には「怒号にさざめく現像液-細江英公の〈薔薇刑〉をめぐって」をご寄稿いただきました。
●打林 俊先生によるギャラリートークもYouTubeにて公開しております。
映像制作:WebマガジンColla:J 塩野哲也
●ときの忘れものが青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転して3年が経ちました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会(Web展)を開催しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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