スタッフSの海外ネットサーフィン No.96
「クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード《包まれた凱旋門》プロジェクト L'Arc de Triomphe, Paris」
読者の皆様こんにちわ。例年ならばまだまだ暑い今日この頃、今年はやけに涼しい日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? 先日二回目のワクチン接種を受けた際、副反応で記憶している限り初めて38度以上の熱が出て寝込みました、スタッフSこと新澤です。これから2回目のワクチン接種を受ける皆様には、その後2日は家で大人しく篭っていられるよう準備しておくことを強くお勧めします。
今回ご紹介するのはクリストとジャンヌ=クロードの《包まれた凱旋門》プロジェクト。構想から60年という時間を経ていることに対し、展示期間は2021年9月18日(土)の完成から10月3日(日)までの16日間、その後は撤去されるという、蝉の一生も真っ青なプロジェクトです。

既に、9月23日のブログで柳正彦さんの現地レポートを掲載しましたが、当初は2020年4月に実施される予定でしたが、コロナパンデミックにより延期。その後2020年5月にクリストは亡くなりましたが、彼は生前に「これらのプロジェクトの多くは、私がいなくても構築できることを知ってほしい。必要なことは全て書き出している」*1と語っており、《包まれた凱旋門》プロジェクトはクリストの甥で、長年制作に参加してきたブラディミール・ヤバシェフ氏を中心とするチームが、凱旋門を管理するフランスの政府機関・フランス文化財センターとポンピドゥー・センターとの共同で進め、今回実現の運びとなりました。

期間中凱旋門は2.5万平方メートルに及ぶ青みがかった銀のポリプロピレン生地と、3千メートルの赤いロープで包まれます。これらの資材は、撤去後にリサイクルされるとのことです。
クリストは1958年に後の妻となるジャンヌ=クロードとパリで出会い、1961年より共同で公共の場でのアート作品の制作を開始しました。当時、凱旋門の近くの部屋を借りていたクリストは、凱旋門のフォトモンタージュを含む、《包まれた公共建物》の習作に取り組みました。その後、1985年には《包まれたポン=ヌフ、パリ、1975-1985》プロジェクトを実現しました。このポン=ヌフでのプロジェクト以来、パリで実現する二度目の建造物を包むプロジェクトについて、クリストは生前、「ジャンヌ=クロードと私がポン=ヌフを包んでから35年、パリで再びプロジェクトに取り組み《包まれた凱旋門》の実現を熱望しています」*2と語っており、自らの創作活動の出発点となったパリに並々ならぬ思い入れがあったことが伺えます。
クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード財団でも今回のプロジェクトは大々的にプロモーションを行っており、作家の公式ページでは定点カメラでのライブストリーム映像や、日々アップされる様々な現場や見学者の写真などで世界に向けて情報を絶えず発信しています。

個人的には、今回のプロジェクトの成功を弾みにして、是非とも《マスタバ》プロジェクト(アブダビの砂漠にドラム缶を積み上げて高150m×幅300m×奥行225mの台形構造物を作るプロジェクト)の実現を願ってやみません。
(しんざわ ゆう)
Christo and Jeanne-Claude公式ページ(英語)
《包まれた凱旋門》プロジェクトのライブストリーム映像、設営時のタイムラプス動画、作業風景や作業を見学するパリ市民のスナップショットが多数掲載されています。
*1 - Timeout “Paris’s Arc de Triomphe is being wrapped in fabric for an art installation” Wed. 25 Aug. 2021より引用
*2 – 美術手帖 「パリの凱旋門を包む。亡きクリストとジャンヌ=クロードの意思を継ぐ大規模プロジェクト」 Mon. 4 Jan. 2021より引用
「クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード《包まれた凱旋門》プロジェクト L'Arc de Triomphe, Paris」
読者の皆様こんにちわ。例年ならばまだまだ暑い今日この頃、今年はやけに涼しい日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? 先日二回目のワクチン接種を受けた際、副反応で記憶している限り初めて38度以上の熱が出て寝込みました、スタッフSこと新澤です。これから2回目のワクチン接種を受ける皆様には、その後2日は家で大人しく篭っていられるよう準備しておくことを強くお勧めします。
今回ご紹介するのはクリストとジャンヌ=クロードの《包まれた凱旋門》プロジェクト。構想から60年という時間を経ていることに対し、展示期間は2021年9月18日(土)の完成から10月3日(日)までの16日間、その後は撤去されるという、蝉の一生も真っ青なプロジェクトです。

Photo: Matthias Koddenberg © 2021 Christo and Jeanne-Claude Foundation
こちらのリンクから、同じ視点からのライブストリーム映像がご覧いただけます。
こちらのリンクから、同じ視点からのライブストリーム映像がご覧いただけます。
既に、9月23日のブログで柳正彦さんの現地レポートを掲載しましたが、当初は2020年4月に実施される予定でしたが、コロナパンデミックにより延期。その後2020年5月にクリストは亡くなりましたが、彼は生前に「これらのプロジェクトの多くは、私がいなくても構築できることを知ってほしい。必要なことは全て書き出している」*1と語っており、《包まれた凱旋門》プロジェクトはクリストの甥で、長年制作に参加してきたブラディミール・ヤバシェフ氏を中心とするチームが、凱旋門を管理するフランスの政府機関・フランス文化財センターとポンピドゥー・センターとの共同で進め、今回実現の運びとなりました。

延べ3000mのロープと2.5万平方メートルのポリプロピレン生地が凱旋門を包んでいく一幕。
Photo: Benjamin Loyseau © 2021 Christo and Jeanne-Claude Foundation
Photo: Benjamin Loyseau © 2021 Christo and Jeanne-Claude Foundation
期間中凱旋門は2.5万平方メートルに及ぶ青みがかった銀のポリプロピレン生地と、3千メートルの赤いロープで包まれます。これらの資材は、撤去後にリサイクルされるとのことです。
クリストは1958年に後の妻となるジャンヌ=クロードとパリで出会い、1961年より共同で公共の場でのアート作品の制作を開始しました。当時、凱旋門の近くの部屋を借りていたクリストは、凱旋門のフォトモンタージュを含む、《包まれた公共建物》の習作に取り組みました。その後、1985年には《包まれたポン=ヌフ、パリ、1975-1985》プロジェクトを実現しました。このポン=ヌフでのプロジェクト以来、パリで実現する二度目の建造物を包むプロジェクトについて、クリストは生前、「ジャンヌ=クロードと私がポン=ヌフを包んでから35年、パリで再びプロジェクトに取り組み《包まれた凱旋門》の実現を熱望しています」*2と語っており、自らの創作活動の出発点となったパリに並々ならぬ思い入れがあったことが伺えます。
クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード財団でも今回のプロジェクトは大々的にプロモーションを行っており、作家の公式ページでは定点カメラでのライブストリーム映像や、日々アップされる様々な現場や見学者の写真などで世界に向けて情報を絶えず発信しています。

老若男女を問わず、設営作業を見守るパリの住民達
Photo: Lubri © 2021 Christo and Jeanne-Claude Foundation
Photo: Lubri © 2021 Christo and Jeanne-Claude Foundation
個人的には、今回のプロジェクトの成功を弾みにして、是非とも《マスタバ》プロジェクト(アブダビの砂漠にドラム缶を積み上げて高150m×幅300m×奥行225mの台形構造物を作るプロジェクト)の実現を願ってやみません。
(しんざわ ゆう)
Christo and Jeanne-Claude公式ページ(英語)
《包まれた凱旋門》プロジェクトのライブストリーム映像、設営時のタイムラプス動画、作業風景や作業を見学するパリ市民のスナップショットが多数掲載されています。
*1 - Timeout “Paris’s Arc de Triomphe is being wrapped in fabric for an art installation” Wed. 25 Aug. 2021より引用
*2 – 美術手帖 「パリの凱旋門を包む。亡きクリストとジャンヌ=クロードの意思を継ぐ大規模プロジェクト」 Mon. 4 Jan. 2021より引用
コメント