スタッフSの海外ネットサーフィン No.97
「How Andy Warhol’s Chrysanthemum Prints Celebrated Japanese Culture」


 読者の皆様こんにちは。それまでの騒ぎが何だったのかと思うほど、コロナ禍の第5波もようやく落ち着いてきた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか? 緊急事態宣言の解除に伴い飲食店の営業時間が8時から9時に延長され、食生活に彩りが戻ってきてご満悦なスタッフSこと新澤です。

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版画の景色 現代版画センターの軌跡」展
会場:埼玉県立近代美術館
会期:2018年1月16日(火)~3月25日(日)
右から、KIKU1、KIKU2、KIKU3
アンディ・ウォーホル Andy WARHOL「KIKU」シリーズ
1983年、シルクスクリーン(刷り:石田了一)、50.0×66.0cm、Ed.300、サインあり
*現代版画センター・エディション

 本日ご紹介するのは物理的な美術館やイベントではなく、ネットで亭主が見つけてきた以下の記事でございます。
"How Andy Warhol’s Chrysanthemum Prints Celebrated Japanese Culture"
 直訳すると「アンディ・ウォーホルの"KIKU"が如何に日本文化を祝福したか」となるこの記事、artnetという美術系の総合サイト(オークション開催、アートフェア、展覧会のイベント情報、登録画廊の作品案内等)が、登録画廊の一つ、ロンドンのSHAPERO MODERNの取り扱っているウォーホル作品を取り上げたものになります。
 以下、当該記事(一部)の和訳です:

<作家の作品としては、当然ながらマリリンとキャンベルのスープ缶の方が有名ではあるが、ウォーホル個人は「ぼくはいつも花に気付いている」とコメントするほどに、花をモチーフにすることを好んだ。彼は度々この分野へ立ち返り、1980年代の〈ポインセチア〉シリーズのような、カラフルな「花」の作品を制作している。1983年に制作された"Kiku"シリーズもその一つだ。生前、ウォーホルは二度日本を訪れた。一度目は1956年の世界周遊時、そして二度目は1974年の大丸デパートでの個展開催時だった。1983年には日本前衛美術の王者にして現代版画センターの設立者である綿貫不二夫がウォーホルにアプローチした。作家に菊を題材にした作品の制作を持ちかけたのである。結果として、ウォーホルは3枚のシルクスクリーンがセットになった"KIKU"のポートフォリオ300部を制作した。

 ウォーホルの"KIKU"は、日本の伝統的な生活空間の大きさを念頭に置いて作られた作品であり、ウォーホルの作品の中ではある意味ユニークだ。オレンジ、ブルー、レッド、グリーンのエレクトリカルな色彩で構成されるプリントは、目を引くと同時にエレガントで、夜空に爆ぜる花火のようにも見える。この作品は彼のポップな美学を維持しながらも、深く象徴的でもある。菊とは日本の天皇と皇室の古くからの象徴であり(日本のパスポートにも印刷されている)、長寿、若返り、そして秋の季節を表しているからだ。>

 日本前衛美術の王者(champion of the Japanese avant-garde)とかスゴイ表現されてますが、これは本当にウチの画廊亭主と同一人物なのだろうか…事の次第を亭主目線から書いた連載「KIKUシリーズの誕生」では各方面の著名人を原稿料無しでこき使ったと自白(?)しているので、あるいはこれが海外から見ると王者の振る舞いに見えたのか…世の中色々な物の見方があるものです。

 ときの忘れもののブログは毎日更新が自慢ですが、ウォーホルについても相当数の記事がアーカイブされています。ウォーホルについてご興味があれば、秋(と言っても良い程度には過ごしやすくなりました)の夜長のお供に是非ウチのブログ記事「ウォーホルを偲んで」をご覧になってください。

(しんざわ ゆう)

artnet公式サイト(英語)

●本日のお勧めはアンディ・ウォーホルです。
アンディ・ウォーホル Andy WARHOL
"LOVE 2"
1983年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
65.8×50.0cm
E.P. (Ed.100)
サインあり
*KIKUと同じく、亭主が制作に関わったLOVEシリーズの一点です(版元はform)。

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●この秋はじまる新連載はじめ執筆者の皆さんを9月4日のブログでご紹介しました

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