水戸の伊藤公象展を観て

ときの忘れものブログで何度かお知らせしていますが、現在進行中のプロジェクト『伊藤公象作品集』制作にときの忘れものも携わらせていただいており、来春刊行予定です。
11月、笠間の伊藤公象先生のアトリエを訪ねてきました。初めましてでしたが、こんなに穏やかな作家さんは他にいないと思うほど(他の作家さんが気を悪くしないことを祈ります)、とっても優しくて懐の温かい伊藤先生。
そして先日、水戸にあるARTS ISOZAKIさんにお邪魔して、「伊藤公象個展 ソラリスの海《回帰記憶》のなかで」を拝見してきました。
会期=2021年9月18日~2022年3月27日(会期が延長になりました)

水戸駅にほど近い銀杏坂を上ると、突如大きな穴のあいたシャッターが出現。なんとここはギャラリーの入り口なのです。道行く人が二度見するほどで、事故か事件があったのかと思ってしまいますが、作家さんが展覧会で開けた穴だそうです。
ARTS ISOZAKI


回帰記憶伊藤先生の最新作《回帰記憶》は、過去の膨大な書類をシュレッダーにかけ、泥漿を混ぜてティッシュの箱に詰めて焼いた作品です。
伊藤先生は、柔らかな陶磁土を薄くスライスして即興的に一息で曲げる「多軟面体」や、
凍った土を掘り起こして高温で焼く「起土」、最新作のように土に可燃物を混ぜて焼くというユニークな発想で陶造形を制作されています。井野功一先生のエッセイも合わせてご覧ください。


多軟面体_ゴールド畳×ゴールドの多軟面体がマッチしています。


多軟面体_屋上ARTS ISOZAKIのビル屋上に常設している《ブルーパールの襞》。
ちょうど太陽が雲に隠れて作品全体に陰影がなく、パープル、ブルー、グリーンの3色のグラデーションがはっきりと区別されて見えました。珠のように輝く多軟面体が、ひしめき合い、音を立てて増幅しているように感じ、圧巻のインスタレーションです。

多軟面体_屋上2くしゃっとなっている多軟面体は、単体のなかでも陰影ができ、また光の反射や輝き方も個々に違います。溝に雨水が溜まっているものもあり、空の状況によって見え方が変化し、表情豊かです。



実は私、水戸初訪問なのですが(先月笠間を訪ねたときが茨城県初訪問でした。汗)、磯崎新先生設計の水戸芸術館も見逃せないと、訪ねてきました。
水戸芸術館エントランスホール玄関ロビーは、チャーチチェアを置けばまるで教会ですね。


水戸芸術館_エントランス2


水戸芸術館_パイプオルガンパイプオルガンがあります。


水戸芸術館_展示室現代美術ギャラリーの展示室の小部屋が連なり、このトンネルの感じが上手いな~と唸ってしまいます。


水戸芸術館_広場広場/カスケードでは、野外イベントも開催される水戸の住民の集いの広場になっているようです。

事前に小泉晋弥先生に、「ここはイタリアの街が随所にあるよ」と言われていましたが、なるほど!回廊や広場、噴水、教会(に見立てたエントランスホール)など、スケールは小さいものの、イタリアの街が確かにありました。
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水戸芸術館
水戸のタワータワーに昇る気満々でしたが生憎コロナの影響で現在閉鎖中。

拝見できなかった劇場は、施設案内を見るとパリのオペラ座のようですね!


今回は、展覧会のみ拝見でき、劇場とコンサートホール、塔は見られませんでしたが、次回は是非リベンジしたいです。
以下URLの磯崎新先生の「芸術館設計に対する基本理念」を是非お読みください。「水戸芸術館」のことが全て理解できます。


おだちれいこ

●冬季休廊のお知らせ
ときの忘れものは、12月26日(日)~1月3日(月)まで冬季休廊いたします。
休廊中にいただいたメールには1月4日(火)以降に順次ご返信いたします。

●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会Web展)を開催し、美術書の編集事務所としても活動しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
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