彫刻家の澄川喜一先生が二か月前の2023年4月9日に亡くなられました。享年91。
木彫で「そりのあるかたち」を制作し続けた生涯でした。
私たちが東京藝大の教授になったばかりの澄川先生を大学の研究室に訪ねたのは41年前のことでした。平櫛田中賞、中原悌二郎賞を続けて受賞し、「ワタヌキさん、いい作家だよ」と勧めてくださったのは刷り師の岡部徳三先生でした。

当時私たちは専門の版画家ではなく、版画をつくったことにない他ジャンルの作家たち(特に建築家や彫刻家)を口説くことに情熱を傾けていました。
彫刻家では、
小田襄、木内克、飯田善國、舟越保武、関根伸夫、堀内正和、宮脇愛子、セバスチャン、山口勝弘、澄川喜一・・・・

岡部徳三刷りによる澄川先生の初めての版画作品が生まれたのは1982年。
澄川先生は山口県立岩国工業高等学校機械科を卒業後、藝大に進んだ異色の経歴ですが、縁の深い岩国にあった岩国画廊さんとの共同エディションでした。
2018年に埼玉県立近代美術館で開催された「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展に出品し、その後同館に寄贈しました。

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澄川喜一
「フェニックスの翼 A」
「フェニックスの翼 B」
・シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
・制作年:1982
現代版画センターエディション No.501, 502
*現代版画センターと岩国画廊の共同エディション

謹んでご冥福をお祈りいたします。

●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com
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営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊