杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」第104回
木造の学校

今日はBaarという地域にある小学校の現場見学に行きました。
僕たちが取り組んでいるプロジェクトと似たような構造方針の現場があるので、良かったら見に行ってはどうか。と協働している現場監督から知らせを受けました。住まいのあるスイスのクール市からチューリッヒ方面へ車を一時間半ほど走らせた距離にあります。
昨今の日本でも見られるように、スイスでも木造建築建設ラッシュが続いており、公共建築ではほとんど木造の新築しか建てられていないように思います。そもそもスイスは国土に対する森林の割合が日本と同様に大きく供給量も多いことからも、理にかなっているのです。

木材で大きな建物を作るには、大断面の柱や梁が必要です。一般的に建材として用いられる針葉樹は、まっすぐ垂直に成長するので長い材は取りやすいものの幹は比較的細く、スタンダードなサイズとしては長方形断面で長手が26cmくらいのものを取るのが精一杯です。

そこでBrettschichtholz (集成材)の登場となります。今回見学した学校は集成材の柱と梁で構成されています。最高高さが11mを超えると防火制限が厳しくなるために、建物高さをそれ以下に収められる地上3階建てにすることが多く、今回もそのケースのようでした。壁柱は集成材26x60cmという長方形断面です。梁のサイズは測れなかったのですが、通常なら体育館のスパンを飛ばすには180-200cmくらいの梁せいが必要です。これらは石膏ボードでカバーされているのではない、木材のみでできた柱梁で、火事での燃え代を考慮して断面計算がされています。
僕たちのプロジェクトも、集成材の柱と梁を用いています。ちょうど木造部分の入札が始まるところで、良いインプットをもらえました。
(すぎやま こういちろう)
■杉山幸一郎 SUGIYAMA Koichiro
日本大学、東京藝術大学大学院にて建築を学び、在学中にスイス連邦工科大学に留学。2014年から2021年までアトリエピーターズントー。現在、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で設計を教える傍ら、建築設計事務所atelier tsuを共同主宰。2022年1月ときの忘れものにて初個展「杉山幸一郎展スイスのかたち、日本のかたち」を開催、カタログを刊行。
世の中に満ち溢れているけれどなかなか気づくことができないものを見落とさないように、感受性の幅を広げようと日々努力しています。
・ 杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
●本日のお勧め作品は杉山幸一郎です。
“Line & Fill 06”
2020年
水彩
42.0×29.7cm
サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●12月7日(土)は臨時休廊いたします。
●ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
木造の学校

今日はBaarという地域にある小学校の現場見学に行きました。
僕たちが取り組んでいるプロジェクトと似たような構造方針の現場があるので、良かったら見に行ってはどうか。と協働している現場監督から知らせを受けました。住まいのあるスイスのクール市からチューリッヒ方面へ車を一時間半ほど走らせた距離にあります。
昨今の日本でも見られるように、スイスでも木造建築建設ラッシュが続いており、公共建築ではほとんど木造の新築しか建てられていないように思います。そもそもスイスは国土に対する森林の割合が日本と同様に大きく供給量も多いことからも、理にかなっているのです。

木材で大きな建物を作るには、大断面の柱や梁が必要です。一般的に建材として用いられる針葉樹は、まっすぐ垂直に成長するので長い材は取りやすいものの幹は比較的細く、スタンダードなサイズとしては長方形断面で長手が26cmくらいのものを取るのが精一杯です。

そこでBrettschichtholz (集成材)の登場となります。今回見学した学校は集成材の柱と梁で構成されています。最高高さが11mを超えると防火制限が厳しくなるために、建物高さをそれ以下に収められる地上3階建てにすることが多く、今回もそのケースのようでした。壁柱は集成材26x60cmという長方形断面です。梁のサイズは測れなかったのですが、通常なら体育館のスパンを飛ばすには180-200cmくらいの梁せいが必要です。これらは石膏ボードでカバーされているのではない、木材のみでできた柱梁で、火事での燃え代を考慮して断面計算がされています。
僕たちのプロジェクトも、集成材の柱と梁を用いています。ちょうど木造部分の入札が始まるところで、良いインプットをもらえました。
(すぎやま こういちろう)
■杉山幸一郎 SUGIYAMA Koichiro
日本大学、東京藝術大学大学院にて建築を学び、在学中にスイス連邦工科大学に留学。2014年から2021年までアトリエピーターズントー。現在、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で設計を教える傍ら、建築設計事務所atelier tsuを共同主宰。2022年1月ときの忘れものにて初個展「杉山幸一郎展スイスのかたち、日本のかたち」を開催、カタログを刊行。
世の中に満ち溢れているけれどなかなか気づくことができないものを見落とさないように、感受性の幅を広げようと日々努力しています。
・ 杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
●本日のお勧め作品は杉山幸一郎です。
“Line & Fill 06” 2020年
水彩
42.0×29.7cm
サインあり
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●12月7日(土)は臨時休廊いたします。
●ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
コメント