◆「2025コレクション展4/瑛九、ウォーホル、ホックニー他」は本日最終日です。
明日8月17日はフェルナン・レジェの命日(享年74)で、没後70年にあたります(Fernand Leger、1881年2月4日 – 1955年8月17日)。
本日はフェルナン・レジェの希少な版画作品をご紹介します。

レジェの版画のサインがもし鉛筆だったら偽物と思え。

今から半世紀も前に先達から教えていただきました。
版画が広く流通するようになった20世紀、マーグやベルグランなどヨーロッパを代表する画商・版元は複数芸術である版画の価値を棄損しないよう、カタログレゾネ(総目録)の刊行に尽力し、サインや限定番号などのルールの普遍化をはかります。
サインや限定番号の記入は通常は鉛筆でされています。
なぜか。
鉛筆で書かれた文字は耐久性があり、たとえ水で濡れても(インクと違い)消えることなない。
自然には消えないが、消しゴムで消すことはできる(つまり、精巧に印刷された偽サインを見破るには、その端っこを消しゴムでちょっと消す、消せれば本物ですね)。
ところがレジェは鉛筆ではなく、版画のサインはボールペンでした。
なぜか。
レジェが機械文明を評価し、新しもの好きだったことは良く知られています。
さてここでボールペンの歴史を辿ると

最初のボールペンは、1884年にアメリカで発明されました。しかし、当時のものはインクもれがひどく、一般的に普及することはありませんでした。現在のボールペンの原理を発明したのはハンガリー人のラディスラオ・ピロさん。1943年のことでした。
ラディスラオ・ピロさんの仕事は、新聞記事の文字をチェックする校正係。そこから、新聞の印刷用のインクは、にじみにくく、乾(かわ)きやすいことに着目し、筆記具への転用を考えました。そこで当時不完全であったボールペンに、ねん度の高いインクを入れて先端(せんたん)のボールの回転でインクを引き出す方式を考え出したのです。(トンボKIDSのサイトより)

新しもの好きのレジェは、新発明の筆記用具ボールペンに早速とびつき、自分の版画のサインに使ったわけです。
ボールペンのサインは濡れても消えない、ところが水では消えなかったサインが日の光(太陽)には弱かった。
残念なことに、レジェの版画でサインが薄くなっているもの(消えかかっている)が多いのはそのためです。
ご紹介する作品は、よほど保管が良かったのでしょうね。見事にサイン(ボールペン)が残っています。
超お買い得作品です。

leger_02
フェルナン・レジェ
〈ALBUM OF 10 SERIGRAPHS〉より《無題》
シルクスクリーン
Sheet size: 42.2×23.0cm
Ed. 200
サインあり(ボールペン)
http://www.tokinowasuremono.com/artist-b89-leger/leger_02.html

◆「2025コレクション展4/瑛九、ウォーホル、ホックニー他」
会期:2025年8月1日(金)~8月16日(土) 11:00~19:00 ※日曜・月曜・祝日休廊

出品作家:靉嘔、赤瀬川原平、安藤忠雄、畦地梅太郎、泉茂、石山修武、磯辺行久、伊藤公象、瑛九、オノサト・トシノブ、恩地孝四郎、加藤清之、北川太郎、草間彌生、倉俣史朗、島州一、嶋田しづ、田名網敬一、難波田龍起、野田哲也、長谷川潔、日和崎尊夫、舟越保武、舟越直木、堀尾貞治、槇文彦、宮脇愛子、元永定正、百瀬寿、山口薫、横尾忠則、若林奮、アンディ・ウォーホル、ジョン・ケージ、ジャン・フォートリエ、デイヴィッド・ホックニー、ソニア・ドローネー、フェルナン・レジェ、マリー・ローランサンほか。
出品全47点の画像とデータは8月2日ブログに掲載しました。  

8月24日(日)~9月1日(月)は夏季休廊いたします。誠に勝手ながらメール等のお問い合わせには9月2日以降に対応しますのでご了承ください。

●ときの忘れものの建築空間(阿部勤 設計)についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
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E-mail:info[at]tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。