2月19日(水)にGA Galleryにて開催された安藤忠雄先生のギャラリートーク「可能性はどこにでもある」を聴講してきましたのでご報告のレポートです。
GAギャラリーの外観。
【開催日】 2025年2月19日(水)14:00~15:00 ギャラリートーク
【場所】 GAギャラリー(151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-12-14)
GAギャラリーの入り口。
GAギャラリーのロゴ。
安藤先生に初めてお会いできる!と楽しみにしていた私にGA Galleryからメールが・・
「東海地方の雪の影響で、急遽、安藤氏がおいで下さることが困難になり、誠に残念ではございますが、ギャラリートークをリモート形式で行わせていただくことになりました。(GA Galleryからのメールより)」
これは残念!ですが、せっかく申し込んだので代々木駅から徒歩でギャラリーへ向かいました。
GAギャラリー内のイベント案内。
会場には100名程の参加者が集まっていました。椅子席は満席でまわりを取り囲んで立ち見の方が大勢。安藤先生のお知り合いの方も多くいらっしゃっているようでした。
大阪の安藤忠雄建築研究所とGA GalleryをZoomでつなぎ、ギャラリートーク開始。
プロジェクタでスライドを流しながらのトーク。安藤先生は青色のシャツに黒の上下の服姿。テーブルの前で身振り手振りをしながら。背後には模型が並べられていました。
まずは、安藤先生が最近よく建物に設置している青春の「青リンゴ」について。これは高さ3m。日本で作ると330万円かかるそうですが中国だと380万円。意外ですが中国の方が高いそうです。海外で青リンゴをン千万円で売りたいと言われ、売れるのか?と思ったが10個売れたそう。「日本はもっと意欲をもて!」と安藤先生。
書籍『TADAO ANDO RECENT PROJECT 3』(2021年発行)は、参加者にサイン入りが用意されていました。
安藤先生の中学時代の話へ。長屋の改築の大工さんを手伝ったことがあるそうで、その出来栄えは今見てもなかなか良いんだよねと。ここで安藤先生が「このまましゃべり続けてもつまらない。会場から質問どうぞ。」と急遽質問コーナーへ。
すかさず会場の男性の質問「安藤先生は”時間”についてどう考えているか?」
安藤先生の回答「パリとかヴェネツィアとか現在過去未来、歴史を考えざるを得ない。それは大事なこと。はい次~」とサクサク進める安藤節炸裂。
孤独を和らげる空間を研究している女性の質問「孤独について先生はどう思うか?」
回答「(この現代で)スマートフォンは連絡しかとれない。あくまでも道具だと思っている。心のコミュニケーションは取れない。」と間髪入れず答えていく安藤先生。
書籍『TADAO ANDO RECENT PROJECT 3』の中には、住吉の長屋のイメージにサインがされていました。
質問を挟みながら、パリの新現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」など最近の仕事の話に移っていきます。
明石海峡大橋の近くに建てた「4x4の家」の話にも。窓から瀬戸内海が見えるようにした設計で、「狭いけど見えている海が全部自分のものだと思ったら広く感じるだろう」という家。出来上がってから施主の子供がトイレに行くのに一日に何度も上り下りしないといけない!とブツブツ文句を言っていたそうですが「もっと元気よくいけ!」と安藤先生が一喝ようです。(会場笑い)
直島の話では、ベネッセの福武總一郎さんから世界一の美術館にしたいという依頼を受け、はじめは「そんなとこに人は来ない」と断ったそうですが、福武さんの熱意で仕事が始まったそう。シンボルの草間彌生の黄色い南瓜のオブジェは、当時300万円で買って海岸に設置したそう。瀬戸内海は地震も少ないから大丈夫だと思っていたが台風でよく流され、壊れた南瓜を草間さんに相談したら「芸術は一度きりだ」と言われ、新しい南瓜を買うことになったそう。そうしたら4億円だった!と。草間先生のことを「この人は迫力がありますね。女性は長生きします」とも仰っていました。
大阪市中央公会堂の前にある「こども本の森 中之島」の前には、公道があったがそれを無くしたらどうかと大阪市に提案したそうですが、初めは「一度つくった公道は無くすことはできない」と言われたそう。しかし安藤先生が何度も掛け合うと覆ったそうで、今は道が広場になっています。
安藤先生は1965年にシベリア鉄道からヨーロッパをまわってマルセイユからアフリカ、マダガスカルなど・・を旅をした経験から、「地球は色んな人が住んでいる。建築の仕事を通して(彼らのために)何かできないかと思った。」とのこと。
最後にも質問コーナー。
質問「一心不乱にやり通す原動力は?」
回答「喧嘩でも一心不乱にやった。とにかくおもしろいことをやる。なかなかできないもんだが、(自分は)内臓が無いから軽くて身軽でいいもんですわ」と。(会場笑い)
質問「日本より外国が面白いと仰る理由は?」
回答「日本はまったく面白くない。アウトですわ。仕事しててもパソコンばっかり見て夜まで話しない人もおるでしょ。だめ。アメリカのトランプは迫力がある。こっちもまぁまぁ迫力あるけど笑(石破首相のことか)」
質問「アイディアの源は?」
回答「おもしろいことを探すこと。若い頃に面白いことをしなければだめ」
質問「今日の質問者で、孤独について考える人が多いように感じたがどうですか」
回答「スマートフォンが全部とっていってしまう。全力でがんばっていけば自分の世界ができてくる。なかなか難しいが。おもしろいことが大事。でもなかなか飛び込めない。若いうちからどんどんやること!」
終始、しゃべり倒されエネルギーに満ちた83歳の安藤先生でした。
まだまだお元気で「おもしろいこと」を続けていただきたいです!
来月からは大阪で「安藤忠雄展 | 青春」が開催されるそうですので、そちらでもしイベントがあるときにはお会いしてご挨拶したいなぁ・・・
「安藤忠雄展 | 青春」
会期: 2025.03.20(Thu) – 2025.07.21(Mon) 休館日 月曜
会場: VS.(グラングリーン大阪)
https://vsvs.jp/exhibitions/tadao-ando-youth
大阪で開催される「安藤忠雄展 | 青春」のチラシ(表)
チラシ(裏)
きっと大阪の展覧会でも安藤先生のエネルギーが満ちていると思いますので、ぜひ皆さんもエネルギーを受け取りに行ってみてください!
(スタッフM)
●本日のお勧め作品は安藤忠雄です。
今週のおすすめ作品はときの忘れものがエディションした《安藤忠雄版画集 1998》のうちの1点《大山崎山荘I》です。

1998年
シルクスクリーン
イメージサイズ:50.0x81.0cm
シートサイズ:60.0x90.0cm
B版:洋紙刷り(かきた紙)、Ed.35
自筆サインあり
*ときの忘れものエディション
作品の舞台となったのは、実業家・加賀正太郎氏が大正から昭和初期に建設した「大山崎山荘」に安藤先生設計の新館「地中の宝石箱」などを加えて1996年に開館した「大山崎山荘美術館」。同館では現在、「松本竣介 街と人 -冴えた視線で描く-」展が開催されています(スタッフMのレポート、綿貫夫妻の訪問記はこちら)。
作品の見積り請求、在庫確認はメール(info@tokinowasuremono.com)またはお電話(03-6902-9530)にて承ります。メールには必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆「没後60年 ル・コルビュジエ 建築讃歌」
会期:2025年3月11日(火)~3月22日(土) 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
ル・コルビュジエは 建築設計とともに油彩、彫刻、版画を精力的に制作しました。本展では版画作品を紹介するとともに、磯崎新、安藤忠雄、マイケル・グレイブス、六角鬼丈、高松伸など建築家のドローイング、版画作品も併せてご覧いただきます。
出品作品の詳細は3月1日ブログに掲載しました。

●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

GAギャラリーの外観。【開催日】 2025年2月19日(水)14:00~15:00 ギャラリートーク
【場所】 GAギャラリー(151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-12-14)
GAギャラリーの入り口。
GAギャラリーのロゴ。安藤先生に初めてお会いできる!と楽しみにしていた私にGA Galleryからメールが・・
「東海地方の雪の影響で、急遽、安藤氏がおいで下さることが困難になり、誠に残念ではございますが、ギャラリートークをリモート形式で行わせていただくことになりました。(GA Galleryからのメールより)」
これは残念!ですが、せっかく申し込んだので代々木駅から徒歩でギャラリーへ向かいました。
GAギャラリー内のイベント案内。会場には100名程の参加者が集まっていました。椅子席は満席でまわりを取り囲んで立ち見の方が大勢。安藤先生のお知り合いの方も多くいらっしゃっているようでした。
大阪の安藤忠雄建築研究所とGA GalleryをZoomでつなぎ、ギャラリートーク開始。
プロジェクタでスライドを流しながらのトーク。安藤先生は青色のシャツに黒の上下の服姿。テーブルの前で身振り手振りをしながら。背後には模型が並べられていました。
まずは、安藤先生が最近よく建物に設置している青春の「青リンゴ」について。これは高さ3m。日本で作ると330万円かかるそうですが中国だと380万円。意外ですが中国の方が高いそうです。海外で青リンゴをン千万円で売りたいと言われ、売れるのか?と思ったが10個売れたそう。「日本はもっと意欲をもて!」と安藤先生。
書籍『TADAO ANDO RECENT PROJECT 3』(2021年発行)は、参加者にサイン入りが用意されていました。安藤先生の中学時代の話へ。長屋の改築の大工さんを手伝ったことがあるそうで、その出来栄えは今見てもなかなか良いんだよねと。ここで安藤先生が「このまましゃべり続けてもつまらない。会場から質問どうぞ。」と急遽質問コーナーへ。
すかさず会場の男性の質問「安藤先生は”時間”についてどう考えているか?」
安藤先生の回答「パリとかヴェネツィアとか現在過去未来、歴史を考えざるを得ない。それは大事なこと。はい次~」とサクサク進める安藤節炸裂。
孤独を和らげる空間を研究している女性の質問「孤独について先生はどう思うか?」
回答「(この現代で)スマートフォンは連絡しかとれない。あくまでも道具だと思っている。心のコミュニケーションは取れない。」と間髪入れず答えていく安藤先生。
書籍『TADAO ANDO RECENT PROJECT 3』の中には、住吉の長屋のイメージにサインがされていました。質問を挟みながら、パリの新現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」など最近の仕事の話に移っていきます。
明石海峡大橋の近くに建てた「4x4の家」の話にも。窓から瀬戸内海が見えるようにした設計で、「狭いけど見えている海が全部自分のものだと思ったら広く感じるだろう」という家。出来上がってから施主の子供がトイレに行くのに一日に何度も上り下りしないといけない!とブツブツ文句を言っていたそうですが「もっと元気よくいけ!」と安藤先生が一喝ようです。(会場笑い)
直島の話では、ベネッセの福武總一郎さんから世界一の美術館にしたいという依頼を受け、はじめは「そんなとこに人は来ない」と断ったそうですが、福武さんの熱意で仕事が始まったそう。シンボルの草間彌生の黄色い南瓜のオブジェは、当時300万円で買って海岸に設置したそう。瀬戸内海は地震も少ないから大丈夫だと思っていたが台風でよく流され、壊れた南瓜を草間さんに相談したら「芸術は一度きりだ」と言われ、新しい南瓜を買うことになったそう。そうしたら4億円だった!と。草間先生のことを「この人は迫力がありますね。女性は長生きします」とも仰っていました。
大阪市中央公会堂の前にある「こども本の森 中之島」の前には、公道があったがそれを無くしたらどうかと大阪市に提案したそうですが、初めは「一度つくった公道は無くすことはできない」と言われたそう。しかし安藤先生が何度も掛け合うと覆ったそうで、今は道が広場になっています。
安藤先生は1965年にシベリア鉄道からヨーロッパをまわってマルセイユからアフリカ、マダガスカルなど・・を旅をした経験から、「地球は色んな人が住んでいる。建築の仕事を通して(彼らのために)何かできないかと思った。」とのこと。
最後にも質問コーナー。
質問「一心不乱にやり通す原動力は?」
回答「喧嘩でも一心不乱にやった。とにかくおもしろいことをやる。なかなかできないもんだが、(自分は)内臓が無いから軽くて身軽でいいもんですわ」と。(会場笑い)
質問「日本より外国が面白いと仰る理由は?」
回答「日本はまったく面白くない。アウトですわ。仕事しててもパソコンばっかり見て夜まで話しない人もおるでしょ。だめ。アメリカのトランプは迫力がある。こっちもまぁまぁ迫力あるけど笑(石破首相のことか)」
質問「アイディアの源は?」
回答「おもしろいことを探すこと。若い頃に面白いことをしなければだめ」
質問「今日の質問者で、孤独について考える人が多いように感じたがどうですか」
回答「スマートフォンが全部とっていってしまう。全力でがんばっていけば自分の世界ができてくる。なかなか難しいが。おもしろいことが大事。でもなかなか飛び込めない。若いうちからどんどんやること!」
終始、しゃべり倒されエネルギーに満ちた83歳の安藤先生でした。
まだまだお元気で「おもしろいこと」を続けていただきたいです!
来月からは大阪で「安藤忠雄展 | 青春」が開催されるそうですので、そちらでもしイベントがあるときにはお会いしてご挨拶したいなぁ・・・
「安藤忠雄展 | 青春」
会期: 2025.03.20(Thu) – 2025.07.21(Mon) 休館日 月曜
会場: VS.(グラングリーン大阪)
https://vsvs.jp/exhibitions/tadao-ando-youth
大阪で開催される「安藤忠雄展 | 青春」のチラシ(表)
チラシ(裏)きっと大阪の展覧会でも安藤先生のエネルギーが満ちていると思いますので、ぜひ皆さんもエネルギーを受け取りに行ってみてください!
(スタッフM)
●本日のお勧め作品は安藤忠雄です。
今週のおすすめ作品はときの忘れものがエディションした《安藤忠雄版画集 1998》のうちの1点《大山崎山荘I》です。

1998年
シルクスクリーン
イメージサイズ:50.0x81.0cm
シートサイズ:60.0x90.0cm
B版:洋紙刷り(かきた紙)、Ed.35
自筆サインあり
*ときの忘れものエディション
作品の舞台となったのは、実業家・加賀正太郎氏が大正から昭和初期に建設した「大山崎山荘」に安藤先生設計の新館「地中の宝石箱」などを加えて1996年に開館した「大山崎山荘美術館」。同館では現在、「松本竣介 街と人 -冴えた視線で描く-」展が開催されています(スタッフMのレポート、綿貫夫妻の訪問記はこちら)。
作品の見積り請求、在庫確認はメール(info@tokinowasuremono.com)またはお電話(03-6902-9530)にて承ります。メールには必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆「没後60年 ル・コルビュジエ 建築讃歌」
会期:2025年3月11日(火)~3月22日(土) 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
ル・コルビュジエは 建築設計とともに油彩、彫刻、版画を精力的に制作しました。本展では版画作品を紹介するとともに、磯崎新、安藤忠雄、マイケル・グレイブス、六角鬼丈、高松伸など建築家のドローイング、版画作品も併せてご覧いただきます。
出品作品の詳細は3月1日ブログに掲載しました。

●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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