ただいま画廊では「作品集/塩見允枝子×フルクサス」刊行記念展を開催中ですが、
先日「観客参加のフルクサス・パフォーマンス」を開催いたしました。
開催期日:11月28日(金)、29日(土)16~17時30分
参加された方々の感想は順次ご紹介してまいります。

塩見先生が今回のためだけにプログラムを考えてくださいました。
■川崎槙耶(かわさき まや)
ピアニスト、実験音楽パフォーマー。東京藝術大学附属高校及び東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。学内にて同声会賞を受賞。演奏行為の拡張、作品と演奏の新たな関係性をテーマに作品制作や公演の企画制作、ピアノ演奏、パフォーマンスを行う。2024年に作曲家の柴山真太朗氏とユニット「CreativeMMCP」を結成し主催公演を企画制作。そのほか「両国アートフェスティバル」など多くの実験音楽公演に出演。
■柴山真太朗(しばやま しんたろう)
作曲家、演奏家。愛知県立芸術大学作曲科を経て、東京芸術大学作曲科を卒業。学内にて同声会賞を受賞し、同大学院修士課程を修了。第36回現音作曲新人賞を受賞。これまでに作曲を山本裕之、鈴木純明の各氏に師事。現在、昭和音楽大学にて非常勤講師を務め、作曲家の近藤譲氏の後任として楽式論の授業を担当。

1.《ドリップ・ミュージック:セカンド・ヴァージョン》 ジョージ・ブレクト を演奏する柴山真太朗さん。
<時間の経過を忘れるほど楽しかったです。
小さな耳をすまさなければならない音から建物全体に響きわたる音へとひろがる様子が素晴らしかったです。
参加された皆さんが「こういうパフォーマンスは初めてです」とのコメントをされていましたが、全員が堂々と参加され、とても楽しまれているのがわかりました。
フルクサス・コンサートを個人宅の体裁をもった場所で行うのは珍しいのではと思いますが、構成や演出がその特性をいかしているように感じました。
階段を声が駆け上がる様子など、美しいものでした。パフォーマンス終了後の参加者との会話も興味深いものでした。同じ時間を共有した基盤があるためなのか、お互いにつながる要素を話し合う様子が,ある種のコラボレーションのように見えました。つながりが大切だなと思った瞬間でした。
中村惠一さん>

2. 《ウォーター・ミュージック:ヴァージョン2012/2025》(塩見允枝子)を演奏する参加者。
<「フルクサス・パフォーマンス」
本当に貴重な体験でした
心配していた通りメンバーは専門家の方々ばかりで私のような門外漢が一人加わったことにより演奏の完成度に少なからず影響したのではとの思いは捨て切れていませんけれども楽しい時間を過ごすことができたのは間違いありません
終演後には参加者の皆さんとのお話しにも加われて嬉しかったです
先に失礼するのは名残惜しい気持ちもあったのですがあの時間からでも乗り換え時間を含め自宅に戻ったのは10時を回ってしまいました(つくづく文化・芸術の中心地からの距離を物理的にも精神的にも実感した次第です)
1960年代70代の「古き良き時代」の新しい音楽が「専門(笑)」の私に取ってマース・カニングハム・ダンスカンパニーによるCageの「Ocean」、ブーレーズ・フェスティバル、「東京の夏・音楽祭」のシュトックハウゼンの来日コンサート、水戸芸術館での現代作曲家シリーズ、芦屋と名古屋での小杉武久、大阪での塩見允枝子さんの一連のイヴェント等々…に並ぶ(それ以上の!)想い出になりました
ありがとうございます‼️
Yさん>
<今回のパフォーマンスはどれも楽しかったのですが、最初のドリップミュージックと最後の「天空に向かって」(エコー装置)が特に私は気に入りました。
ドリップミュージックの、2階から水槽に落ちる滴が水面に当たった時の波、それを上や横や下から角度を変えて眺めると、水の動きで光の反射が変わったり、滴が当たった時の泡だったり、それぞれ違った印象でいつまでも見飽きることがありませんでした。
「天空に向かって」(エコー装置)は後ろの人からの声や音を頼りに同じ言葉や音を発するのですが、意外とテンポが速くちょっとだけ緊張感のあるゲームをしているような気持ちでした。階下から次第に上っていく声や音の連鎖がドミノ倒しみたいだなと思いました。
このほかのパフォーマンスで私は張り切りすぎてかなり動き回ったため持参した小物を少し壊してしまいましたが、かえってそういうことがいつまでもこのイベントが私の記憶に残るのではないかと思います(楽しくてもはしゃぐのは程々にしましょう。笑)
Aさん>

8作品それぞれで使用する小道具が違うため、順番に整列された机を用意しました。

3. 《コンポジション1960 #10》 ラ・モンテ・ヤング
『直線を引いてそれを辿れ』という内容の曲。床から1mの高さの紐を張って、それを辿りながら参加者は演奏します。
<小春日和。こんなあたたかで穏やかな日だというのに緊張で手足が冷たい。大体普段は発送業務でコンポウヤーの自分がフォーマルな格好をして、、というところから身体がカチコチになってしまう。
この日の為に長い時間をかけて少しづつ準備をされて来た塩見允枝子先生や参加される皆様に迷惑をかけてしまわないだろうかなどなとマイナス思考ばかりが湧き上がる始末。
そしていざ開演!
川崎槙耶さんと柴山真太朗さん
の静かさの中にも厳格さを含んだ声でパフォーマンスがスタート。
画廊は皆さんの心臓の音が聞こえて来そうな位静かな空間に変化していた。
事前に演目の丁寧な説明とスタッフによる動きのデモンストレーションで混乱無く淡々とプログラムが進んで行く。
それにしても、普段自分が絶対にやらない動作、発声をする事がこれほどまでアウトプット出来て、爽快感があじわえるとは思わなかった。私の五感がスパークする感じ。
特に最期の演目、塩見允枝子先生献呈初演!「天空に向かって」(エコー装置)は1階の踊り場から3階までの画廊空間を最大限に活かした色々な立場の方がほぼ等間隔に立ち伝言ゲームのように言葉と音の響きをバトンタッチしていくというものでコンクリートの天井から声が降りてくる感覚がなんとも言えず、最期のセリフ「おーーーい!」でもう、泣きそうになってしまった。(上手く行った安堵と緊張から解かれたせいか、、)
終演後皆が上気した顔を見合わせながら盛大な拍手で幕が降りた。
塩見先生へ
塩見先生が想像を巡らし描いた世界と実際に行なわれたパフォーマンスはどれくらい違う世界だったでしょうか?
マチューナス的にはとても素敵なアクシデントがなかった!と残念がる位に皆様完璧な演奏だったと思います。
人と繋がる、自分を見つめる特別な時間を与えて頂き最高でした。
すっかり癖になってしまったのでぜひまた演奏したいです。
本当にありがとうごさいました!!
スタッフKより>
<川崎槙耶さん、柴山真太朗さんとときの忘れものの皆さんの導きで、展示や映像では分からないフルクサスの魅力(と、やはり分からなさ)を味わえたように思います。
特に塩見先生の新作「天空へ向かって」は、空間だけでなく、その場に居合わせた人々とのつながりまでが感じられ、音と関係が目に見えるかのようでした。
その夜、夢に塩見先生が出てきたのですが、これで私も先生の作品の一部になれたということでしょうか…?
Tさん>

5. 《アドリアノ・オリヴェッティへの追悼》 ジョージ・マチューナス
乱数表を配布して、自分が選んだ数字のときだけ音や動作を演奏する曲。

6. 《5人の演奏者の為の10のアレンジメント》 エメット・ウィリアムズ 演奏の様子。
<先日は「観客参加のフルクサス・パフォーマンス」,とても楽しかったです。ありがとうございます。
家内も私も,とても楽しくて,また,機会があればぜひ参加したいね,と話しております。
このような参加型パフォーマンスのイベントはまったく初めてでしたが,本当に楽しかったです。ギャラリーのみなさんもいつも以上に賑やかで活気があって,とても楽しい時間でした。イベントの後で,司会進行のお二人と少しですがお話しすることができたのもうれしかったです。現代音楽・実験音楽の方にお会いするのも初めての機会でしたが,少しでもお話しが聞けると,理解するためのとっかかりができるような気がします。
塩見さんにもフルクサスにも惹かれるのですが,不勉強でよく分かっていません。今回のイベントのように自分がその中に入って経験できると,なにかの感覚が自分の中で生まれるような気がします。
感想は「本当に楽しかったです。また,参加したいです。」ということに尽きるので,以下は余計かなとも思いつつ,感じたことを少し書いてみました。
このような参加型のパフォーマンスのイベントは初めての経験でしたが,とても楽しかったです。さまざまな場面が思い浮かびますが,どのひとつをとっても楽しく、盛り上がっていて,記憶にずっと残る時間でした。同時に,この機会は,音,音楽,日常/日常性と作品,場面,逸脱,変形,連続性,参加すること,体を動かすこと,見ること,対話,連携,ルール,等々...多くのことを考えたくなる時間でもありました。また,演劇や美術やことばについてと,広がっていくような感覚もありました。
振り返ってみると,一連の出来事が,大きな波あるいは場面の移り変わりのようなものの全体として浮かんできます。イベントへのお誘い,音の出る小物体を持参せよとの事前の指示,イベント前の日々/事前準備(音の出る小物体の探索),当日のお出かけ,ギャラリー到着,展示作品,イベント開始前のひとときの会話,イベントの開始,イベント,イベント後のひとときでの雑談,帰り道,帰宅,イベント後の日常。その全体に,感じたり,考えたりするとっかりがさまざまにあるように感じます。意識して見てみようと思うことなども増えました。音の出る小物体をなんでもいいから探すという行為で既にイベントは始まっていて,それがイベントで一点に集まり,また,それぞれの普段に戻るのだけど,イベントの何かが続いているような感覚があります。
経験とはそういうものなのかもしれませんが,その全体が「作品」を経験することのようにも思えます。(プログラム最後の「演奏」の中で使ったペアの鈴は塩見さんご自身が紐で結んだものとのことで,おみやげにもらって帰りましたが,小さな記念の品という以上に,記憶の中で根をおろして,何かを呼び覚ますように感じます。)
さらに,塩見さん構成のイベントのプログラムに思い至ります。静かできれいな,透明な水槽に落ちる水滴の音と波紋による幕開けの「《ドリップ・ミュージアム セカンドバージョン》」から,顔を見ながら声を出して,ことばを順に伝えていく,プログラム最後の,いちばん盛り上がって楽しかったと感じた今回が初演奏の塩見さんの新作「《天空へ向かって》(エコー装置)」まで。そのように構成がされているということを。イベントの前,塩見さんの「数の回路」とこのイベントとはどう関係するのかと考えておりました。別の文脈にある自分の問題としても(要素と要素がつながる)「回路」には関心があり,塩見さんの「数の回路」は,よく分からないけど気になる不思議なものとしてウチにあります(「演奏」もまだたどたどしい状態で)。今回のイベントを経て,なぜ「回路」なのか,その意味の影のようなものを感じたのかなという気がしております。黒で正装をして,普段は見ない高いテンションのパフォーマンスだったギャラリーのみなさん,集中力がすごいなと思った参加者のみなさま,対照的に静かで冷静な佇まいの進行役の川崎さんと柴山さんのおふたり。ギャラリーの1階から3階までをフルに使った
イベントは静と動,秩序と無秩序の振幅の中に自分がいるというひとときを経験させてくれたように思います。
塩見允枝子もフルクサスもほとんど知らないまま,尾立さんから今回のイベントの話を聞いたその場で参加したいと返事をいたしました。家内とふたりで参加しましたが,本当に楽しく,帰り道では,楽しかったね,また参加したいねと話しながら駅まで歩きました。楽しいイベントに参加させていただき,ありがとうございました。
楽しかったです。
Kさん>
<作品集「塩見允枝子×フルクサス」刊行記念展のオープニング・パフォーマンス(2025年11月28日)に、メールアート作家中村恵一さん、ペインターの浦川大志さん、ピアニストの川崎槇耶さん、作曲家の柴山慎太朗さん、ときの忘れもののスタッフの方々とともに参加してきました。
1時間半で8スコアを上演したので、結構フィジカルに大変でしたが、楽しかったです。ほぼ全員プロとあって、リハーサル1回でピタッと合って最高でした(フルクサスなのでプログラムや案内には「観客参加の」とありますが、純然たる一般参加は3名?)。
ピアニストの川崎槇耶さん、作曲家の柴山慎太朗さんは、2026年2月7日(土)14:00~世田谷美術館にて、ジョン・ケージなどフルクサス・リサイタルを上演予定だそうです。楽しみです!
深瀬鋭一郎さんのfacebookより>

7. 《Op.444》 エリック・アンダーセン を演奏する柴山さんと参加者Uさん。
<土曜日には、フルクサスパフォーマンスに参加させて頂きありがとうございました。
初めての経験で刺激的でした。
参加者の方々と一体化できたのと
声を出す喜びを味わえて楽しい時間を過ごすことができました。
塩見先生とても頭の柔らかい方でいらっしゃるなと感じました。
スタッフの皆様準備大変だったと思います。
ご苦労様でした。
Rさん>

8. 《天空へ向かって》 (エコー装置) 塩見允枝子 献呈新作・初演 の演奏の様子。
ときの忘れものの建物LAS CASAS(阿部勤先生による個人住宅、1994年竣工、鉄筋コンクリート造三階建て)の構造をつかった塩見先生の新作です。
1階から3階まで参加者が列をつくり、1階にいる先頭のリーダーが発した言葉・音のリズム・笑い声を次の人がそっくりそのまま模倣していく作品です。塩見先生によるスコアを手に持って参加者の方は演奏に挑みました。

《天空へ向かって》には、塩見先生お手製の紐付き鈴をつかいました。
<このたびはフルクサス・パフォーマンスに参加させていただき誠にありがとうございます。
大変貴重な機会に恵まれとても幸せに思います。
これまでは鑑賞する一方的な立場でしたが、今回は作品の演奏に顧客として加わり、フルクサス・パフォーマンス の奥深い魅力に惹きつけられました。
そして塩見允枝子先生の作品をよりいっそう深く鑑賞させていただきたいと思いました。
パフォーマンス参加に向けて、塩見先生の多くの作品やお言葉を勉強したいと思いました。
その中で、塩見先生が「一度パフォーマンスを体験した人は必ずまたやりたいとおっしゃるんですね。」とおっしゃってましたが、本当に私もまたやりたいと思いました。
Oさん>
紐も銀のラインが入っていて素敵です!参加の方には記念のお土産となりました。
2日間の特別イベントが無事に終了いたしました。
ご参加いただいた皆様、ほんとうにありがとうございました。
塩見先生の世界初演の新作「天空へ向かって」は、最後の「おーい」が終わった直後の静けさ、連帯感はなんとも言えず、スタッフも感激していました。
司会進行してくださった川崎さん柴山さん、そして私どもにはもったいない新作とプログラムをご用意くださった塩見先生、誠にありがとうございました。
(スタッフM)
作品集『塩見允枝子×フルクサス 』(限定版)
刊行:2025年6月5日
テキスト:塩見允枝子
インタビュー:三上豊
編集・デザイン:柴田卓
翻訳:川村サリー
資料作成:尾立麗子、松下賢太
体裁:サイズB5判(25.7×18.2cm)、120頁、日本語・英語併記
発行:ときの忘れもの
・塩見允枝子/作品点数:62点
・フルクサス/作品・資料・ポスター等の点数:135点
限定:365部
*会期中のみ特別価格3,500円で頒布します(税、送料サービス)。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。





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