《くぐり抜けるためのハコ、ミラー》
2024年
Photo by comuramai

《くぐり抜けるためのハコ1》《くぐり抜けるためのハコ2》
2024年
木(ケヤキ、アラスカ桧、ラワン)、アルミ、柿渋、鉄媒染
各W30.0×D50.0×H155.0cm
サインあり

《くぐり抜けるためのミラー1》《くぐり抜けるためのミラー2》
2024年
木(ケヤキ、アラスカ桧、ラワン)、ステンレス、柿渋、鉄媒染
各W30.0×D50.0×H180cm
サインあり

《くぐり抜けるためのミラー3》
2024年
木(ケヤキ、アラスカ桧、クリ)、鉄、ステンレス、柿渋、鉄媒染
W35.0×D60.0×H170cm
サインあり

【ステートメント】
リアルを確かめるために、向こう側を見つめる、向こう側を作る。ひょっとすると矛盾しているが、そんな感覚な気がしてきた。過去を視て、未来を探す。遠くの世界に思いを馳せながら、日頃の生活に取り組む。限定的な自己についてを探求し、大きな世界の構造を掴み取る。もしかすると世界はどこかで領域付けられ分断しているのかもしれないが、分断された向こう側を必死に覗き込む努力をする。その試みはおそらく、見るという光の速さでなし得るものではなく、潜る(もぐる)、あるいは潜る(くぐる)と言い表すくらいのある種の困難さもあるだろう。

ピンホールカメラの撮影にはとても時間がかかる。これが本当に光の所業なのかと思うほどに遅い。光は穴の中をズルズルとくぐり抜けているようだ。今回の制作では、カメラの前に鏡を据え置く。カメラのシャッターを開き、鏡の向こう側へとくぐり、世界を覗き込む。そうして撮影された写真もまたその世界の鏡像であるに違いない。あるいは向こう側なのか。イマージュからイマージュへ、少々の時間をかけて、くぐり抜けていく。