1976年
凸版+シルクスクリーン(刷り:石田了一)
イメージサイズ:35.5×25.0cm
シートサイズ:40.5×28.5cm
Ed.150
サインあり
※レゾネNo266(阿部出版)

◆1975年、渡仏以来三度目の帰国をした菅井汲先生に私はパレスホテルで会い、日本での版画制作を依頼し、「スクランブル」「シグナル」「ポートレート」等の連作が誕生しました。
出来上がったこの作品が初めて展示(発表)されたのは、いまは亡き志水楠男さんの南画廊での菅井先生の1976年の個展でした。当時は「信号機」などと揶揄され、初期のフリーハンドの作品を懐かしむ声が多かったのですが、今となっては、これらシステマテックな作風もやはり「世界のスガイ」のものだと痛感します。
1967年の自動車事故で奇跡的に一命を取り留めますが、それを転機にシステマテックな抽象造形を一層深化させます。1976年の現代版画センター企画による菅井汲全国展を契機に名プリンター石田了一さんとのコンビで、シルクスクリーンの制作を本格化させました。明快なフォルムと鮮烈な色彩、菅井シルクの絶頂期の作品です。

没後、東京都現代美術館他で大回顧展が開かれ、単身で世界に挑み、成功をかち得たこの作家の存在の大きさにあらためて感銘を受けた人も多いでしょう。