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若宮綾子のエッセイ
第1回 「創る事を意識したとき」 2010年7月21日
 「作家さん」になりたくて作品を作っている訳ではない。展示することによって作品に客観性が出て来て、そこで「私はどうしたいのか」を問いただし、次の作品に向かって歩みだす。ただその繰り返しによって作家という存在になってしまった私。描いたり、手を動かすことが好きなだけでは表現には結びつかない。だって「作る」と[創る」とはちがうから‥。そこで私が「創る」という事を初めて意識した時期に付いて思い出してみたいと思います。
 当時、絵を描く事が得意だと思っていた私。勉強するより絵を描いてる方がマシだったので、美術大学に進学しました。あたりまえの事ですが、絵が上手な人ばかりの中で、元来目立ちたがり屋の私は、他に得意な物を見つけようとしました。そこで出会ってしまったのが何故かバレエ。当時ブレイクしていたジャズダンスのテクニックを磨く為の手段として始めたはずが、何故か某バレエ団の公演に参加するはめになってしまいました。(もちろんその他大勢ですよ)ふわふわの衣装やお姫様が出てくるファンタジーな雰囲気に違和感を感じながらも、見よう身までで公演の稽古についていきました。「ジゼル」「白鳥の湖」など今までバレエなど見た事も無い私が、いきなりリハーサルを通じてその作品に関わる事になってしまったのです。その長い稽古を重ねれば重ねる程、その振り付けの奇抜さや構成力に圧倒されてしまいました。(あれぇ〜、バレエってヒラヒラしてるだけじゃないんだぁ〜)
 単純に考えると、ダンサーとは絵でいう絵具の様なもの。そして振付者が創り手となります。その相互のぶつかり合いの中で一つの舞台作品を作り上げて行くわけです。特に創作バレエの作品の公演のリハーサルは、より鮮烈に私の中に飛び込んできました。『この作品創った人ってすごーい!』と‥。そのうち「私だったら、こう振り付けてみたい」と感じるようになりました。(すばらしき振付者の方々、こんな生意気な私をお許しください。)
そのうち私は[ダンサー=絵具]ではなく、[振付=創るという立場]になりたかったのかも!と、その時初めて思いました。
 「過去の作品の否定から創作が始まる」と耳にした事があります。
美大生だった私の創作意欲の発端は美術ではなく何故かバレエ‥。元を正せば目立ちたがり屋の性格ゆえのことでしょうか‥。
 バレエも創る、美術も創る、同じ創るなら描かにゃ損損〜!
というわけで、私はトウシューズを捨て、絵具と向き合ってみる事になったのです。
だって素材は違っても、表現する事にはさほど変わりはないはずなのですから。

バレエに精を出していた学生の頃の作品

それから細々と創り続けて20年。未だ美術を通して「探し物」を探し続けている旅人でございます。ただ、2、3年前から、今まで興味の赴くままに創り続けて来た自分が少し繋がってたのかも、と思う事があります。(おそ過ぎですよね!)
 そんな自分をもう一度検証するために、次回は今までの作品の流れについて書かせていただきたいと思います。

(わかみやあやこ)

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若宮綾子
出品No.19
「mekuru3」
2010年
若宮綾子
出品No.20
「ischium」
2010年
若宮綾子
出品No.21
「untitiled」
2010年

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