瑛九「昼の分析」


我が家にはテレビがない。
だから昨夜の「なんでも鑑定団」は見ていません。
朝、MIXIの書き込みで、<10万円で買った瑛九の油彩「田園」が鑑定団の評価で5,000万円の評価が出された>ということを知りました。
やっぱりKさん、出ましたね。というのは過日お会いした折、「なんでも鑑定団」に出してみるようなことをおっしゃっていたからです。Kさんは瑛九の生前から買っていた筋金入りのファンですから、当然のことながら所蔵の「田園」が最高傑作だということを確信している。
「なんでも鑑定団」に出したのは、評価額を知りたいのではなく、瑛九の真価を世に知らしめたい、という一念からでしょう。
所蔵者のKさんとは1974年以来のお付き合いだから、もう30年以上になります。
本業は石版の刷り師でした。私どもでは木内克先生の版画を刷っていただきました。
「田園」は瑛九最晩年1959年の点描で、120号(193.9×130.3cm)の大作です。
私も一度、お借りして展示しました。
先日お会いしたおり、清水の舞台から飛び降りるつもりで超高額での(もちろん鑑定団の評価を上回る)買取を交渉したのですが、「10億円以下で売るつもりはない」と一蹴されました。
瑛九は世界的な作家なのだ、なんでモンドリアンやカンディンスキーが、何十億円もするのに瑛九だけが数千万円しかしないのだ、全く日本はおかしい」と、心底から思われています。
瑛九命の画商としては、嬉しいことは嬉しいのですが・・・・

さて、グッドタイミングというか、明後日15日から、ときの忘れものでは「第17回 瑛九展」を開催します。
初期から最晩年の点描油彩はじめ、フォトデッサン、リトグラフ、木版、銅版など30点ほどを出品します。
掲載したのは、「田園」と同時期、1959年に描かれた「昼の分析」10号です。
もちろん売ります。
ぜひご来場ください。