13時から、財団法人三徳庵とワタリウム美術館主催の“岡倉天心 国際シンポジウム 「茶の本」の一〇〇年”が有楽町の朝日ホールで開催された。開演15分前に朝日ホールの11階で植田実先生と待ち合わせをしており、ロビー周辺をうろうろ探していると、「お待ちしておりました」という声の方から磯崎新先生登場。綿貫さんが磯崎先生と挨拶を交わすと、「植田がエレベーター前で待ってるゾ」と言われたので、私はエレベーター前へ走った。
前方の真ん中に座った。このシンポジウムには、一体どんな業界の人が来るのだろうか・・・茶道をやってそうな感じの人もいるけれど、明らかに茶道に不釣合いなみてくれの人も多い。私は後者だ。
英語での講演もあり、翻訳器を耳に当てていない人がいると、この人英語わかるんだ・・・と、かっこよく見える。翻訳機からはニュースを読んでいるような真面目な声が聞こえてくるし、笑うところもテンポ遅れになる。かっこ悪い。
9名の講演者がおり、磯崎先生は2番目。建築家と「茶の本」、一体何を話すのだろう・・・。さっそく、フランク・ロイド・ライトの話が出てきた。先生の講演は下記の内容から始まる。
1906年に「茶の本」がニューヨークで発行された直後にライトは読んだと言っている。建物の本質は空虚であり、壁や屋根ではなくそこに住まうべき空間にある、と老子を引用しながら書かれてあるが、この考えは、まさしくライトが独創的に考えてきたことだった。“空間”という概念は、100年前の世界の建築論や歴史の叙述には出てきておらず、19世紀後半になってやっと“建築空間”という言葉を手がかりに分析されるようになった。それなのに、天心が老子を引用して、1906年に既に言っていたことにショックを受ける。そしてライトは、がちがちの箱の隅をはずし、中の空間が外に流れ、外の空間が中に流れる、間の関係を作り出そうと考えた。これを“箱の破壊”と言っている。
この他にも五浦六角堂の話など、建築にまつわる話をされた。講演を終えた磯崎先生は、私たちの席の前に移動してきた。よく見ると、くしゅくしゅとした黒の薄手のジャケットを着ていた。磯崎先生はいつだってお洒落さんだ。後ろを向いて「おい、綿貫」とか「植田」と話し掛けて、なんだかとても元気そうだった。
第1部が終わり、植田先生と綿貫さんとお茶にしようということになった。エレベーターで磯崎アトリエの方に遭遇したので、みんなでお茶に行くことに。銀座は至る所にカフェがあるのにどこも満席。手当たり次第“café”という看板が掛けられている店をあたったが、フラれっぱなし。歩き回ること数十分、私たちは銀座7丁目に来ており、やっと見つけたマクドナルドみたいなカフェの席を確保できた。
(おだちれいこ)

前方の真ん中に座った。このシンポジウムには、一体どんな業界の人が来るのだろうか・・・茶道をやってそうな感じの人もいるけれど、明らかに茶道に不釣合いなみてくれの人も多い。私は後者だ。
英語での講演もあり、翻訳器を耳に当てていない人がいると、この人英語わかるんだ・・・と、かっこよく見える。翻訳機からはニュースを読んでいるような真面目な声が聞こえてくるし、笑うところもテンポ遅れになる。かっこ悪い。
9名の講演者がおり、磯崎先生は2番目。建築家と「茶の本」、一体何を話すのだろう・・・。さっそく、フランク・ロイド・ライトの話が出てきた。先生の講演は下記の内容から始まる。
1906年に「茶の本」がニューヨークで発行された直後にライトは読んだと言っている。建物の本質は空虚であり、壁や屋根ではなくそこに住まうべき空間にある、と老子を引用しながら書かれてあるが、この考えは、まさしくライトが独創的に考えてきたことだった。“空間”という概念は、100年前の世界の建築論や歴史の叙述には出てきておらず、19世紀後半になってやっと“建築空間”という言葉を手がかりに分析されるようになった。それなのに、天心が老子を引用して、1906年に既に言っていたことにショックを受ける。そしてライトは、がちがちの箱の隅をはずし、中の空間が外に流れ、外の空間が中に流れる、間の関係を作り出そうと考えた。これを“箱の破壊”と言っている。
この他にも五浦六角堂の話など、建築にまつわる話をされた。講演を終えた磯崎先生は、私たちの席の前に移動してきた。よく見ると、くしゅくしゅとした黒の薄手のジャケットを着ていた。磯崎先生はいつだってお洒落さんだ。後ろを向いて「おい、綿貫」とか「植田」と話し掛けて、なんだかとても元気そうだった。
第1部が終わり、植田先生と綿貫さんとお茶にしようということになった。エレベーターで磯崎アトリエの方に遭遇したので、みんなでお茶に行くことに。銀座は至る所にカフェがあるのにどこも満席。手当たり次第“café”という看板が掛けられている店をあたったが、フラれっぱなし。歩き回ること数十分、私たちは銀座7丁目に来ており、やっと見つけたマクドナルドみたいなカフェの席を確保できた。
(おだちれいこ)
コメント