夕方、三浦さんと本郷の東京大学総合研究博物館で始まった「東京大学コレクション―写真家上田義彦のマニエリスム博物誌」展のオープニング・レセプションにお出かけ。
 博物館の入り口から、さっそく標本が並んでいる。緑や黒のツヤツヤした昆虫が大中小、虫は苦手なので標本箱の前は素通りして展示室に向う。
展示されているは、上田義彦氏による学術標本コレクションの撮り下し。白骨化した動物や、剥製にされた動物たちは、さすがに“美しい”とまでは思わないが、理科室にあるようなそれらとは全く違い、センスのあるもの。写真家によって写真の中に閉じ込めることにより、骨は光をいっぱい吸収した白さを灯し、剥製の動物たちはいつまでも若いままだ。写真だと、至近距離で見ることができた。
 写真はツヤツヤしておらず、マットな質感だ。「EPSONが協賛だからインクジェットで出力したのかな?」と、三浦さんと首を傾げる。ときの忘れものでは写真の企画展が続いており、ゼラチン・シルバー・プリントに慣れているせいかツヤの無い写真がどうもしっくりこなかった。しかし、もしかすると、この写真の質感が白骨の古さや粉々に砕けてしまうという性質をうまく伝えているのかもしれないな。
象は骨の塊だった。あの長い鼻は途中まで骨がある・・・前足の指の骨らしきものが無数にひらひらしている。
 皆さんのスピーチが本当に素晴らしかった。
展示作業が終わり、スタッフが帰った静けさの中で作品を眺めて上田氏とどういう会話をしたかなど、私たちには知りえない話をしてくれた。そのスピーチが、もう一周してじっくり見たくさせる。展覧会に対する愛情や感謝の気持ちが私たちにも届いた。
ケータリングは、展覧会に合わせたものを用意したのでどうぞ召し上がれ、なんて言われると、皆も遠慮せずに摘める。見た目も味も独創的なオードブルは、どれも絶品で話題のひとつとなり、場も賑やかになる。さり気ないおもてなしや気取ってないところなどとても雰囲気が良かった。
 会場を出た時にはもう空は真っ暗になっていた。暗くなるのが早い季節になりましたね。 
                                  (おだちれいこ)

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*会期は2007年1月28日まで。