<<ギャラリーときの忘れものだより>>
草間彌生展も今日が最終日です。希少なコラージュ作品をこうして並べて見ることができるのも最後のチャンスかもしれません。ぜひ、お出かけください。
また、この一年のご愛顧に感謝して、現代美術オークションを開催中です。ホームページにて出品リスト、作品画像をご覧いただけます。今回は、清宮質文、棟方志功、絹谷幸二といった普段とは違った作家の作品も出品しております。なお、22日と23日は画廊にて下見会も開催いたしますので、実物をご覧になりたい方はどうぞ足をお運びください。入札の締め切りは23日(土・祝日)の18時必着です。詳細はホームページをご覧ください>。

<<今週の話題~揺らぐ近代>>
竹橋の東京国立近代美術館で開催中の「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」という展覧会を見てまいりました。先入観なしに見たのですが、なかなか面白い展示でした。
明治時代に西洋から油絵具による絵画が入ってきて、従来の日本の伝統的な絵と区別するため、日本画、洋画と言った呼び名ができました。この洋画黎明期に、多くの作家が日本画と洋画の間を行き来していたことを実際の絵を以って実感させてくれる企画です。平面的であった伝統的な絵を描いていた画家たちには、洋画の画法は相当なショックだったはずです。それで、日本画家であっても洋画を勉強し、実際に洋画も描いていたり、またその逆もあったようで、そこらへんがわかって非常に勉強になりました。
個々の作品にも面白い作品が多数あり、油絵具で描かれた屏風、洋画のような描き方の日本画、まるでモネの睡蓮の池に白拍子がボートに乗っているような絵もありました。岸田劉生や小杉放庵ばかりでなく、萬鉄五郎も洋画と日本画を両方描いていたのを初めて知りましたし、小林古径の唯一の油絵は興味深いものでした。また、表現主義のようでいて膠彩で描かれている秦テルヲの絵はたいそう気に入りました。最後の熊谷守一もそういう流れで見ると面白く、「白仔猫」という眠っている猫の絵は代表作ですが、あの簡潔な線だけで表現された猫の存在感は素晴らしいものです。
24日までです。
(スタッフ 三浦次郎)