“ときの忘れもの”今週のオークション 2007.06.22
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<<ギャラリーときの忘れものだより>>
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井村

「井村一巴展」は明日23日まで。
モノクロームのセルフポートレートの印画紙に、ピンで引っ掻いて様々な描き込みをした作品です。
光の加減によって見え方が違い、HPではなかなか伝わりにくいのが残念ですが、ぜひ会場で作家の感性を体感していただきたい作品です。
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<<今週の話題~「修復とはまるで推理小説のようだ」>>
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小野
いつもニュースレターをご覧頂きありがとうございます。
今週はスタッフの三浦がシアトルへ出張中の為、三浦に代わってお送りいたします。
4月に行われた小野隆生新作展に合わせて小野先生がイタリアより一時帰国されましたが、その時に、何点かご自身の作品の修復をされました。
私も、数日間、小野先生のアシスタントとして「修復」のお手伝いをさせて頂きましたが、小野先生から色々なお話をお聞きし大変勉強になりました。
その時のお話を一つ

「修復とはまるで推理小説のようだ」
古い絵の具は自然界の鉱物などでできている為、起こりにくいのですが、近代の絵の具は化学薬品が含まれているので、修復作業中に化学反応を起こしてしまうことがあります。
美術品の修復には決まったマニュアルがあるのではなく、その都度、最適な方法を模索しながら行わなければならないのです。
また、修復師は、その作家がどのような色彩感覚で、表現にどのような意図があったのかを想像しなければならず、単純に、美術品を物としてとらえて修復したのでは、作家が表現したかったものとは、まったく違う作品に変化してしまう恐れさえあるのです。
作家もまた、10年後50年後、自分の作品がどういった経年変化をしていくのか、計算しながら制作しています。
例えば「浮世絵」ですが、現代目にする浮世絵は色があせてしまっていますが、当時は原色に近い、カラフルな色彩であったのでしょう。
しかし、修復するにあたって、当時の色彩をまるっきり再現して塗りなおしてしまっては、それはコッケイに映ってしまうのです。

イタリアで修復師としても活躍する小野隆生(おのたかお)先生の作品を是非一度ご覧下さい。

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<<今週のオークションから>>
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「今週のセール」には前回も好評いただきました、触れて愉しむオブジェ「タッチウッド」、先日、須賀川市立博物館にて遺作展が行われた彫刻家、佐藤義重「ネクタイピン」などを出品中です。
◎sale触れて愉しむオブジェ 木村剛雄 タッチウッド3
◎sale  佐藤義重 ネクタイ止「草枕」シルバー