日本のシルクスクリーンの草分けで、名プリンターとして尊敬を集めた岡部徳三さんが亡くなったのは昨年6月のことでした。1964年に神奈川県秦野に版画工房を設立し、まだ道具すら満足できるものがない時代に試行錯誤を繰り返しながら、アーティストと協働して多くの版画を生み出してきました。
特に、オノサト・トシノブ、靉嘔の二人の作家は、岡部さんがいなければ版画の仕事があれほど豊かになることはなかったでしょう。
岡部さん亡き後、夫人と残されたスタッフたちの奮闘により、今も岡部版画工房は活動を続けています。
1960年代から現在まで、岡部工房で制作された40作家150点の版画作品を展示する展覧会が開催されます。
「PRINT WORKS 版画工房と作家たち」
会期=2007年10月11日(木)~14日(日)
AM10時~PM7時
第一会場=秦野市文化会館
0463-81-1211
*第一会場のみは金曜、土曜は夜9時まで開場。
第二会場=宮永岳彦記念美術館
0463-78-9100
主催=岡部版画工房
入場料=300円(学生以下無料)
4日間だけの短い会期ですが、どうぞお出かけください。土日にはワークショップも開催されます。
ご存知のように私が主宰した現代版画センター(1974~1985)は、久保貞次郎、尾崎正教両先生とともに、岡部さんも生みの親の1人であり、初期のエディション企画委員でもありました。
現代版画センターのエディションNo.1の靉嘔「I love you」(Ed.11,111)は、岡部さんの刷りでした。
ざっと振り返ってみただけでも、私が岡部さんに依頼した刷りは、靉嘔、オノサト・トシノブ、草間彌生、山口勝弘、藤田喬平、大沢昌助、ジョナス・メカス、前田常作、セバスチャン、竹田鎮三郎、澄川喜一、etc., 数え切れません。
あらためてご冥福をお祈りするとともに、岡部版画工房の益々の発展を期待する次第です。
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