本日から始まる磯崎新ブックアーカイブスI ― TSUKUBA1983は、10月27日[火]―11月3日[火]まで会期中無休です。
磯崎新倉俣史朗の作品を順次ご紹介します。
先ずは、つくばセンタービルのコンセプトを見事に表現した磯崎新のシルクスクリーン3点連作です。
私たちは、現代版画センター、ときの忘れものを通じて磯崎新先生の版画作品のほとんどに版元として関わってきました。
しかし、この名作3点に関しては、アメリカの某社の注文で制作されたもので、私たちは全く関与しませんでした。他の作品同様、刷りは名手・石田了一さんです。
版画による<TSUKUBA>シリーズはこの他に銅版が2種類(これは私どもが版元で発表し、今回の展覧会にも出品します)あります。
シルクスクリーンによりる3点は本の表紙や雑誌に幾度となく紹介されているので、ご存知の方も多いのですが、実は日本国内にはほとんど存在しません。限定75部の番号入りすべてが米国某社に送られ、その後行方不明になってしまった・・・・
石田了一さんの古い記録(納品書)をひっくり返してもらったところ、昭和60年3月8日、この作品は各80部が完成し、磯崎アトリエに納品されました(番号入り75部+作家保存用AP3部+刷り師保存用2部)。磯崎新先生がサインされ、各75部3種類がアメリカに送られたところまではわかっていますが、その後、この作品の行方は杳として知れない。
私自身、この作品の番号入りをただの一点も見たことがありません。版画の限定番号(通常は画面左下に記入)というのは作家自身が記入する場合と、他者(多くは版元)が記入する場合とがあり、ともにルールとして認められています。磯崎版画のほとんどのサインに私は立ち会っており、またほとんどの限定番号は版元として私どもの社長が記入してきました。
しかし、「TSUKUBA Ⅰ~Ⅲ」に関しては、私たちは関与していないので、磯崎先生がサインのときに限定番号も一緒に記入されたのか、それともアメリカの某社の担当者が限定番号を入れたのか、実物がない以上、いまとなっては霧の彼方です。
今回の企画展は「磯崎新ブックアーカイブスI ― TSUKUBA1983」と名乗った以上、銅版2点と、3点のシルクはどうしても出品したい。石田さんに泣きついて秘蔵のPP(プリンタープルーフ)から1部をわけていただきました。イソザキファン必見の作品です。

磯崎新TSUKUBA_I1985磯崎新「TSUKUBA Ⅰ」
1985年 シルクスクリーン
イメージサイズ:56.0×56.0cm
シートサイズ:76.0×61.5cm
Ed.75(P.P.) サインあり

磯崎新TSUKUBA_II1985磯崎新「TSUKUBA Ⅱ」
1985年 シルクスクリーン
イメージサイズ:56.0×56.0cm
シートサイズ:76.0×61.5cm
Ed.75(P.P.) サインあり

磯崎新TSUKUBA_III1985磯崎新「TSUKUBA Ⅲ」
1985年 シルクスクリーン
イメージサイズ:56.0×56.0cm
シートサイズ:76.0×61.5cm
Ed.75(P.P.) サインあり

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◆ときの忘れものは、2009年10月27日[火]―11月3日[火・祝日]まで会期中無休で、「磯崎新ブックアーカイブスI ― TSUKUBA1983」を開催します。
磯崎新ブックアーカイブス展DM600
DMに掲載されている、磯崎新の版画、関連書籍、倉俣史朗の椅子、テーブルなど全て販売しますので、ぜひこの機会にコレクションしてください。書籍500冊については、出品リストはありません。直接会場に来てご注文ください。本の展示画像は近日中にご紹介します。