今日のお薦め写真作品は、4月24日まで開催中の「The NUDE」展より、植田正治「砂丘ヌード」をご紹介します。
今年から来年にかけて、国内初の植田正治の巡回展「植田正治写真展-写真とボク-」が開催されます。巡回のスケジュールは以下の通りです。「砂丘シリーズ」をはじめ、未公開作品も含む初期から晩年までの作品約200点を展示するそうですので、今から期待が高まります。
京都府:美術館「えき」KYOTO  2010年5月21日(金)~6月13日(日)
新潟県:新潟市立新津美術館 2010年7月17日(土)~10月17日(日)
香川県:高松市美術館 2010年11月2日(火)~12月5日(日)
埼玉県:埼玉県立近代美術館 2010年12月18日(土)~2011年1月23日(火)
福島県:郡山市立美術館 2011年2月5日(土)~3月21日(月)

植田正治は、1950年ごろ集中して「砂丘ヌード」を撮影しています。1951年秋には、植田のほか杵島隆、田賀久治らが参加して、鳥取砂丘ヌード撮影会が催されました。またこの年、日本カメラの「ヌード新作集」に作品が掲載され、「砂丘ヌード」が第2回富士フォトコンテストのプロの部で3等に入選するなどしています。
この作品は、「砂丘ヌード」シリーズのなかでも、ソフトフォーカスで撮影されていて、少し趣を異にしています。通常のレンズで撮った作品は、体のラインがシャープに出ていて、トルソとしての美しさや量感を強調していますが、この作品は、温かなぬくもりを感じさせてくれます。
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植田正治
「砂丘ヌード」
1950年(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
24.2×21.7cm
サインあり


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植田正治
1913年、鳥取県生まれ。15歳頃から写真に夢中になる。1932年上京、オリエンタル写真学校に学ぶ。第8期生として卒業後、郷里に帰り19歳で営業写真館を開業。この頃より、写真雑誌や展覧会に次々と入選、特に群像演出写真が注目される。1937年石津良介の呼びかけで「中国写真家集団」の創立に参加。1949年山陰の空・地平線・砂浜などを背景に、被写体をオブジェのように配置した演出写真は、植田調(Ueda-cho)と呼ばれ世界中で高い評価を得る。1950年写真家集団エタン派を結成。1954年第2回二科賞受賞。1958年ニューヨーク近代美術館出展。1975年第25回日本写真協会賞年度賞受賞。1978年文化庁創設10周年記念功労者表彰を受ける。1989年第39回日本写真協会功労賞受賞。1996年鳥取県岸本町に植田正治写真美術館開館。1996年フランス共和国の芸術文化勲章を授与される。2000年歿(享年88)。2005~2008年ヨーロッパで大規模な回顧展が巡回、近年さらに評価が高まっている。

◆ときの忘れものは、2010年4月13日[火]―4月24日[土]「The Nude 写真展」を開催しています。
NUDE展DMロバート・メイプルソープ、細江英公、マン・レイ、植田正治、ジョック・スタージス、イリナ・イオネスコ、カリン・シェケシー、エレン・フォン・アンワース、中島秀雄、大坂寛、井村一巴、五味彬、服部冬樹、菅原一剛たちのヌード作品をご紹介します。