現在開催中の「Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子」展の出品作家の皆さんに、それぞれ作品・制作について語っていただきます。
今日は君島彩子さんの第1回目です。
君島彩子のエッセイ 第1回「墨と出会うまで」
初めての個展はインスタレーション。
16歳の夏休み、銀座の小さなギャラリー。床にクッションフロアとタイルを敷き、壁にキャンバスとその上に釘で毛糸を張った作品を1週間かけて制作し1週間展示した。
タイトルは『2人目の私』。
外面からではなく内面から自分の姿を見てほしい、だから鑑賞者に作品の中に入ってもらう必要性があった。英単語を全然知らない私に、こういう形態の作品を「インスタレーション」と呼ぶのだと個展を見に来たお客さんの1人が教えてくれた。
高校時代の私は「新しい美術」に夢中で、今さら石膏デッサンなどを描かなければいけない高校生活からいつも逃げたいと思っていた。この年になればたいした事ではないことも高校生にとっては大きな悩みだった、そんな時に「個展でもやっちゃえば?」と言ってくれた友達には今も感謝している。
言葉に出来ないパワーを持て余し、個展を開いていなければ、校舎の窓ガラスを割っていたかもしれなかった16歳の夏。
個展は展示として形になったけれど、納得出来ない事だらけで、私に新たな問題提起をする意味で良い経験になった。
その後も試行錯誤して色々な素材を使って制作し続けた。
20歳の頃、単純に描きたい物を描く事に原点回帰して友達の絵を描きだした。
周囲の友達を描く事は、プリクラのように自分自身を記録するための作業でもあった。
キャンバスに油彩で描かれた『Bright』のシリーズは最終的に100枚近くになった。
この作品は多くの人、普段美術には関心がないような人にも見てもらいたかったので、銀座の銀行のショーウィンドーに展示した。実際に多くの人が足を止め、色々な方から感想をいただいた。
大学を卒業して直ぐに新しい素材と出会った。
今回の作品にも使っている「墨」である。
きっかけは空海が自分と同じ年の頃に書いた、出家宣言文でもある『聾瞽指帰』を見た事だった。私には難しくて読めないのでジーと見ていた。読めないけれど何かすごいと感じた。初め、流石は三筆と言われる弘法大師、若い頃から凄いなと思っていた。
何回か見に行くうち、若き空海の意思を今に伝えるメディアに注目するようになった、紙と墨である。
1000年以上の時を経ても変わらずに意思を伝える墨の力に気が付いたのである。
私にとって墨は真新しい素材に見えた。
そして墨を使って絵を描きだした。
(きみじまあやこ)

君島彩子 出品No.2
「POURED-2」
2010年 紙、墨
35.0x25.0cm
価格42,000円(額付、税込)

君島彩子 出品No.11
「POURED-11」
2010年 紙、墨
35.0x25.0cm
価格42,000円(額付、税込)

君島彩子 出品No.13
「POURED-13」
2010年 紙、墨
35.0x25.0cm
価格42,000円(額付、税込)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
■君島彩子 Ayako KIMIJIMA1980年生まれ。2004年和光大学表現学部芸術学科卒業。現在、大正大学大学院文学研究科在学。
個展:2009年タチカワ銀座スペース Åtte、2008年羽田空港 ANAラウンジ 2007年 新宿プロムナードギャラリー 2006年UPLINK GALLERY、現代Heigths/Gallery Den 2003年みずほ銀行数寄屋橋支店ストリートギャラリー 1997年Lieu-Place。
グループ展:2007年8th SICF 招待作家2006年7th SICF、 浅井隆賞、 第9回岡本太郎記念現代芸術大賞展。
◆ときの忘れものは、2010年7月20日[火]―7月31日[土]に三上豊さん(和光大学教授)のキューレーションで「Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子」展を開催しています(会期中無休)。

本日7月24日(土)17時より、ギャラリートークを開催します。
講師:三上豊(和光大学教授)×君島彩子×若宮綾子×渡辺貴子
※要予約(参加費1,000円/1ドリンク付
トーク終了後の18時からは作家の皆さんを囲みレセプションを開催します(予約不要)。どなたでも参加できますので、ぜひお出かけください。
◆福井のお蕎麦を青山で!
急なご案内ですが、亭主がいつもお世話になっているコレクター地帯、最近では恐竜の町として有名な福井県勝山市の市長さんたちが上京し、かつやまフェアが今日と明日、南青山ふくい291で開催されます。
おろしそばをふるまうべくソバ打ちの名人たちも上京するそうですから、ぜひ冷たいおろし蕎麦を堪能してください。
今日は君島彩子さんの第1回目です。
君島彩子のエッセイ 第1回「墨と出会うまで」
初めての個展はインスタレーション。
16歳の夏休み、銀座の小さなギャラリー。床にクッションフロアとタイルを敷き、壁にキャンバスとその上に釘で毛糸を張った作品を1週間かけて制作し1週間展示した。
タイトルは『2人目の私』。
外面からではなく内面から自分の姿を見てほしい、だから鑑賞者に作品の中に入ってもらう必要性があった。英単語を全然知らない私に、こういう形態の作品を「インスタレーション」と呼ぶのだと個展を見に来たお客さんの1人が教えてくれた。
高校時代の私は「新しい美術」に夢中で、今さら石膏デッサンなどを描かなければいけない高校生活からいつも逃げたいと思っていた。この年になればたいした事ではないことも高校生にとっては大きな悩みだった、そんな時に「個展でもやっちゃえば?」と言ってくれた友達には今も感謝している。
言葉に出来ないパワーを持て余し、個展を開いていなければ、校舎の窓ガラスを割っていたかもしれなかった16歳の夏。
個展は展示として形になったけれど、納得出来ない事だらけで、私に新たな問題提起をする意味で良い経験になった。
その後も試行錯誤して色々な素材を使って制作し続けた。
20歳の頃、単純に描きたい物を描く事に原点回帰して友達の絵を描きだした。
周囲の友達を描く事は、プリクラのように自分自身を記録するための作業でもあった。
キャンバスに油彩で描かれた『Bright』のシリーズは最終的に100枚近くになった。
この作品は多くの人、普段美術には関心がないような人にも見てもらいたかったので、銀座の銀行のショーウィンドーに展示した。実際に多くの人が足を止め、色々な方から感想をいただいた。
大学を卒業して直ぐに新しい素材と出会った。
今回の作品にも使っている「墨」である。
きっかけは空海が自分と同じ年の頃に書いた、出家宣言文でもある『聾瞽指帰』を見た事だった。私には難しくて読めないのでジーと見ていた。読めないけれど何かすごいと感じた。初め、流石は三筆と言われる弘法大師、若い頃から凄いなと思っていた。
何回か見に行くうち、若き空海の意思を今に伝えるメディアに注目するようになった、紙と墨である。
1000年以上の時を経ても変わらずに意思を伝える墨の力に気が付いたのである。
私にとって墨は真新しい素材に見えた。
そして墨を使って絵を描きだした。
(きみじまあやこ)

君島彩子 出品No.2
「POURED-2」
2010年 紙、墨
35.0x25.0cm
価格42,000円(額付、税込)

君島彩子 出品No.11
「POURED-11」
2010年 紙、墨
35.0x25.0cm
価格42,000円(額付、税込)

君島彩子 出品No.13
「POURED-13」
2010年 紙、墨
35.0x25.0cm
価格42,000円(額付、税込)
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■君島彩子 Ayako KIMIJIMA1980年生まれ。2004年和光大学表現学部芸術学科卒業。現在、大正大学大学院文学研究科在学。個展:2009年タチカワ銀座スペース Åtte、2008年羽田空港 ANAラウンジ 2007年 新宿プロムナードギャラリー 2006年UPLINK GALLERY、現代Heigths/Gallery Den 2003年みずほ銀行数寄屋橋支店ストリートギャラリー 1997年Lieu-Place。
グループ展:2007年8th SICF 招待作家2006年7th SICF、 浅井隆賞、 第9回岡本太郎記念現代芸術大賞展。
◆ときの忘れものは、2010年7月20日[火]―7月31日[土]に三上豊さん(和光大学教授)のキューレーションで「Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子」展を開催しています(会期中無休)。

本日7月24日(土)17時より、ギャラリートークを開催します。
講師:三上豊(和光大学教授)×君島彩子×若宮綾子×渡辺貴子
※要予約(参加費1,000円/1ドリンク付
トーク終了後の18時からは作家の皆さんを囲みレセプションを開催します(予約不要)。どなたでも参加できますので、ぜひお出かけください。
◆福井のお蕎麦を青山で!
急なご案内ですが、亭主がいつもお世話になっているコレクター地帯、最近では恐竜の町として有名な福井県勝山市の市長さんたちが上京し、かつやまフェアが今日と明日、南青山ふくい291で開催されます。
おろしそばをふるまうべくソバ打ちの名人たちも上京するそうですから、ぜひ冷たいおろし蕎麦を堪能してください。
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