「Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子」展は本日が最終日です(夜7時まで)。
出品作家の皆さんに、それぞれ作品・制作について語っていただいています。
今日は渡辺貴子さんの最終回です。
渡辺貴子のエッセイ 最終回
「制作について思うこと」
学校に入ってからの思いがけない進路変更は想定外でしたが、
そこで学び、感じた事は、自分自身に大きな変化をもたらした上、
今でも制作の原点になっていると思えるのです。
器づくりを離れ、表現の境界線を取り去った時から、
土は、私自身を表現できる一つの素材へと変わっていきました。

器作りから離れ、別のアイディアを元にして挑戦した作品。初めて行ったベネチアをイメージして。
日々生活していく中で、気付かぬうちに私の中に積もっていくもの。
それを再確認しながら吐き出していく。
土を積み上げて、ゆっくりと形にしていく作業は、
それとなんだか似ているような気がします。
卒業まで残り1年となった頃、卒業後の就職活動が頭をよぎり、
石膏型で食器を作る技術でも卒業制作をしました。
自由に粘土を積み上げて制作していく技術に対して、石膏型を作るには
事前に正確な設計図が必要で、土よりも石膏で作業する時間が多かったのです。
長い時間をかけて完璧な物を作るという作業も興味深く思えましたが、
大量生産用のデザインに近い仕事よりも、たったひとつの物を、感覚を
頼りながら表現する方が自分には合っているような気がしました。


卒業制作展での展示。
頭で考えるよりも先に、理屈抜きで私の五感に訴えてくる、
シンプルな感覚は、私が制作する上で大切な要素なのです。
先日のオープニングパーティーでお会いした方が、
「作品を見ていると、どこかから音楽が聴こえてくるような気がします。」
と感想を言ってくれました。
こんな出会いがある時、制作を通して人とつながっていると実感するのです。

二度目の個展でインスタレーションを経験して。
(わたなべたかこ)
渡辺貴子 出品No.41
「untitled」
2010年 ひもづくり
H23.0xW28.0xD9.0cm
Sold
渡辺貴子 出品No.55
「untitled」
2006年 ひもづくり
H23.0xW11.0xD5.0cm
価格18,900円(税込)
渡辺貴子 出品No.61
「untitled」
2005年 ひもづくり
H8.5×W16.0×D10.0cm
価格16,800円(税込)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
■渡辺貴子 Takako WATANABE
1970年生まれ。1989年渡英し、1990年頃より陶芸を始める。1995年 Bath College of Higher Education(現 Bath Spa University) 3D Design Ceramics Courseを卒業後、帰国。実家の織物会社で働きながら、1999年よりグループ展、個展で活動する。
◆ときの忘れものは、2010年7月20日[火]―7月31日[土]に三上豊さん(和光大学教授)のキューレーションで「Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子」展を開催しています(会期中無休)。

出品作家の皆さんに、それぞれ作品・制作について語っていただいています。
今日は渡辺貴子さんの最終回です。
渡辺貴子のエッセイ 最終回
「制作について思うこと」
学校に入ってからの思いがけない進路変更は想定外でしたが、
そこで学び、感じた事は、自分自身に大きな変化をもたらした上、
今でも制作の原点になっていると思えるのです。
器づくりを離れ、表現の境界線を取り去った時から、
土は、私自身を表現できる一つの素材へと変わっていきました。

器作りから離れ、別のアイディアを元にして挑戦した作品。初めて行ったベネチアをイメージして。
日々生活していく中で、気付かぬうちに私の中に積もっていくもの。
それを再確認しながら吐き出していく。
土を積み上げて、ゆっくりと形にしていく作業は、
それとなんだか似ているような気がします。
卒業まで残り1年となった頃、卒業後の就職活動が頭をよぎり、
石膏型で食器を作る技術でも卒業制作をしました。
自由に粘土を積み上げて制作していく技術に対して、石膏型を作るには
事前に正確な設計図が必要で、土よりも石膏で作業する時間が多かったのです。
長い時間をかけて完璧な物を作るという作業も興味深く思えましたが、
大量生産用のデザインに近い仕事よりも、たったひとつの物を、感覚を
頼りながら表現する方が自分には合っているような気がしました。


卒業制作展での展示。
頭で考えるよりも先に、理屈抜きで私の五感に訴えてくる、
シンプルな感覚は、私が制作する上で大切な要素なのです。
先日のオープニングパーティーでお会いした方が、
「作品を見ていると、どこかから音楽が聴こえてくるような気がします。」
と感想を言ってくれました。
こんな出会いがある時、制作を通して人とつながっていると実感するのです。

二度目の個展でインスタレーションを経験して。
(わたなべたかこ)
渡辺貴子 出品No.41「untitled」
2010年 ひもづくり
H23.0xW28.0xD9.0cm
Sold
渡辺貴子 出品No.55「untitled」
2006年 ひもづくり
H23.0xW11.0xD5.0cm
価格18,900円(税込)
渡辺貴子 出品No.61「untitled」
2005年 ひもづくり
H8.5×W16.0×D10.0cm
価格16,800円(税込)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
■渡辺貴子 Takako WATANABE1970年生まれ。1989年渡英し、1990年頃より陶芸を始める。1995年 Bath College of Higher Education(現 Bath Spa University) 3D Design Ceramics Courseを卒業後、帰国。実家の織物会社で働きながら、1999年よりグループ展、個展で活動する。
◆ときの忘れものは、2010年7月20日[火]―7月31日[土]に三上豊さん(和光大学教授)のキューレーションで「Tricolore2010―君島彩子・若宮綾子・渡辺貴子」展を開催しています(会期中無休)。

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