社長が瑛九のフォトデッサン(フォトグラム)に触れたのは、亭主よりはるかに早くて、今を去ることン十年前(そういえばつい先日が社長の誕生日で、亭主はフランク・L・ライトのデザインによるマグカップをプレゼントしたのであります)、跡見学園女子短大の恩師の久保貞次郎先生の栃木県真岡のお屋敷でだった(蔵がいくつもある豪邸)。
その頃、亭主は新聞社のサラリーマンで画商などといういかがわしい商売につくなどとは夢にも思っていなかった。
1970年代には画商たちもフォトデッサンの価値などまったく理解していなかった。生前の瑛九周辺の人々でさえ、写真の一種でいくらでもできると思っていたほどだ。
あれから幾星霜、今日のマン・レイや瑛九の印画紙作品の評価の高騰には、泉下の久保先生も喜んでおられるに違いない。
日本における制作例では、瑛九が質量ともに圧倒的だが(世界的にも瑛九ほどの質の高い作品を多数つくった作家は稀だろう)、恩地孝四郎、中山岩太、福森白洋、椎原治、山口正城、音納捨三らも制作している。

戦後では杉浦邦恵たちが手がけているが、面白いことに最近、フォトグラム(フォトデッサンは瑛九の造語)を手がける人が増えてきたらしい。
デジカメ隆盛の影にあって針穴写真が密かなブームとなっていることと無縁ではあるまい。

本日夕方開催するフォトビューイングのゲスト作家・金子典子さんも自作のフォトグラムを持参して参加者に頒布してくださるとか。楽しみです。
フォトグラムはカメラやフィルムを使わずに、光を印画紙に直接あてることによって制作する一点限りの作品です。

神戸ファッション美術館が子供たちを対象にフォトグラム制作のワークショップを開催するそうなので、ご紹介しましょう。

「光と影のアート フォトグラム体験」 
申込締切:11月20日(土)
日時:12月5日(日) 
   午前の部:10:30~13:00  午後の部:14:30~17:00
講師:米戸忠史 (写真家 Photo Gallery壹燈舎)
対象:小学生以上 (小学生は保護者同席)
定員:各回10名 
参加費:500円(材料費) 
実験的な写真を制作したマン・レイをはじめとする写真家が好んで用いた“フォトグラム”は、こどもから大人まで誰もが体験し楽しむことのできる、カメラを使わない写真技法のひとつです。暗室の中で写真印画紙の上に、身近にあるユニークな形のモノや、光を通すレースなどをレイアウトし、光をあててから現像してみると…白と黒のグラデーションの不思議な世界が現れます。あなたもフォトグラムで、光と影の芸術作品をつくってみませんか。

神戸ファッション美術館
〒658-0032 神戸市東灘区向洋町中2-9-1
TEL 078-858-0050 FAX 078-858-0058
[e-mail]info@fashionmuseum.or.jp (同館HPより)
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ときの忘れもののコレクションから、瑛九のフォトデッサン(フォトグラム)をご紹介します。
瑛九フォトデッサン
瑛九「作品
フォトデッサン
29.5×23.3cm

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宮脇愛子の新作エディション『マン・レイへのオマージュ
マン・レイへのオマージュパンフ
マン・レイの折本仕立ての「回転扉(Pain Peint)」にインスパイアーされ、宮脇愛子がマン・レイへのオマージュとして制作した新作エディション、シルクスクリーン入り小冊子『Hommage a Man Ray マン・レイへのオマージュ』(DVD付き、限定25部)をぜひご購入ください。

内容については、マン・レイ・イストの石原さんがご自身のブログで紹介してくださっていますのでお読みください。

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