ときの忘れものでは本日21日(金)から「X氏写真コレクション展II」を開催します。
x氏写真コレクション展DM600会期:2011年10月21日(金)~10月29日(土)会期中無休
出品:リチャード・アヴェドン、エドゥアール・ブーバ、五味彬、細江英公、イリナ・イオネスコ、ユーサフ・カーシュ、ウーゴ・ムラス、ハーブ・リッツ、ジョック・スタージス、ジョージ・タイス、上田義彦、ジョエル=ピーター・ウィトキン、エドワード・ウェストン、吉川富三、フランセス・マーレイ

今から5年前の2006年9月6日[水]~9月9日[土]、僅か4日間の会期で「Eros&Khaos,X氏写真コレクション」展を開催しましたが、今回はそのX氏コレクションの第二弾です。
今回も、珠玉のゼラチン・シルバー・プリント約20点を展示販売いたします。
先ずは20世紀で最も有名な写真家の一人エドワード・ウェストンの作品をご紹介しましょう。
weston_02_oceano1936
エドワード・ウェストン Edward WESTON
「Oceano, 1936」
1936年(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:24.4x19.3cm
シートサイズ:34.3x39.5cm
Printed and signed by Cole Weston

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8X10インチの木製大判カメラ(ビュー・カメラ)で撮られた砂丘風景は、1930年代のエドワード・ウェストンを象徴する作品です。
1902年16歳の誕生日に初めてのカメラ(コダック・ブルズアイ#2)をもらった彼はシカゴの公園や伯母の農場で写真を撮り始め、僅かその1年後、1903年にはシカゴ・アート・インスティテュート(シカゴ美術館)で作品が展示され、10代の少年としては異例の成功を収めています。
やがて当時の写真の主流だったピクトリアリスムを放棄し、暗室でネガをいじらないストレート写真を提唱し、野菜、貝殻、日常のオブジェなどを超写実的にクローズアップで撮影し、自然物の持つ造形美を追求していきます。
1929年にはカリフォルニアのカーメルに移住。キャリア上重要なモチーフとなるポイント・ロボス岬の撮影を開始しています。
1932年に「グループf/64」という団体を仲間の写真家、アンセル・アダムス、ウィラード・ファン・ダイク、イモージン・カニンガムらと結成します。f/64とは大判カメラにおける最小の絞りの値のことであり、最大の被写界深度を確保し、前景も背景もむらなく均等にシャープに写すことのできる値のことです。これによって、精密で即物的な造形美を獲得したエドワード・ウェストンは独自の世界を構築していきます。
彼の作品はヌード、静物、風景などを素材に強い白黒の光のコントラストの中に対象となるモチーフの造形美・抽象美がはっきりと絶妙の構図で配されています。

エドワード・ウェストン Edward WESTON(1886年3月24日 - 1958年1月1日)
アメリカ、イリノイ州生まれ。1902年、父親からもらったカメラで写真撮影を始める。1911年カリフォルニアのトロピコ(現グランデール)に写真館を開き生計を立てる。1922年ピクトリアリズムから、自然光を巧みに生かした正確でシャープなストレートフォトへと転換し、肖像、静物、ヌード、風景を撮る。1923年から1926年まではメキシコで活動し、写真家ティナ・モドッティらと交流を持つ。1927年カリフォルニアに戻り、これ以降ヌード、玉葱の断面、貝殻といった自然の事物の形態をクローズアップで撮影、その造形美を追求した。
1932年にアンセル・アダムス、イモージン・カニンガムらと共にグループ『f/64』を結成。8×10インチの大型カメラで、レンズの絞りを最小値64にし、撮影対象の究極のリアリズムとフォルムの美を追求した作品は現代写真に多大な影響を与えた。1930年代後半からは次第に砂漠や断崖といったカリフォルニアの風景を撮るようになる。1938年に写真家で初めてグッゲンハイム奨励金を受け、その成果を1940年に『カリフォルニアの西部地方』で発表。
1946年パーキンソン病になり闘病生活を送りながら制作を続け、1958年永眠。
息子ブレット・ウェストンとコール・ウェストンはともに写真家となり活躍している。