昨日掲載した小林美香さんのエッセイ<写真のバックストーリー>第5回アンドレ・ケルテスの「おどけた踊り子、パリ、1926年」はいかがでしたか。
名作に潜むエピソードを交えながらなぜこの写真が凄いのかを解き明かしてくれます。
生まれて間もないお子さんを育てながらこのような魅力的かつ該博な知識に基づいた論考をものせる小林さんには敬服の念を抱かずにはおられません。亭主はすっかり小林ファンになってしまいました。
次回第6回の掲載は12月10日の予定です、お楽しみに。
今年一年のご愛顧への感謝をこめて、12月3日(土)、4日(日)の二日間「年末セール★Discovery」を開催します。
出品作品リストはホームページに掲載しましたので、ご参照の上、ご興味のある作品については遠慮なくお問合せください。
今回は油彩、水彩、素描、コラージュ、写真、立体マルチプル、版画、装画本、ポスターなど62点を出品していますが、写真作品はマン・レイ、デヴィッド・ホックニー、ジョック・スタージス、エドワード・スタイケンの4点に絞りました。
他に瑛九のフォトデッサン(印画紙)や、ヴンダーリッヒの写真をもとにしたリトグラフもありますが、まあ少数精鋭といっていいでしょう。
中でもスタイケンの「マッチ棒とマッチ箱(1926年)」は今回のセールの目玉です。
値段もここに書けないほどの超お買い得(社長が渋い顔をしております)、亭主のイチのお薦めであります。
スタイケンは、20世紀のアメリカの写真にもっとも大きな影響を与えた写真家であるだけでなく、キュレーターとして数々の写真展を企画し、写真界の発展に多大な貢献をしました。
1904年の「The Pond-Moonlight」は、2006年のオークションで約3億5千万円という1枚の写真作品としては史上最高金額で落札され、いまだにその記録は破られていません。
その「The Pond-Moonlight」を冒頭に掲げたホイットニー美術館で2001年に開催された展覧会カタログのテキストを読めばこの「マッチ棒とマッチ箱(1926年)」がスタイケンの代表作の一つであることがおわかりになるでしょう。

27)エドワード・スタイケン
Edward Steichen
「Matches and Match Boxes,
fabric design for Stehli Silks」
1926年(1984~86年にプリント)
Gelatin Silver Print
23.5×19.5cm Ed.100
*プリンターのジョージ・タイスと遺族のサインあり
ナスカの地上絵を思わせる写真ですが、先ずこのプリントについてのご説明をします。
1986~1987年にかけて、Joanna Steichen(スタイケン夫人)、ジョージ・タイス(写真家・プリンター)、ウィリアム・カッツ(グラフィック・デザイナー)の三人によってスタイケンの生涯の代表作24点が選ばれ、ジョージ・タイスのプリントによって「JUXTAPOSITIONS(1986)」「The Blue Sky(1987)」という各12点からなるポートフォリオが制作されました。
その24点の代表作に選ばれた一点がこの「マッチ棒とマッチ箱」です。
スタイケンのオリジナルネガからプリントされた、1920年代か30年代の作品を中心に、ヌード、ファッション、風景、ポートレート写真などが収められています。
タイスのこのポートフォリオに注いだ情熱と労力は驚嘆すべきもので、限定100部のほかにプルーフが30部、計130部で24作品ですから単純計算で3,120枚のプリントを仕上げなければならなかったわけです。たぶん、この何倍かの数をプリントし、その中から良いものを選んだはずです。作品によって使用している印画紙も変えています。
そのネガにもっとも合うであろう印画紙を使用したのだと思います。印画紙が次々と製造中止になり、銀の含有量も少なくなった現在ではもう不可能な企画といえるでしょう。
奥付には(重要なことです)、このとき使用したネガからは再びプリントしないと記載されています。
スタイケンについてはいまさらご説明するまでもありませんが、小林美香さんがすばらしいエッセイを書いてくださっているのでどうぞお読みください。
1923年から『ヴァニティ・フェア』『ヴォーグ』などの雑誌でチーフ・フォトグラファーとして活躍したスタイケンはやがて広告写真でも頭角をあらわします。視覚効果や技術の研究を重ね、広告業界のトップ・フォトグラファーとなり、1926年と1927年にはStehli Silks Corporationの依頼を受けてテキスタイルのための写真を撮影します。
ボタンや糸、マッチとマッチ箱、砂糖の塊、防虫剤、カーペットの鋲、糸などのごく一般的な素材をオブジェクトとしてまるで数千メートル上空から地表を空中撮影したかのようにクローズアップ撮影します。シンプルでリズミカルに配列されたマッチ棒とマッチ箱、その撮影には第一次世界大戦で陸軍の航空写真班として従軍した経験が生きています。
一連の作品はそれら素材を抽象化し、その形態に隠された全く別の魅力を伝えるものとなりました。
この「マッチ棒とマッチ箱」をもとにテキスタイル作品もつくられています。
写真畏るべし。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆ときの忘れものは、2011年12月3日(土)~4日(日)「年末セール★Discovery」を開催します。出品作品は二日間のみの特別価格にて頒布します。

出品リストはホームページに掲載しました。
特別頒布価格はWEBには公開しませんので、メールにてお問い合わせください。
出品予定:オノサト・トシノブ、長岡吾郎、オーギュスト・ルノアール、浜田涼、二木直己、植木茂、小川信治、田名網敬一、横尾忠則、トニー・クラッグ、ジャン=ミシェル・フォロン、三上誠、パウル・ヴンダーリッヒ、ニキ・ド・サンファル、O Jun、山中現、日和崎尊夫、ベルト・モリゾ、菅井汲、アンディ・ウォーホル、ハインリッヒ・フォーゲラー、ミヤモト・コウイチ、J.E.ラブルール、ヘンク・フィッシュ、木内克、エドワード・スタイケン、井田照一、ジョアン・ミロ、ハンス・ベルメール、セザール、マックス・エルンスト、国吉康雄、ドナルド・サルタン、長谷川潔、内間俊子、駒井哲郎、恩地孝四郎、竹久夢二、須田國太郎、李禹煥、草間彌生、マックス・クリンガー、池田満寿夫、吉原英雄、飯田善国、堂本尚郎、瑛九、マン・レイ、クリスト、ジョック・スタージス、デイヴィッド・ホックニー、難波田龍起、舟越桂、南桂子
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名作に潜むエピソードを交えながらなぜこの写真が凄いのかを解き明かしてくれます。
生まれて間もないお子さんを育てながらこのような魅力的かつ該博な知識に基づいた論考をものせる小林さんには敬服の念を抱かずにはおられません。亭主はすっかり小林ファンになってしまいました。
次回第6回の掲載は12月10日の予定です、お楽しみに。
今年一年のご愛顧への感謝をこめて、12月3日(土)、4日(日)の二日間「年末セール★Discovery」を開催します。
出品作品リストはホームページに掲載しましたので、ご参照の上、ご興味のある作品については遠慮なくお問合せください。
今回は油彩、水彩、素描、コラージュ、写真、立体マルチプル、版画、装画本、ポスターなど62点を出品していますが、写真作品はマン・レイ、デヴィッド・ホックニー、ジョック・スタージス、エドワード・スタイケンの4点に絞りました。
他に瑛九のフォトデッサン(印画紙)や、ヴンダーリッヒの写真をもとにしたリトグラフもありますが、まあ少数精鋭といっていいでしょう。
中でもスタイケンの「マッチ棒とマッチ箱(1926年)」は今回のセールの目玉です。
値段もここに書けないほどの超お買い得(社長が渋い顔をしております)、亭主のイチのお薦めであります。
スタイケンは、20世紀のアメリカの写真にもっとも大きな影響を与えた写真家であるだけでなく、キュレーターとして数々の写真展を企画し、写真界の発展に多大な貢献をしました。
1904年の「The Pond-Moonlight」は、2006年のオークションで約3億5千万円という1枚の写真作品としては史上最高金額で落札され、いまだにその記録は破られていません。
その「The Pond-Moonlight」を冒頭に掲げたホイットニー美術館で2001年に開催された展覧会カタログのテキストを読めばこの「マッチ棒とマッチ箱(1926年)」がスタイケンの代表作の一つであることがおわかりになるでしょう。

27)エドワード・スタイケン
Edward Steichen
「Matches and Match Boxes,
fabric design for Stehli Silks」
1926年(1984~86年にプリント)
Gelatin Silver Print
23.5×19.5cm Ed.100
*プリンターのジョージ・タイスと遺族のサインあり
ナスカの地上絵を思わせる写真ですが、先ずこのプリントについてのご説明をします。
1986~1987年にかけて、Joanna Steichen(スタイケン夫人)、ジョージ・タイス(写真家・プリンター)、ウィリアム・カッツ(グラフィック・デザイナー)の三人によってスタイケンの生涯の代表作24点が選ばれ、ジョージ・タイスのプリントによって「JUXTAPOSITIONS(1986)」「The Blue Sky(1987)」という各12点からなるポートフォリオが制作されました。
その24点の代表作に選ばれた一点がこの「マッチ棒とマッチ箱」です。
スタイケンのオリジナルネガからプリントされた、1920年代か30年代の作品を中心に、ヌード、ファッション、風景、ポートレート写真などが収められています。
タイスのこのポートフォリオに注いだ情熱と労力は驚嘆すべきもので、限定100部のほかにプルーフが30部、計130部で24作品ですから単純計算で3,120枚のプリントを仕上げなければならなかったわけです。たぶん、この何倍かの数をプリントし、その中から良いものを選んだはずです。作品によって使用している印画紙も変えています。
そのネガにもっとも合うであろう印画紙を使用したのだと思います。印画紙が次々と製造中止になり、銀の含有量も少なくなった現在ではもう不可能な企画といえるでしょう。
奥付には(重要なことです)、このとき使用したネガからは再びプリントしないと記載されています。
スタイケンについてはいまさらご説明するまでもありませんが、小林美香さんがすばらしいエッセイを書いてくださっているのでどうぞお読みください。
1923年から『ヴァニティ・フェア』『ヴォーグ』などの雑誌でチーフ・フォトグラファーとして活躍したスタイケンはやがて広告写真でも頭角をあらわします。視覚効果や技術の研究を重ね、広告業界のトップ・フォトグラファーとなり、1926年と1927年にはStehli Silks Corporationの依頼を受けてテキスタイルのための写真を撮影します。
ボタンや糸、マッチとマッチ箱、砂糖の塊、防虫剤、カーペットの鋲、糸などのごく一般的な素材をオブジェクトとしてまるで数千メートル上空から地表を空中撮影したかのようにクローズアップ撮影します。シンプルでリズミカルに配列されたマッチ棒とマッチ箱、その撮影には第一次世界大戦で陸軍の航空写真班として従軍した経験が生きています。
一連の作品はそれら素材を抽象化し、その形態に隠された全く別の魅力を伝えるものとなりました。
この「マッチ棒とマッチ箱」をもとにテキスタイル作品もつくられています。
写真畏るべし。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆ときの忘れものは、2011年12月3日(土)~4日(日)「年末セール★Discovery」を開催します。出品作品は二日間のみの特別価格にて頒布します。

出品リストはホームページに掲載しました。
特別頒布価格はWEBには公開しませんので、メールにてお問い合わせください。
出品予定:オノサト・トシノブ、長岡吾郎、オーギュスト・ルノアール、浜田涼、二木直己、植木茂、小川信治、田名網敬一、横尾忠則、トニー・クラッグ、ジャン=ミシェル・フォロン、三上誠、パウル・ヴンダーリッヒ、ニキ・ド・サンファル、O Jun、山中現、日和崎尊夫、ベルト・モリゾ、菅井汲、アンディ・ウォーホル、ハインリッヒ・フォーゲラー、ミヤモト・コウイチ、J.E.ラブルール、ヘンク・フィッシュ、木内克、エドワード・スタイケン、井田照一、ジョアン・ミロ、ハンス・ベルメール、セザール、マックス・エルンスト、国吉康雄、ドナルド・サルタン、長谷川潔、内間俊子、駒井哲郎、恩地孝四郎、竹久夢二、須田國太郎、李禹煥、草間彌生、マックス・クリンガー、池田満寿夫、吉原英雄、飯田善国、堂本尚郎、瑛九、マン・レイ、クリスト、ジョック・スタージス、デイヴィッド・ホックニー、難波田龍起、舟越桂、南桂子
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