短い会期の「デュシャン、エルンスト、マン・レイ展」でしたが、昨日終了しました。
ご来廊いただいた皆さん、特に作品をお買い上げいただいたお客様にはいつもながら厚く御礼を申し上げます。
マン・レイイスト石原輝雄さんや、瀧口修造研究の土渕信彦さんにご来廊いただいたのも光栄なことでした。
千葉市美術館で「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展が開催中ということもあり、さすがにデュシャンのファンが多かったのですが、意外だったのは『大ガラス』に東京バージョンがあり、駒場の東大美術館にいけば誰でも見られる(常設展示)ことを知らない人が多かったことです。
エルンストなど普段お見せする機会の少ない装画本などを出品したので、本好きの皆様には楽しんでいただけたのではと思います。
本当は画集や資料的なものもたくさん出したかったのですが、いかんせん狭い会場なのでままなりませんでした。
ダダやシュルレアリスム関連の展覧会には一工夫必要ですね。
次回の検討材料としましょう。

さて、歯切れよさと探究心の深さに裏付けられた深野一朗さんのエッセイはこのブログの目玉になりつつありますが、その深野さんから東日本大震災への支援チャリティー・ブック・フェアの協力を依頼されました。
以下、深野さんのブログ<ジャージの王様>からの転載です。
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忘れないために。10人による10冊。  深野一朗

あれから9ヶ月。未曾有の災難に襲われた一年が終わろうとしています。
現在進行形の放射能という恐怖で、ついうっかり被災地のことを、忘れそうになってしまう。
そこで改めて、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
9ヶ月経った12月11日より、チャリティー・ブック・フェアを行います。

今回は僕の友人知人10人に御願いして、ひとつのテーマで10冊を、蔵書の中から選書して貰いました。
そして10冊ぜんぶを、原則として寄付して貰いました。
従いまして、今回は一部を除き、売上の全額を寄付します。(寄付先は前回同様、ミシン・プロジェクトです。)

なお「ひとり10冊」と書きましたが、僕だけは店主の特権(?)として、10冊以上を出品いたします。
今日から少しずつ本の紹介をしたいと思います。まずは僕の本から。

テーマ:明治を識る

僕はどういうわけか、明治という時代に惹かれます。
それは、明治という時代が、今からでも想像が及ぶ、ギリギリの時代のように思えるからです。
江戸時代は、あまりに遠い過去のように思われます。けれども明治の文化、風俗、人たちの考え方などは、近過去、ついこの間のことです。

ご一新があり、西欧の文明を猛スピードで吸収し、日本という国を立ち上げようとしていた時代とは、どんな時代だったのか?
歴史の教科書には出てこない明治、それを庶民の生活、風俗という視点から書いた本を出品します。

例えば、こんな本。
明治商売往来明治商売往来 (ちくま学芸文庫)
作者: 仲田 定之助
出版社/メーカー: 筑摩書房
発売日: 2003/12
メディア: 文庫

明治の頃にあった職業の紹介ですが、とっくになくなってしまったものから、今でも名を変えて続いているものまで、読んでいて興味が尽きません。
当時の職業を知ることは、その時代を知ることにほかなりません。
著者の仲田定之助は、バウハウスを日本に紹介した人としても知られています。

Amazonでは古本が300円程度からですが、当店では100円です。(今回店主の本は全て、ブック・オフやAmazonで価格を調べて、それより安くなるように値付しました!!)

以下、お店の詳細です。
営業日時:12月11日より、原則毎日13時より19時まで(但し不規則のため、閉めるときはTwitter@ifukanoでお知らせします。)
http://twitter.com/ifukano

場所:千代田区外神田3-6-14

皆さん、お誘い合わせのうえ、是非いらして下さい!!!!

◆深野一朗(ふかの・いちろう)
1968(昭和43)年千葉・市川生まれ。幼名「一郎」。小学生の頃に占い師から「女狂いする」と言われ、慌てた父が「郎」の字を「朗」に変える。以後「一朗」となる。日本大学経済学部卒。公認会計士。学生の頃から服飾に尋常ならざる情熱を燃やし、セレクトショップ通いの毎日を送る。やがてその関心はミッド・センチュリーな家具へと移り、一時期服飾の世界から完全に「手を引く」。1999年にミラノで始まった駐在員生活が、失われつつあった服飾魂に再び火をつけ、以後帰任までの4年間「服飾バカ一代」の途をひた走る。欧州各地を訪れては、ホテルと料理と美術館を堪能するという放蕩がたたり、帰任後のサラリーマン生活に悶絶の日々を送っていたが、つい最近独立した。
著書『クラシコ・イタリア ショッピングガイド』(2004年 光文社・知恵の森文庫)
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亭主も先日倉庫にいって書庫とにらめっこ。「一つのテーマで10冊揃える」というのは意外に難しい。あれこれ悩んだ末、古本屋になることが夢だったので「古書」をテーマに以下の10冊を選びました。
小林高四郎「漁書のすさび」、
山下武「古書のある風景」、
荒俣宏「ブックライフ自由自在」、
尾形界而「古書無月譚」、
青木正美「古本屋控え帖」、
谷沢永一「雑書放蕩記」、
横田順彌「探書記」、
山下武「書物万華鏡」、
山下武「古書の味覚」、
由良君美「みみずく偏書記」
その他に亭主が編集したりしたカタログを3冊送らせていただきました。
どうぞ皆さん、外神田の深野さんのお店にお出かけください。

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