昨日は画廊は営業しておりましたが(今日も)、亭主は休ませていただき家で寝転がって買ったまま積んどいた本を片っ端から読んでおりました。
業務連絡でもあるかとパソコンをのぞくと南桂子の作品の問合せメールが複数届いており、アクセスもなぜだか急増。
不思議なこともあるもんだと思っていたのですが、常連Fさんのツイッターで事態判明。
NHKの日曜美術館で南桂子特集があったのですね。
南桂子_001
南桂子
《少女》
カラーエッチング
6.0x4.0cm
E.A. サインあり

テレビのない我が家は世間の事情に疎く、石岡瑛子さんのことを書いたときも尋常ならざるアクセス急増に驚きました。
さすがNHK、感謝!

さて本日も画廊は12時から営業しています。
ただいま開催中の「ロバート・ラウシェンバーグ展 PartⅡ」ではBookGallery CAUTIONの浜田さんの企画協力で【CRATE GALLERY "Robert Rauschenberg edition"】のコーナーを設けました。
CRATE GALLERY出品作品


『ロバート・ラウシェンバーグ展 -Tribute 21-Part2』関連展示
【CRATE GALLERY "Robert Rauschenberg edition"】
企画:浜田宏司

ラウシェンバーグのレアな展覧会カタログや書籍の他、限定生産の絵皿やレコードを展示販売いたします。

■アートプレート
ラウシェンバーグの作品制作に於いて、写真イメージの大胆なカットアップによる画面構成は、1950年代後半から晩年に至るまで採用された重要な手法です。
当初は、新聞や雑誌に掲載されている写真をそのまま紙やキャンバスに転写してイメージを取り込んでいました。しかし、60年代に入ってシルクスクリーンの技法を収得する事によりその作風に大きな変化が訪れます。自身が撮影したイメージを拡大し、キャンバスやアルミプレートに現実のイメージが次から次へと転写され作品化されていきます。エディション作品も同様に写真、石版、シルクスクリーン、オフセット、コラージュ、ペーパーセメント、あらゆる技法を使って現実の世界が作品化されていきます。

今回出展されているアートプレート「GUGGENHEIM MUSEUM LIMITED EDITION PLATE」は、その現実世界の取り込みが極端に単純化して制作された作品です。1997年にNYのグッゲンハイム美術館からエディションされ、現在は入手困難なマルチプルとして海外のアートマーケットでは流通しています。
-Tribute 21-とほぼ同じ時期に制作されたこともあり、大胆なトリミングが印象的な作品です。
もう一点の小さい作品は展示されているCRATEとセットでの販売となります。

CRATE GALLERYについて
The Crateは、イギリスのデザイナージャスパー・モリソンが2006年に発表したプロダクトです。ワイン木箱のデザインをベースに、トラディショナルなブリティッシュクラフトの技術によりリプロダクトされた何の変哲も無い“木箱”です。しかし、レディメイド的な概念をデザインプロセスに引用したそのコンセプトが話題となり、デザイン界に衝撃を与えた曰く付きのプロダクトでもあります。
BookGallery CAUTIONでは、The Crateを最小限のギャラリースペースと見立てて、さまざまなコンセプトで企画を展開する予定です。

●ジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)
ロンドン出身。イギリスを代表するプロダクトデザイナー。ユニバーサル(普遍的)且つシンプルなデザインテイストは、日本国内でも高く支持されている。2005年に発表した「ふっくら成型ソファ(無印良品)」にてグッドデザイン賞を受賞。

エディションアート・レコード
アンディ・ウォーホル/ヴェルベット・アンダーグランド、ローリングストーンズ、シャネルズ
リチャード・ハミルトン、ピーター・ブレイク/ビートルズ
杉本博司/U2
ジュリアン・オピー/ブラー
ジュリアン・シュナーベル/レッドホットチリペッパーズ
などなど・・・
古今東西の有名アーティストがミュージシャンのアルバムジャケットのデザインを手掛た場合、印象に残る作品が多い。
ラウシェンバーグの作品もしかり、1983年にトーキングヘッズの名盤「Speaking in Tongues」のスペシャルエディションとして発売されたこの作品もインパクト大です。出展作品はシールド状態で判りづらいのですが、3枚の透明の円形プレートに青・赤・黄色イメージが出力され、ラウシェンバーグの同様のコンセプトのオリジナル作品を彷彿とさせます。90年代にギャラリーで展示されマルチプル作品として販売されていたのも十分納得できる完成度です。

■書籍
ラウシェンバーグに限らず、現代美術の歴史を振り返る時に、参考となる文献の少なさに愕然とさせられる事がままあります。
例えば、「リキテンスタインに関して調べたい。」と思った時に、果たしてすぐさま頭に思い浮かぶ資料ってそうそうたくさんあるでしょうか?
これが、ロバート・インディアナとか、トム・ウエッセルマンとかだったらなおさら見つからない。
アンディ・ウォーホルやジャスパージョーンズなど、超メジャーのアーティストなら幾度も美術館で回顧展が開催され、複数の評論家が文章としてまとめ、歴史的な評価がされているのですが、ラウシェンバーグクラスの重要な作家でも、体系的に作品を紹介した作品集が数冊しか出版されていないのは、今後のアートマーケットの課題となる事は確実です。
今回は、ラウシェンバーグの日本語で記述された文献を中心に、作品集や展覧会カタログをピックアップしました。

1.「裏切られた眼差」東野芳明著  税込1,500円
副題として「レオナルドからウォーホールへ」とあるように、時代を超えて集められたアーティスト達を東野独自の視点で解題するエッセイ集。カバージャケットのデザインにラウシェンバーグの作品がセレクトされている。

2.「つく手たちとの時間」東野芳明著(対談集)  税込1,800円
ラウシェンバーグ、ジョン・ケージ、ヨゼフ・ボイス、ジャスパージョーンズ、サムフランシス・・・・、コンテンポラリーアート界のキーパースンから音楽家、建築家など、領域超えた16名の巨匠の声を集めた対談集。

3.「現代美術」 東野芳明著  税込2,500円
おそらく、一人の著者により「現代美術」に関する記述を体系的にまとめられた日本初の評論集。ポロック/抽象表表現主義以降の現代美術の流れをわかり易い切り口で解題している。

4.「アメリカ『偶像培養国誌』」 東野芳明著  税込2,000円
横尾忠則のデザインによる、ANDY WARHOLを極彩色のカラーでデフォルメした表紙が印象的だ。
1966年、著者がジャパン・ソサエティの招待でアメリカに滞在した期間に経験したコンテンポラリーアートの動向をレポートしている。
「コンバイン日記」の章では、Marcel Duchamp、ジャスパー・ジョーンズ、ジョージ・シーガルなど、当時第一線で活躍していたアーティストのアトリエ訪問記に始まり、ラウシェンバーグのパフォーマンスや当時のNYの美術界をリアルに綴った日記が展開される。
本文のなかに、ANDY WARHOLのパフォーマンス(1966.2月)を紹介している件がある。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドという「バンドのライブ」としてではなく、ウオーホールがプロデュースした「サイケデリック・ショー(ライト・ショー)」としてレポートされているところが時代を感じさせる。ポップアート全盛のアメリカ現代美術界の動向を、リアルに表現した一冊。

5.「E.A.T」展覧会カタログ/NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] 税込2,500円
2003年に初台のNTTインターコミュニケーション・センターで開催された企画展「E.A.Tー芸術と技術の冒険」展のカタログ。メディアアート黎明期のアメリカに於いてラウシェンバーグが残した重要な活動の記録がまとめられた最重要文献。

6.「Robert Rauschenberg: Transfer Drawings from the 1960s」  税込4,000円

7.「Robert Rauschenberg:ART AND LIFE」  税込8,000円
ラウシェンバーグの初期からTribute21が発表された1990年代の活動をまとめたモノグラフ。ラウシェンバーグの作品の変遷がよくわかる作品集です。

8.「Robert Rauschenberg:DRAWINGS」 税込12,000円
新聞や雑誌に掲載されている写真にオイルを浸し、紙の上に置いてインクの切れたボールペンで裏から擦るとイメージが転写されます。シルクスクリーンによる制作以前の技法を使ったアートワークの作品集。

9.「Robert Rauschenberg:The Silkscreen Paintings 1962-64」  税込8,000円

10.「ロバートラウシェンバーグ ROCI日本展」展覧会カタログ/世田谷区美術館 税込2,000円

11.「 Rauschenberg」  税込4,000円
NYの老舗美術出版社Abramsから出版されたラウシェンバーグの最も初期の作品集。ブラックペーンティングやコンバインペインティングの作品が紹介されている。

12.「 Robert Rauschenberg(DTV)」  税込8,000円
ラウシェンバーグがシルクスクリーンによる作品制作を始めたのは、アンディ・ウオーホールのスタジオから使わなくなった1枚の版を譲り受けた事がきっかけと聞いた事があります。シルクスクリーン・ペインティングの技法が、初期から中期から晩年に向かっていかに変化していくかを見比べて下さい。

13.「ROCI」  税込10,000円
ROCI:『平和を願い、世界の芸術家と共同制作して展覧会を行う「ラウシェンバーグ海外文化交流」(ROCI=ロッキー)を設立。1985年から1991年にかけて、私財を投じ、アジアや中南米など12カ国で世界巡回ツアーを行った。(ウ
ィキペディアより)』。
1986年に日本に巡回した際に発行された展覧会カタログとプロジェクト終了後に全ての地域の作品を集約した作品集。
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ラウシェンバーグ展の展示風景です。
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◆ときの忘れものは2012年7月20日(金)ー7月28日(土)「ロバート・ラウシェンバーグ展 PartⅡ」を開催しています(会期中無休)。
案内用カード_m
生涯を通して世界の文化に重要な貢献を行ない、21世紀に建設的な影響を与える23人に寄せたオマージュ連作(-平和-ミハイル・ゴルバチョフ/-音楽-ジョン・ケージ/-映画-スチーブン・スピルバーグ/-子供達-オードリー・ヘップバーン/-保健-マチルダ・クリム博士/-テクノロジー-ビル・ゲイツ/-ダンス-ジャック・ダンボワ、トリシャ・ブラウン/-建築-R. バックミンスター・フラー/-ファッション-三宅一生/-自然-ジャック・クストー/-労働-レーン・カークランド/-教育-ジム・ヘンソン/-環境-アル・ゴア/-宇宙-カール・セーガン/-コミュニケーション-テッド・ターナー/-文学-トニ・モリソン/-人権-ネルソン・マンデラ/-民族文化- ダライ・ラマ/-芸術-ドミニク・デ・メニル/-演劇-レイチェル・ローゼンタール/-スポーツ- ボニー・ブレア)から第二期12点を展示します。

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