久しぶりに会った息子がよれよれの亭主を見て、
「父さん、どうしたの」
亭主「どうしたのって(絶句)、おまえブログ読んでないの」
「読んでないけど、何かあったの」

この親不孝め。
ことほどさようにこのブログは身内からは見放されておりまして・・・(拗ねる)。

画廊にある亭主の机は特注で横幅1.8mあります。
その上にパソコン2台(マックとウインドーズ)が鎮座し、ファイル、書類類がうず高く積まれ、モノを書いたりする余地は30cmもない。要するに整理整頓が苦手なのであります。
一週間も留守をすると、未開封の郵便類、カタログ、葉書が一杯に積まれいよいよ往生する。
先日のソウル出張で溜まった郵便類を整理するのに一日かかりました。
恵贈を受けた本や画集は眼を通してから礼状を書く(これがなかなか進まない、先日も某画家のご遺族から、その画家が親交した人々を徹底的に調べつくした評伝的な本を贈っていただいたのだが、これが一主婦の方が書いたとは思われない本格的な研究書で読み終わるのに随分と時間がかかり御礼のメールを送ったのはソウル出発前日だった)。
展覧会の案内状もたくさんいただくのだが、なかなか伺えず失礼することも多い。
しかし、それらは亭主の貴重な情報源なので、ファイルするとともに、必要な情報はパソコンに取り込む。
このブログでときどきご紹介する各地の美術館やギャラリーの情報もそういう中から選んでいます。

とまあ、いつもの通りそれら紙の山を整理していたら、中から大判の真っ黒な葉書が出てきました。
g16リレートーク
ギャラリー16
リレートーク | 50 years of galerie 16
2012年9月25日|火|~9月29日|土|
[各日]開場18:00~
トーク開始18:30~20:30(定員40名)

2012年9月、ギャラリー16が開廊50周年を迎えるのを機に、各年代ごとにパネリストを迎え、各時代を画する展覧会の記録写真を交えながら、当時の美術とそれらをとりまく状況をリレートーク形式で開催します。
関西現代美術の半世紀を検証し、次なるアートウェーブを呼び起す契機になればと考えます。(葉書文面より)


[パネリスト]井上道子(ギャラリー16代表)

1960年代――9月25日(火)
[パネリスト]林剛(美術家)、池永慶一(美術家)、岩田重義(アートディレクター)

1970年代――9月26日(水)
[パネリスト]林剛(美術家)、庄司達(造形作家)、柏原えつとむ(美術家)、植松奎二(彫刻家)、岸田良子(美術家)

1980年代――9月27日(木)
[パネリスト]建畠晢(京都市立芸術大学学長)、北山善夫(画家・彫刻家)、山部泰司(美術家)、中原浩大(美術家)

1990年代――9月28日(金)
[パネリスト]太田垣實(美術評論家)、今村源(美術家)、安喜万佐子(美術家)、小杉美穂子+安藤泰彦〈KOSUGI+ANDO〉(美術家)

2000年以降――9月29日(土)
[パネリスト]太田垣實(美術評論家)、加須屋明子(京都市立芸術大学准教授)、小吹隆文(美術ライター)

[モデレータ]
1960年代~1980年代 坂上しのぶ(戦後前衛美術研究)
1990年代・2000年以降 塩田京子(ギャラリー16スタッフ)
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いや驚きました。
井上さん、50年かあ。亭主が小僧っ子扱いされるはずだよなあ。

今春4月の「ART KYOTO 2012」に森村泰昌の大作をどどんと出品し(ご本人に言わせると「たまには虫干ししないと」)、素敵な和服姿で会場をまわっていらしたのがオーナーの井上さんです。

画廊というと、フォルム画廊の福島葉子さんを持ち出すまでも無く、早くから女性の職場でもありました。女性の社会進出の先駆けの職種で、これは誇ってもいいことですね。
亭主が全国を版画をかかえて行商していた1970~80年代、各地には魅力的な女性がオーナーの画廊がいくつもありました(今でもきっとある)。
亭主がお世話になった女性画商さんを思い出せば、山形の「しろがね美術サロン」の佐藤さん、八戸の「ギャラリー・ビーネ・ムライ」の村井さん、大阪の「番画廊」の松原さんなどなど。
神戸のギャラリー・ド・ラ・ペの平田和子さんのことは以前書きました。
女傑といわれるようなスケールの女性もたくさんいます。
世に、双璧とか両雄(?)とか言いますが、ライバルはあった方が活性化する。
名古屋では、藤田八栄子さんの「桜画廊」と、南谷博子さんの「伽藍洞ギャラリー」がなんと言っても有名でした。
京都には渋谷清子さんの「ギャラリーココ」、そして井上道子さんの「ギャラリー16」。
東京には、いやこれは少し差し障りがあるから止めましょう(笑)。

皆さんに亭主はたいへんお世話になり、ご指導いただきました。
それにしても井上さんの上掲の50周年記念リレートークの参加メンバーの豪華なこと。
ソウル出張のせいで見るのが遅くなり、もう会期は始まってしまいましたが、お近くの方、ぜひ現代美術史の生き証人、井上さん主催のトークを楽しんでください。
ギャラリー16と井上道子さんのますますのご発展とご健康をお祈りする次第です。