石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」 第1回bis
マン・レイ展 『光の時代』 2014年4月29日―5月4日 京都

manray1bis-1毎日「アンナ」を観ています。


manray1bis-2堺町通り御池上ル


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 ブログ『マン・レイへの写真日記』を始めさせていただいた京都の石原輝雄です。初回から励ましの言葉をたくさん頂き嬉しく思っております。有難うございます。もっとも、みなさんマン・レイよりも「パイプ」を話題にされておられます(笑)。さて、偶然なのですが、「アンナ」の版画を自室から移動する機会がおとずれました。── 現代美術の画廊として知られるギャラリー16がコレクション展を開催してくれるのです。長くお付き合いさせていただいている井上道子さんからのお誘いなので、これほど嬉しい事はありません、コレクターの画廊デビューです。

 画廊の所在が京都国立近代美術館の南側、三條白川橋上ルにあるので、展覧会は土地と関連付けたものにしたいと考えた。昭和の初めに京都と大津を結ぶ京津線が走っていて、画廊から東へ五分ほど歩いたところに廣道駅があり、近くにマン・レイのレイヨグラフを詩集の挿画に使った俵青茅の家があった。マン・レイの受容史を研究する者にとっては驚きの発見で、追跡の様子を『三條廣道辺り』(銀紙書房、2011年刊)として纏めた。ギャラリー16で展覧会をするのならば、戦前京都の詩人たちの息づかいが聞こえるような展示にしたい、俵が行き来したであろう場所に、彼の詩集を展示する。しかも、表紙と頁を開いた二冊を使って、などと計画すると楽しくてしかたがない。

 もっか、展覧会の準備で忙しい。会場構成、展示什器の検討・制作、いろいろな情宣も自分でやりたいし、エフェメラに狂っているので案内状やカタログも自作となります。今回は日本語版とは別に英語版も用意し、郵送の他にPDFでの配信も行った。会社に勤めながらの作業なので、時間が不足して困った。だから、多くの人に観に来てもらいたい、いろいろな話がしたい、きっと、新しい発見があると思う。

 展覧会のタイトルは『光の時代: レイヨグラフを中心とした、マン・レイと三條廣道辺り』 会期は4月29日(火)から5月10日(土)で月曜休廊。12 : 00─19 : 00(日曜・最終日18 : 00迄) 会場はギャラリー16 住所:〒605-0021 京都市東山区三條白川橋上ル石泉院町394 戸川ビル3F http://www.art16.net/  E-mail:info@art16.net 尚、会期中の5月4日 (日) 14 : 00─ 15 : 30にギャラリートークを行います。 コレクター・石原輝雄 × 画家・林哲夫(定員30名・参加費1,000円カタログ付き)

 展示品の詳細については、カタログをお求めいただくのが最善なのですが、1920・30年代を中心に幾つか示しておきます。(1)マン・レイから中西武夫(後に宝塚歌劇団の演出家となる)宛て手紙 (2)青樹社発行詩集 俵青茅『雪女』『夜虹』、天野隆一『紫外線』 (3)ジャン・コクトー詩集『天使ウルトビーズ』 (4)レイヨグラフ集『エレクトリシテ』全10点 (5)『蘇ったマネキン』、シュルレアリスムの資料好きには (6)『巴里新興美術展覧会』 (7)『海外超現実主義作品展』などのカタログがこたえられないと思います。展示の導入部に「アンナ」を飾り、およそ50点の展示となります。他に天野大虹(天野隆一)さんの日本画、短冊、林哲夫(画家・文筆家・装幀家・sumus同人)さんの油彩、水彩なども特別出品となる予定ですので、ご期待下さい。

manray1bis-3案内状 14.8×10cm


いしはら てるお

■石原輝雄 Teruo ISHIHARA(1952-)
1952年名古屋市生まれ。中部学生写真連盟高校の部に参加。1973年よりマン・レイ作品の研究と収集を開始。エフェメラ(カタログ、ポスター、案内状など)を核としたコレクションで知られ、展覧会企画も多数。主な展示協力は、京都国立近代美術館、名古屋市美術館、資生堂、モンテクレール美術館、ハングラム美術館。著書に『マン・レイと彼の女友達』『マン・レイになってしまった人』『マン・レイの謎、その時間と場所』『三條廣道辺り』、編纂レゾネに『Man Ray Equations』『Ephemerons: Traces of Man Ray』(いずれも銀紙書房刊)などがある。京都市在住。

石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」目次
第1回「アンナ 1975年7月8日 東京」
第1回bis「マン・レイ展『光の時代』 2014年4月29日―5月4日 京都」
第2回「シュルレアリスム展 1975年11月30日 京都」
第3回「ヴァランティーヌの肖像 1977年12月14日 京都」
第4回「青い裸体 1978年8月29日 大阪」
第5回「ダダメイド 1980年3月5日 神戸」
第6回「プリアポスの文鎮 1982年6月11日 パリ」
第7回「よみがえったマネキン 1983年7月5日 大阪」
第8回「マン・レイになってしまった人 1983年9月20日 京都」
第9回「ダニエル画廊 1984年9月16日 大阪」
第10回「エレクトリシテ 1985年12月26日 パリ」
第11回「セルフポートレイト 1986年7月11日 ミラノ」
第12回「贈り物 1988年2月4日 大阪」
第13回「指先のマン・レイ展 1990年6月14日 大阪」
第14回「ピンナップ 1991年7月6日 東京」
第15回「破壊されざるオブジェ 1993年11月10日 ニューヨーク」
第16回「マーガレット 1995年4月18日 ロンドン」
第17回「我が愛しのマン・レイ展 1996年12月1日 名古屋」
第18回「1929 1998年9月17日 東京」
第19回「封印された星 1999年6月22日 パリ」
第20回「パリ・国立図書館 2002年11月12日 パリ」
第21回「まなざしの贈り物 2004年6月2日 銀座」
第22回「マン・レイ展のエフェメラ 2008年12月20日 京都」
第23回「天使ウルトビーズ 2011年7月13日 東京」
第24回「月夜の夜想曲 2012年7月7日 東京」
番外編「新刊『マン・レイへの写真日記』 2016年7月京都」
番外編─2『Reflected; 展覧会ポスターに見るマン・レイ』
番外編─2-2『マン・レイへの廻廊』
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◆ときの忘れものは2014年4月19日[土]―5月6日[火 祝日]「わが友ウォーホル~氏コレクションより」を開催しています(*会期中無休)。
ウォーホル展DM
日本で初めて大規模なウォーホル展が開催されたのは1974年(東京と神戸の大丸)でした。その前年の新宿マット・グロッソでの個展を含め、ウォーホル将来に尽力された大功労者がさんでした。
アンディ・ウォーホルはじめ氏が交友した多くの作家たち、ロバート・ラウシェンバーグ、フランク・ステラ、ジョン・ケージ、ナム・ジュン・パイク、萩原朔美、荒川修作、草間彌生らのコレクションを出品します。

●イベントのご案内
4月25日(金)18時より、ジョナス・メカス監督「ファクトリーの時代」の上映会を開催します(※要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。

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本日のウォーホル語録

<60年代には、誰もが誰もに興味を抱いた。それには、ドラッグが一役かっていた。突然、誰もが平等になったのだ――社交界の人間から、タクシーの運転手、ウェイトレスから、お偉ら方まで。60年代、誰もが誰もに興味を持った。70年代、人々は興味を落しはじめた。60年代は、ひとつの騒動だった。70年代は、とても空虚だ。
―アンディ・ウォーホル>


ときの忘れものでは4月19日~5月6日の会期で「わが友ウォーホル」展を開催しますが、それに向けて、1988年に全国を巡回した『ポップ・アートの神話 アンディ・ウォーホル展』図録から“ウォーホル語録”をご紹介して行きます。