9月に開催した「光嶋裕介新作展―幻想都市風景」はおかげさまで大盛況でしたが、すぐ近くのワタリウム美術館では待望の磯崎新先生の「建築外的思考」という語に焦点を当てた展覧会が始まりました。
必見です!
「磯崎新 12×5=60」
会期:2014年8月31日[日]~2015年1月12日[月]
会場:ワタリウム美術館



9月4日に開催されたレセプションには83歳になった磯崎先生も元気なお姿を見せ、例によって訥々とした口調で挨拶されました。

「磯崎先生はボクたちのアイドルだった」と、母和多利志津子さんの時代からの念願の磯崎新展の実現への熱い思いを語る和多利浩一さん。

挨拶される磯崎新先生。右端は展覧会の監修をした松井茂さん(芸術情報センター助教)。

建築界、美術界の多彩な人たちが参集。
今回のワタリウムの展覧会は大建築家磯崎新の建築設計以外の活動を展望する展覧会です。
建築に詳しくない人でも楽しめます。
磯崎新先生は早くから建築のみならず、思想、美術、デザイン、映画などの国際的な舞台で活躍、評論や設計競技の審査を通じて、世界のラディカルな建築家たちの発想を実現に導くうえでのはかり知れない支援を果たしてきました。
日本を代表するとともに、世界の建築界で最も信頼されている建築家であり、自らの建築観(コンセプト)を紙の上に表現することに強い意欲を示し、1977年から既に200点もの版画を制作しています(建築家はなぜ版画をつくるのか)。
そのほとんどに私たちは版元として関わってきましたが、それらの中から「栖 十二」と「極薄」も今回出品されています。
また軽井沢の書斎の実寸模型も展示されていますが、以下はこの〈鳥小屋〉を見学したスタッフの秋葉の感想です。
~~~~~~
ワタリウム美術館の3階には「鳥小屋(トリー・ハウス)」と呼ばれている軽井沢の書斎の実寸模型があり、16時~18時の2時間だけ実際に鳥小屋に上がることができるとのことで、その時間に行ってきました。
丸太にザクザクと切れ目を入れただけのような急な階段を登り中に入ると木の香りが立ち込め、窓の外には木々の葉が揺れる映像が映し出されています。壁には瀧口修造さんによる本の推薦文や、磯崎さんの版画(ときの忘れものエディション)が掛かっていました。部屋は四畳半程でとても広いとは言えませんが、むしろその狭さがとても心地よかったです。自分にも森の中にこんな部屋があったなら…などと叶わぬ願望が頭を過ぎりました。
4階には磯崎さんが世界各地で描いたスケッチが展示されており、写真に収めるのではなく自分で描いて記憶に留めるそのスタイルに圧倒されてしまいました。頭ではそう思っていても、それはなかなか一貫してできないからです。何十冊ものスケッチブックが開いたかたちで展示されていましたが、今回は見ることが出来ない他のページにはどんな景色が描かれているのか見てみたいなと思いました。
(あきばめぐみ)
会期中さまざまなイベントが開催されますが、10月17日には植田実先生のトークもあります。
ワタリウム
鳥小屋(トリー・ハウス)内観
磯崎新
「極薄」
2006年
シルクスクリーン
イメージサイズ:49.0×46.0cm
シートサイズ:56.0×56.0cm
Ed.35 Signed
*ときの忘れものエディション
この作品は2005年に亡くなった美術評論家・東野芳明さんへのオマージュとして制作されました。(磯崎新先生のエッセイをお読みください。)
ワタリウムの4階には、磯崎先生から35人の書簡受取人に宛てて毎月郵送された連刊画文集「栖 十二」のファースト・エディションも展示されています。
以下に紹介するのはセカンド・エディションです。
磯崎新
「栖 十二 挿画1」
1998年
銅版・手彩色・アルシュ紙
イメージサイズ:10.0×15.0cm
シートサイズ:28.5×38.0cm
Ed.8(E.A.) Signed
*ときの忘れものエディション
※磯崎新銅版画集「栖 十二」(すみかじゅうに)の中の1点。手彩色のA版と、単色刷りのB版があります。
ファースト・エディションについては磯崎新『栖十二』より第一信クルツィオ・マラパルテ[カサ・マラパルテ]をお読みください。
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●ご紹介が遅くなってしまいましたが、埼玉県立近代美術館の「戦後日本住宅伝説―挑発する家・内省する家」展も、磯崎先生はじめ戦後の伝説の「住宅作品」に光をあてた展覧会でとても面白い展示でした。
埼玉は終了してしまいましたが、明日10月4日からは広島市現代美術館で巡回開催され(12月7日まで)、その後2015年4月松本市美術館でも開催されます。


会期:2014年7月5日[土]―8月31日[日](終了)
会場:埼玉県立近代美術館
戦後の1950年代から始まり、国家的イベントである万博を経て、建築家の眼差しが強く内部に向けられた1970年代までに建てられた戸建て住宅に焦点を当てたこの展覧会、磯崎新、安藤忠雄、石山修武など、ときの忘れもののエディション作家をはじめ16人の建築家の16作品で構成されていました。大好評でカタログは完売とか。

磯崎新「新宿ホワイトハウス」(1957年)

かつてのネオダダの梁山泊は現在はカフェになっています。詳しくはコチラ。

東孝光「塔の家」(1966年)
ワタリウムの斜め前にあります。

毛綱毅曠「半住器」(1972年)
雪の季節に訪ね、毛綱さんのお母様に歓待していただきました。

原広司「原邸」(1974年)

石山修武「幻庵」(1975年)
まだ私たちは見ていないので、今年はぜひ訪ねたいですね。
●今日のお勧め作品は磯崎新のドローイングと、安藤忠雄の版画です。
磯崎新
ドローイング
紙に鉛筆
シートサイズ:11.5×34.2cm
額サイズ:24.7×53.2cm
signed
安藤忠雄
「住吉の長屋」
1998年
シルクスクリーン
イメージサイズ:43.0×69.5cm
シートサイズ:60.0×90.0cm
洋紙B版:Ed.35
signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
必見です!
「磯崎新 12×5=60」
会期:2014年8月31日[日]~2015年1月12日[月]
会場:ワタリウム美術館



9月4日に開催されたレセプションには83歳になった磯崎先生も元気なお姿を見せ、例によって訥々とした口調で挨拶されました。

「磯崎先生はボクたちのアイドルだった」と、母和多利志津子さんの時代からの念願の磯崎新展の実現への熱い思いを語る和多利浩一さん。

挨拶される磯崎新先生。右端は展覧会の監修をした松井茂さん(芸術情報センター助教)。

建築界、美術界の多彩な人たちが参集。
今回のワタリウムの展覧会は大建築家磯崎新の建築設計以外の活動を展望する展覧会です。
建築に詳しくない人でも楽しめます。
磯崎新先生は早くから建築のみならず、思想、美術、デザイン、映画などの国際的な舞台で活躍、評論や設計競技の審査を通じて、世界のラディカルな建築家たちの発想を実現に導くうえでのはかり知れない支援を果たしてきました。
日本を代表するとともに、世界の建築界で最も信頼されている建築家であり、自らの建築観(コンセプト)を紙の上に表現することに強い意欲を示し、1977年から既に200点もの版画を制作しています(建築家はなぜ版画をつくるのか)。
そのほとんどに私たちは版元として関わってきましたが、それらの中から「栖 十二」と「極薄」も今回出品されています。
また軽井沢の書斎の実寸模型も展示されていますが、以下はこの〈鳥小屋〉を見学したスタッフの秋葉の感想です。
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ワタリウム美術館の3階には「鳥小屋(トリー・ハウス)」と呼ばれている軽井沢の書斎の実寸模型があり、16時~18時の2時間だけ実際に鳥小屋に上がることができるとのことで、その時間に行ってきました。
丸太にザクザクと切れ目を入れただけのような急な階段を登り中に入ると木の香りが立ち込め、窓の外には木々の葉が揺れる映像が映し出されています。壁には瀧口修造さんによる本の推薦文や、磯崎さんの版画(ときの忘れものエディション)が掛かっていました。部屋は四畳半程でとても広いとは言えませんが、むしろその狭さがとても心地よかったです。自分にも森の中にこんな部屋があったなら…などと叶わぬ願望が頭を過ぎりました。
4階には磯崎さんが世界各地で描いたスケッチが展示されており、写真に収めるのではなく自分で描いて記憶に留めるそのスタイルに圧倒されてしまいました。頭ではそう思っていても、それはなかなか一貫してできないからです。何十冊ものスケッチブックが開いたかたちで展示されていましたが、今回は見ることが出来ない他のページにはどんな景色が描かれているのか見てみたいなと思いました。
(あきばめぐみ)
会期中さまざまなイベントが開催されますが、10月17日には植田実先生のトークもあります。
ワタリウム鳥小屋(トリー・ハウス)内観
磯崎新「極薄」
2006年
シルクスクリーン
イメージサイズ:49.0×46.0cm
シートサイズ:56.0×56.0cm
Ed.35 Signed
*ときの忘れものエディション
この作品は2005年に亡くなった美術評論家・東野芳明さんへのオマージュとして制作されました。(磯崎新先生のエッセイをお読みください。)
ワタリウムの4階には、磯崎先生から35人の書簡受取人に宛てて毎月郵送された連刊画文集「栖 十二」のファースト・エディションも展示されています。
以下に紹介するのはセカンド・エディションです。
磯崎新「栖 十二 挿画1」
1998年
銅版・手彩色・アルシュ紙
イメージサイズ:10.0×15.0cm
シートサイズ:28.5×38.0cm
Ed.8(E.A.) Signed
*ときの忘れものエディション
※磯崎新銅版画集「栖 十二」(すみかじゅうに)の中の1点。手彩色のA版と、単色刷りのB版があります。
ファースト・エディションについては磯崎新『栖十二』より第一信クルツィオ・マラパルテ[カサ・マラパルテ]をお読みください。
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●ご紹介が遅くなってしまいましたが、埼玉県立近代美術館の「戦後日本住宅伝説―挑発する家・内省する家」展も、磯崎先生はじめ戦後の伝説の「住宅作品」に光をあてた展覧会でとても面白い展示でした。
埼玉は終了してしまいましたが、明日10月4日からは広島市現代美術館で巡回開催され(12月7日まで)、その後2015年4月松本市美術館でも開催されます。


会期:2014年7月5日[土]―8月31日[日](終了)
会場:埼玉県立近代美術館
戦後の1950年代から始まり、国家的イベントである万博を経て、建築家の眼差しが強く内部に向けられた1970年代までに建てられた戸建て住宅に焦点を当てたこの展覧会、磯崎新、安藤忠雄、石山修武など、ときの忘れもののエディション作家をはじめ16人の建築家の16作品で構成されていました。大好評でカタログは完売とか。

磯崎新「新宿ホワイトハウス」(1957年)

かつてのネオダダの梁山泊は現在はカフェになっています。詳しくはコチラ。

東孝光「塔の家」(1966年)
ワタリウムの斜め前にあります。

毛綱毅曠「半住器」(1972年)
雪の季節に訪ね、毛綱さんのお母様に歓待していただきました。

原広司「原邸」(1974年)

石山修武「幻庵」(1975年)
まだ私たちは見ていないので、今年はぜひ訪ねたいですね。
●今日のお勧め作品は磯崎新のドローイングと、安藤忠雄の版画です。
磯崎新ドローイング
紙に鉛筆
シートサイズ:11.5×34.2cm
額サイズ:24.7×53.2cm
signed
安藤忠雄「住吉の長屋」
1998年
シルクスクリーン
イメージサイズ:43.0×69.5cm
シートサイズ:60.0×90.0cm
洋紙B版:Ed.35
signed
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