ご紹介するのがすっかり遅くなってしまいましたが、世田谷美術館で難波田史男展が開催されています。
没後、繰り返し回顧展が開催されていますが、見るたびにこの若くして亡くなった作家のエネルギッシュな作品群に圧倒されます。
20141206難波田史男展 表
「難波田史男の世界 イメージの冒険」展
会期:2014年12月6日[土]~2015年2月8日[日]
会場:世田谷美術館 1階展示室
   〒157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2
   Tel. 03-3415-6011

ときに非常に広大で、またときにきわめて深遠な、独創的なイメージの世界が、展示室いっぱいに拡がります
 今や遠い過去となった1960年代は、国内外の若者たちがあらゆるジャンルにおいて、こぞって新しい思想や感性を表出させた特異な時代でした。その60年代に青春期を過ごし、研ぎ澄まされた視覚と言語感覚をもって独自の世界を逍遥していたのが、知られざる青年画家・難波田史男(1941-1974)です。不慮の事故により32歳の若さで他界してしまいましたが、15年足らずの短い活動期に、2,000点を超える作品を描き残しました。
 その多くは水彩とインクを使った空想世界の描写です。写実や構成といった絵画の基本をよそに、史男は内から溢れ出るイメージの数々を、一貫して自由なスタイルで描いています。画家として大成することを目指すというよりは、想像世界をひとり遊歩しながら、創作による冒険を重ねていたといってもいいでしょう。その背景には、旺盛な読書やクラシック音楽から得たインスピレーションもあったようです。また、日記やノートに刻まれた随想や詩篇にも、絵画作品と響き合うかのような史男独自の言葉の世界が拡がっています。
 本展では、当館が所蔵する全800点余の史男作品のなかから、秀作・約300点を選りすぐって展覧します。短い画歴のなかでも、その作風はときに大きく変化し、人知れず葛藤を重ねていた無名の青年画家ならではの、果敢な実験の軌跡を見てとることができます。「自由」のみを糧に、遠く深く未知の世界へと冒険を繰り返した史男という存在に、没後40年を経た今、わたしたちは改めて新鮮な驚きと共感を覚えることになるでしょう。

不条理の最高の喜びは創造である。
この世界に於いては、作品の創造だけがその人間の意識を保ち、その人間のさまざまな冒険を定着する唯一の機会である。
創造すること、それは二度生きることである。

史男、27-28歳頃、1968-69年頃のノートより
(同展HPより転載)

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●画廊コレクションから難波田史男、その父難波田龍起作品をご紹介します。
難波田史男_野と空_水彩_難波田史男
「野と空」
1971年
水彩、インク
27.0x38.1cm
サインあり

難波田史男_門_水彩_難波田史男
「門」
1972年
水彩、インク
26.9x38.0cm
サインあり

難波田龍起_夕暮_水彩_難波田龍起
「夕暮」
1989年
水彩、インク
24.8x33.4cm
サインあり
裏にタイトルと年記あり

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◆ときの忘れものの2月前半の展示は「如月の画廊コレクション」です。
201502collection如月の画廊コレクション
会期:2015年2月3日(火)~14日(土)
*日曜、月曜、祝日は休廊

出品:斎藤義重、岡本太郎、森下慶三、フォロン、恩地孝四郎、難波田史男、草間彌生、瑛九、舟越桂、その他いろいろ

福井県立美術館では2月8日まで『福井の小コレクター運動とアートフル勝山の歩み―中上光雄・陽子コレクションによる―』が開催されています。ときの忘れものが編集を担当したカタログと、同展記念の特別頒布作品(オノサト・トシノブ、吉原英雄、靉嘔)のご案内はコチラをご覧ください。

◆1月24日~25日に開催した「現代美術と磯崎建築~北陸の冬を楽しむツアー」には各地から15名が参加されました。参加された皆さんの体験記をお読みください。
石原輝雄さんの体験記
浜田宏司さんの体験記
酒井実通男さんの体験記
◆福井県勝山の磯崎新設計「中上邸イソザキホール」については亭主の回想「台所なんか要りませんから」をお読みください。