中村茉貴「美術館に瑛九を観に行く」 第1回 川越市立美術館
「たまもの in 川越 モネから草間彌生まで
埼玉県立近代美術館の逸品大集合!」
川越市立美術館外観
展示室入口
本展は、埼玉県立近代美術館が所蔵する作品からなる展覧会である。同館が改修工事に伴い休館中のため、川越を舞台にクロード・モネ《積わら》をはじめとする美術館の主役級ばかりが顔を合わせることになったようだ。いわば名画の「興業」というべきだろうか。
川越藩の門戸をたたいた一番手は「瑛九」。展示会場を入ってすぐのところに華々しく油彩2点が並んでいた。作品の総点数は104点。そのうち瑛九の作品は、1章に4点、3章に2点の計6点が展示されていた。改めて瑛九の多彩な表現に気付かされたばかりでなく、美術館が瑛九を埼玉ゆかりの作家として重点を置いていることがうかがい知れる。
瑛九は1951(昭和26)年に埼玉県さいたま市仲町(旧浦和市)へ妻の都(みやこ)と共に移住した。エスペランチストの仲間の紹介で暗室付きの借家に住む。翌年には同市本太にアトリエ付きの一軒家を持つ。瑛九のアトリエは、靉嘔や池田満寿夫(両者本展に作品展示中)など若い作家が集う「サロン」として親しまれた。
いつも故郷の宮崎を想っていた瑛九。埼玉に越してきた瑛九は、どのような様子で過ごしていたのか。瑛九は1955(昭和30)年「日向日日新聞」(現宮崎日日新聞)に次のような文章を記している。
瑛九「緑にかこまれて」挿絵
僕のいる所は浦和駅から徒歩十五分ぐらいな所ですが、浦和市の中心街の裏側になるような所ですから緑にかこまれています。浦和の写真があいにく手元にないものですから僕の家をスケッチしましたので入れておきます。
このスケッチにみえる手前の方は僕の家から北になるのですがごらんのとおり畑です。南の方は隣家の庭になっていて、緑にかこまれているといっても良いでしょう。僕の家の庭にも大きなクヌギが何本も茂ってました。あまり森のようなので一本だけのこしてあとはきりたおしてしまったのでしたが、隣家の庭にクヌギが七、八本植っているので田園趣味はくずれません。僕がこしてきた時はスケッチの家は屋根がカヤぶきだったのです。一昨年スレートかわらになおしました。こうかいてくるとおよそ僕のいる所のふんいきはいくらかわかってもらえるでしょう。
上野まで浦和から三十分しかかからないので、東京には毎月四、五回はきまって出るのですが、たいてい絵を見るか友人に会うかしてはさっさと帰ってくるので、そしてそれはいつもわかりきった調子で終わるので、僕は僕の田園気分の中にいるようです。
(瑛九「緑にかこまれて」日向日日新聞、1955年9月3日)
上記のように瑛九は宮崎にいる兄妹や友人に嬉々として自分の近況を伝えています。緑の茂った静かな場所と東京の展覧会へすぐに行ける環境を手に入れ、埼玉の暮らしを気に入っていたようである。
さて、本展の展示構成および瑛九の出品作品は以下のとおりである。
1章 現在(いま)へと続く現代美術
2章 近代の名品たち
3章 モノクロームから現代へ
左《雲》、右《青の中の黄色い丸》
《雲》1959年、油彩・キャンバス、162.2×130.3㎝
《青の中の黄色い丸》1957-58年、油彩・キャンバス、116.5×80㎝
上《オペラグラス》、下《風が吹きはじめる》
《オペラグラス》1953年、エッチング・紙、23.5×18.1㎝
《風が吹きはじめる》1957年、リトグラフ・紙、39.8×53.5㎝
左《希望》、右《リズム》
《希望》1951年、ゼラチン・シルバー・プリント、54.5×42.3㎝
《リズム》1951年、ゼラチン・シルバー・プリント、53.5×41.5㎝
案内チラシには展覧会について、以下のような記載があった。
これらの作品群は、縁が重なって授かった賜り物としての「たまもの」であり、先の世代の人々が優れた芸術を後世に伝えようした努力の「たまもの」です。これらは埼玉県民の共有財産といえるものです。(本展チラシ裏面より引用)
どうやら記憶に新しい2013年4月4日から約1ヶ月間開かれた大コレクション展「たまもの」とは少し意味合いが異なるようだ。「たまもの」というと、特別個人に賜ったような私的な語感を含むが、川越の地で「共有財産」として御披露目し、意識の枠を広げることでより多くの人たちの中で「たまもの」が輝きを増すことになるであろう。「たまもの」の輝きの連鎖を絶えずつなげてゆくことが大事である。展覧会を通じて企画者のあたたかな気持ちが伝わってきた。
***
ちょっと寄道....
「道灌まんじゅう」美術館のとなりにある和菓子屋。発泡スチロール製の巨大な兎が店先に鎮座していた。同市在住ヤジマキミオ作。
蕎麦屋「百丈」。壁面が銅板の国登録有形文化財。市役所前の交差点に位置する。3階はギャラリーとして開放している。
銘菓「龜屋」。天明3年創業。川越の街並みを象徴する蔵づくり。
「CAFE ELEVATO」。ショーウィンドウに川越の地ビール「COEDO」が並ぶ。紅赤・伽羅・瑠璃・漆黒・白の5種がある。
御囃子に誘われて川越熊野神社へ。獅子舞に頭をかじってもらえた。
(なかむら まき)
●展覧会のご案内


「たまもの in 川越 モネから草間彌生まで
埼玉県立近代美術館の逸品大集合!」
会期:2015年1月24日[土]~3月15日[日]
会場:川越市立美術館
〒350-0053 川越市郭町2-30-1
Tel. 049-228-8080
時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
月曜休館
主催:川越市立美術館、埼玉県立近代美術館
出品作家:靉嘔/秋岡美帆/荒川修作/アルマン/アンリ・ド・トゥルーズ=ロートレック/池田満寿夫/上田薫/オーギュスト・ルノワール/瑛九/カミーユ・ピサロ/岸田劉生/キスリング/金昌烈/木村直道/熊谷守一/倉田弟次郎/倉田白羊/クリスティアン・シャートシャードグラフィー/クロード・モネ/草間彌生/古賀春江/駒井哲郎/佐伯祐三/斉藤義重/斎藤豊作/斉藤与里/ジム・ダイン/ジャン・アルプ/ジョージ・シーガル/ジョルジュ・ルオー/白髪一雄/杉浦邦恵/須田剋太/関根伸夫/立石大河亜(タイガー立石)/建畠覚造/田中保/寺内萬治郎/堂本尚郎/中西夏之/中林忠良/野田哲也/パウル・クレー/長谷川潔/パブロ・ピカソ/浜口陽三/ヘスス・ラファエル・ソト/ヘンリー・ムーア/ポール・ゴーギャン/ポール・デルヴォー/細江英公/マルク・シャガール/マルセル・デュシャン/マン・レイ/モーリス・ドニ/モーリス・ユトリロ/元永定正/森田恒友/森村泰昌/山本容子/ラスロ・モホリ=ナジ/李禹煥/ルフィーノ・タマヨ/レオナール・フジタ/ロイ・リキテンスタイン
埼玉県立近代美術館の3200点を超えるコレクションから、65人の作家による約100点の豪華な作品群が川越の地にやってきます。西洋絵画ではモネから、ルノワール、ピカソ、シャガール、デルヴォーなど、また日本の近代洋画では、岸田劉生(きしだりゅうせい)をはじめ、古賀春江(こがはるえ)、佐伯祐三(さえきゆうぞう)など、そして現代美術に至っては、草間彌生(くさまやよい)、白髪一雄(しらがかずお)、李 禹煥(りうふぁん)らの錚々たる作家の作品が並びます。また、斎藤与里(さいとうより)、森田恒友(もりたつねとも)、田中 保(たなかやすし)、瑛九(えいきゅう)ら、日本の近代美術史を牽引してきた埼玉ゆかりの作家作品や、デュシャンやシーガルなどの海外の優れた現代美術が展示されます。
これらの作品群は、縁が重なって授かった賜り物としての「たまもの」であり、先の世代の人々が優れた芸術を後世に伝えようした努力の「たまもの」です。これらは埼玉県民の共有財産といえるものです。
本展は、2013年に埼玉県立近代美術館で開催された「たまもの」展にちなみ「川越版たまもの」展として、コレクションの中でも極めて質の高い国内外の作品を並べた、今までになく豪華な展覧会です。またとないこの機会に、作品への想いを馳せながら鑑賞していただければ幸いです。(同展HPより転載)
*画廊亭主敬白
2015年の新連載企画「美術館に瑛九を観に行く」をスタートさせます。
<日本各地の美術館を訪ね、企画展や常設展に展示されている瑛九を観る>第一回の筆者・中村茉貴さんは若い研究者で大の瑛九ファンです。
中村茉貴さんはじめ研究者やライターによる複数の執筆者のリレー連載となります(更新は随時)。どうぞご期待ください。
瑛九を所蔵している美術館は東京国立近代美術館など30は優に超えるでしょう、毎年のように瑛九関連の展覧会も開催されています。しかし、日本の近現代美術史の中で瑛九の位置づけがきちんとなされているかというと、まだまだのような気がします。
この連載が瑛九顕彰の一助となり、瑛九ファンが増えることを祈っています。
今回のレポートに掲載した瑛九の作品画像については川越市立美術館のご許可をいただいています。記して謝意を表します。
●今日のお勧め作品は瑛九です。
瑛九
「風景」
板に油彩
23.7x33.0cm(F4)
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆瑛九を中心に福井県立美術館で開催された『福井の小コレクター運動とアートフル勝山の歩み―中上光雄・陽子コレクションによる―』の図録はときの忘れものが編集を担当しました。
福井の同展はじめ、勝山、金沢をめぐる「現代美術と磯崎建築~北陸の冬を楽しむツアー」を1月24日~25日に開催し、各地から15名が参加されました。参加された皆さんの体験記をお読みください。
石原輝雄さんの体験記
浜田宏司さんの体験記
酒井実通男さんの体験記
◆福井県勝山の磯崎新設計「中上邸イソザキホール」については亭主の回想「台所なんか要りませんから」をお読みください。
◆ジョサイア・コンドルの設計、国の名勝に指定されている旧古河庭園・大谷美術館で「石山修武銅版画展 窓の内、窓の外」が2月25日~3月1日開催されます。
展示される石山修武の新作銅版画作品はときの忘れもののエディションです。
石山修武
5. 《GAYAの記憶 3》
2014年 銅版
15.0x15.0cm
シートサイズ28.0x25.3cm
Ed.7 Signed
石山修武
6. 《満覚路上山庄計画》
2014年 銅版
15.0x15.0cm
シートサイズ28.0x25.3cm
Ed.7 Signed
石山修武
7. 《GAYAの記憶 4》
2014年 銅版
15.0x15.0cm
シートサイズ28.0x25.3cm
Ed.7 Signed
石山修武
8. 《GAYAのトルネード》
2014年 銅版
15.0x15.0cm
シートサイズ28.0x25.3cm
Ed.7 Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
「たまもの in 川越 モネから草間彌生まで
埼玉県立近代美術館の逸品大集合!」
川越市立美術館外観
展示室入口本展は、埼玉県立近代美術館が所蔵する作品からなる展覧会である。同館が改修工事に伴い休館中のため、川越を舞台にクロード・モネ《積わら》をはじめとする美術館の主役級ばかりが顔を合わせることになったようだ。いわば名画の「興業」というべきだろうか。
川越藩の門戸をたたいた一番手は「瑛九」。展示会場を入ってすぐのところに華々しく油彩2点が並んでいた。作品の総点数は104点。そのうち瑛九の作品は、1章に4点、3章に2点の計6点が展示されていた。改めて瑛九の多彩な表現に気付かされたばかりでなく、美術館が瑛九を埼玉ゆかりの作家として重点を置いていることがうかがい知れる。
瑛九は1951(昭和26)年に埼玉県さいたま市仲町(旧浦和市)へ妻の都(みやこ)と共に移住した。エスペランチストの仲間の紹介で暗室付きの借家に住む。翌年には同市本太にアトリエ付きの一軒家を持つ。瑛九のアトリエは、靉嘔や池田満寿夫(両者本展に作品展示中)など若い作家が集う「サロン」として親しまれた。
いつも故郷の宮崎を想っていた瑛九。埼玉に越してきた瑛九は、どのような様子で過ごしていたのか。瑛九は1955(昭和30)年「日向日日新聞」(現宮崎日日新聞)に次のような文章を記している。
瑛九「緑にかこまれて」挿絵僕のいる所は浦和駅から徒歩十五分ぐらいな所ですが、浦和市の中心街の裏側になるような所ですから緑にかこまれています。浦和の写真があいにく手元にないものですから僕の家をスケッチしましたので入れておきます。
このスケッチにみえる手前の方は僕の家から北になるのですがごらんのとおり畑です。南の方は隣家の庭になっていて、緑にかこまれているといっても良いでしょう。僕の家の庭にも大きなクヌギが何本も茂ってました。あまり森のようなので一本だけのこしてあとはきりたおしてしまったのでしたが、隣家の庭にクヌギが七、八本植っているので田園趣味はくずれません。僕がこしてきた時はスケッチの家は屋根がカヤぶきだったのです。一昨年スレートかわらになおしました。こうかいてくるとおよそ僕のいる所のふんいきはいくらかわかってもらえるでしょう。
上野まで浦和から三十分しかかからないので、東京には毎月四、五回はきまって出るのですが、たいてい絵を見るか友人に会うかしてはさっさと帰ってくるので、そしてそれはいつもわかりきった調子で終わるので、僕は僕の田園気分の中にいるようです。
(瑛九「緑にかこまれて」日向日日新聞、1955年9月3日)
上記のように瑛九は宮崎にいる兄妹や友人に嬉々として自分の近況を伝えています。緑の茂った静かな場所と東京の展覧会へすぐに行ける環境を手に入れ、埼玉の暮らしを気に入っていたようである。
さて、本展の展示構成および瑛九の出品作品は以下のとおりである。
1章 現在(いま)へと続く現代美術
2章 近代の名品たち
3章 モノクロームから現代へ
左《雲》、右《青の中の黄色い丸》《雲》1959年、油彩・キャンバス、162.2×130.3㎝
《青の中の黄色い丸》1957-58年、油彩・キャンバス、116.5×80㎝
上《オペラグラス》、下《風が吹きはじめる》《オペラグラス》1953年、エッチング・紙、23.5×18.1㎝
《風が吹きはじめる》1957年、リトグラフ・紙、39.8×53.5㎝
左《希望》、右《リズム》《希望》1951年、ゼラチン・シルバー・プリント、54.5×42.3㎝
《リズム》1951年、ゼラチン・シルバー・プリント、53.5×41.5㎝
案内チラシには展覧会について、以下のような記載があった。
これらの作品群は、縁が重なって授かった賜り物としての「たまもの」であり、先の世代の人々が優れた芸術を後世に伝えようした努力の「たまもの」です。これらは埼玉県民の共有財産といえるものです。(本展チラシ裏面より引用)
どうやら記憶に新しい2013年4月4日から約1ヶ月間開かれた大コレクション展「たまもの」とは少し意味合いが異なるようだ。「たまもの」というと、特別個人に賜ったような私的な語感を含むが、川越の地で「共有財産」として御披露目し、意識の枠を広げることでより多くの人たちの中で「たまもの」が輝きを増すことになるであろう。「たまもの」の輝きの連鎖を絶えずつなげてゆくことが大事である。展覧会を通じて企画者のあたたかな気持ちが伝わってきた。
***
ちょっと寄道....
「道灌まんじゅう」美術館のとなりにある和菓子屋。発泡スチロール製の巨大な兎が店先に鎮座していた。同市在住ヤジマキミオ作。
蕎麦屋「百丈」。壁面が銅板の国登録有形文化財。市役所前の交差点に位置する。3階はギャラリーとして開放している。
銘菓「龜屋」。天明3年創業。川越の街並みを象徴する蔵づくり。
「CAFE ELEVATO」。ショーウィンドウに川越の地ビール「COEDO」が並ぶ。紅赤・伽羅・瑠璃・漆黒・白の5種がある。
御囃子に誘われて川越熊野神社へ。獅子舞に頭をかじってもらえた。(なかむら まき)
●展覧会のご案内


「たまもの in 川越 モネから草間彌生まで
埼玉県立近代美術館の逸品大集合!」
会期:2015年1月24日[土]~3月15日[日]
会場:川越市立美術館
〒350-0053 川越市郭町2-30-1
Tel. 049-228-8080
時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
月曜休館
主催:川越市立美術館、埼玉県立近代美術館
出品作家:靉嘔/秋岡美帆/荒川修作/アルマン/アンリ・ド・トゥルーズ=ロートレック/池田満寿夫/上田薫/オーギュスト・ルノワール/瑛九/カミーユ・ピサロ/岸田劉生/キスリング/金昌烈/木村直道/熊谷守一/倉田弟次郎/倉田白羊/クリスティアン・シャートシャードグラフィー/クロード・モネ/草間彌生/古賀春江/駒井哲郎/佐伯祐三/斉藤義重/斎藤豊作/斉藤与里/ジム・ダイン/ジャン・アルプ/ジョージ・シーガル/ジョルジュ・ルオー/白髪一雄/杉浦邦恵/須田剋太/関根伸夫/立石大河亜(タイガー立石)/建畠覚造/田中保/寺内萬治郎/堂本尚郎/中西夏之/中林忠良/野田哲也/パウル・クレー/長谷川潔/パブロ・ピカソ/浜口陽三/ヘスス・ラファエル・ソト/ヘンリー・ムーア/ポール・ゴーギャン/ポール・デルヴォー/細江英公/マルク・シャガール/マルセル・デュシャン/マン・レイ/モーリス・ドニ/モーリス・ユトリロ/元永定正/森田恒友/森村泰昌/山本容子/ラスロ・モホリ=ナジ/李禹煥/ルフィーノ・タマヨ/レオナール・フジタ/ロイ・リキテンスタイン
埼玉県立近代美術館の3200点を超えるコレクションから、65人の作家による約100点の豪華な作品群が川越の地にやってきます。西洋絵画ではモネから、ルノワール、ピカソ、シャガール、デルヴォーなど、また日本の近代洋画では、岸田劉生(きしだりゅうせい)をはじめ、古賀春江(こがはるえ)、佐伯祐三(さえきゆうぞう)など、そして現代美術に至っては、草間彌生(くさまやよい)、白髪一雄(しらがかずお)、李 禹煥(りうふぁん)らの錚々たる作家の作品が並びます。また、斎藤与里(さいとうより)、森田恒友(もりたつねとも)、田中 保(たなかやすし)、瑛九(えいきゅう)ら、日本の近代美術史を牽引してきた埼玉ゆかりの作家作品や、デュシャンやシーガルなどの海外の優れた現代美術が展示されます。
これらの作品群は、縁が重なって授かった賜り物としての「たまもの」であり、先の世代の人々が優れた芸術を後世に伝えようした努力の「たまもの」です。これらは埼玉県民の共有財産といえるものです。
本展は、2013年に埼玉県立近代美術館で開催された「たまもの」展にちなみ「川越版たまもの」展として、コレクションの中でも極めて質の高い国内外の作品を並べた、今までになく豪華な展覧会です。またとないこの機会に、作品への想いを馳せながら鑑賞していただければ幸いです。(同展HPより転載)
*画廊亭主敬白
2015年の新連載企画「美術館に瑛九を観に行く」をスタートさせます。
<日本各地の美術館を訪ね、企画展や常設展に展示されている瑛九を観る>第一回の筆者・中村茉貴さんは若い研究者で大の瑛九ファンです。
中村茉貴さんはじめ研究者やライターによる複数の執筆者のリレー連載となります(更新は随時)。どうぞご期待ください。
瑛九を所蔵している美術館は東京国立近代美術館など30は優に超えるでしょう、毎年のように瑛九関連の展覧会も開催されています。しかし、日本の近現代美術史の中で瑛九の位置づけがきちんとなされているかというと、まだまだのような気がします。
この連載が瑛九顕彰の一助となり、瑛九ファンが増えることを祈っています。
今回のレポートに掲載した瑛九の作品画像については川越市立美術館のご許可をいただいています。記して謝意を表します。
●今日のお勧め作品は瑛九です。
瑛九「風景」
板に油彩
23.7x33.0cm(F4)
サインあり
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆瑛九を中心に福井県立美術館で開催された『福井の小コレクター運動とアートフル勝山の歩み―中上光雄・陽子コレクションによる―』の図録はときの忘れものが編集を担当しました。
福井の同展はじめ、勝山、金沢をめぐる「現代美術と磯崎建築~北陸の冬を楽しむツアー」を1月24日~25日に開催し、各地から15名が参加されました。参加された皆さんの体験記をお読みください。
石原輝雄さんの体験記
浜田宏司さんの体験記
酒井実通男さんの体験記
◆福井県勝山の磯崎新設計「中上邸イソザキホール」については亭主の回想「台所なんか要りませんから」をお読みください。
◆ジョサイア・コンドルの設計、国の名勝に指定されている旧古河庭園・大谷美術館で「石山修武銅版画展 窓の内、窓の外」が2月25日~3月1日開催されます。
展示される石山修武の新作銅版画作品はときの忘れもののエディションです。
石山修武5. 《GAYAの記憶 3》
2014年 銅版
15.0x15.0cm
シートサイズ28.0x25.3cm
Ed.7 Signed
石山修武6. 《満覚路上山庄計画》
2014年 銅版
15.0x15.0cm
シートサイズ28.0x25.3cm
Ed.7 Signed
石山修武7. 《GAYAの記憶 4》
2014年 銅版
15.0x15.0cm
シートサイズ28.0x25.3cm
Ed.7 Signed
石山修武8. 《GAYAのトルネード》
2014年 銅版
15.0x15.0cm
シートサイズ28.0x25.3cm
Ed.7 Signed
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