加地邸をひらく 2015 春
Architecture of Arata ENDO


建築家の遠藤新のお孫さん・遠藤現さんから、葉山にある「加地邸」が期間限定で開放されるというご案内をいただき、先日、植田実先生と綿貫さんと「加地邸をひらく」に参加してまいりました。
「加地邸」は、1928年に遠藤新によって設計された「加地本邸」(東京・白金)の別邸だそうです。
公開は今日と、明日5月17日(日)が最終日となりますので、ご興味のある方は是非お出かけください。
※予約不要

加地邸をひらく
公開日:5月16日(土)、17日(日)
時間:13時~16時
会場:加地邸(神奈川県三浦郡葉山町一色)
入場料:1,000円(学生500円)


1504kurashi_om

1504kurashi_uraK

CIMG6451加地邸を下の小道から見上げる小道から、木々に覆われる加地邸が見えてきました。

CIMG6454門から玄関までは一直線のアプローチです。

10_R0020384玄関前で、左・綿貫と右・植田実先生

5_R0020362大谷石で飾られたピロティー。石積みの石が所々出ていてデザインされています。

6_R0020365ようやくたどり着いた玄関。

ここから先は撮影禁止のため、目に焼き付けます。

平面図11階平面図


加地邸2階平面図2階平面図



1階の西側には、テラス、食堂、台所、女中室があり、入り口が廊下に対して1つ、隣接している部屋に対して1つずつあるため(1つの部屋に入り口が2~3つある)隣の部屋へと流れるような動線になっています。
階段を上ると、居間の吹き抜け部分にある中2階があり、2階には書斎、夫婦の寝室、浴室、夫人室があります。

建物の中心には吹き抜けの居間があり、東と西に中2階(ギャラリー)があります。そこからは、居間の様子を眺めることができ、居間にいる人たちと会話もできるのです。
居間の南側にあるサンルーフは、直射日光をさえぎり、居間はほのかに明かるく涼しげです。
南東側には庭に突き出たサンルーム、北側には床レベルが高い球突室があり、東側には床レベルの違う3つの寝室へと繋がります。
隣の部屋へと導かれるような動線は実に見事です。
そして、照明や家具、暖炉などのディテールも美しく設計されているので必見です。

加地邸_南側立面図南側立面図


加地邸は、私のめちゃくちゃタイプのプランニングでした。
私は家の中に床のレベル差がたくさんある家に憧れており、この「加地邸」はとにかく家の中にレベル差がたくさんあり、空間の広さや天井の高さにメリハリがあって、楽しくて仕方ありませんでした。
この建築の素晴らしさは言葉では伝えきれないので、是非是非見に行くことをお勧めします。

CIMG6468加地邸前庭にて植田、尾立最後に、お庭から加地邸を眺めながらコーヒーをいただきました。

8_R0020375左側は1階のテラス、中央2階は展望台、右側1階の屋根はサンルーフです。

R0020371

9_R0020376サンルームの外観。

おだちれいこ
~~~~~~~~~~
詳しくは住宅遺産トラストのホームページをご覧ください。

このたび、神奈川県葉山町の「加地邸」(遠藤新設計/1928年竣工)を会場として、展覧会「加地邸をひらく-継承をめざして」を開催することになりました。
葉山の高台に建つ加地邸は、F.L.ライトの高弟である遠藤新が、建築、照明器具から家具に至るまで総合的に手掛けた極めて重要な住宅建築であり、隅々にまで意匠の凝らされた興味深い作品です。これまで、所有者の意向により、一切公開されてきませんでしたが、今秋に初めて、世代交代への準備として、本邸を公開することになりました。
この貴重な別荘建築が、地域において幸せに引き継がれていくことをめざし、本展覧会で、その第一歩を踏み出したいと思います。

藤森照信 代表
~~~~~~~~~~~

*画廊亭主敬白
今日から始まる瑛九展の準備で慌しい日々を縫って葉山の加地邸に行ってきました。
瑛九といえば私たちの恩師久保貞次郎先生。久保先生はフランク.L.ライトを敬愛していました。
そのこともあって弟子である遠藤新に三つも建築設計を依頼しています。
●1935年(昭和10年) 
東京牛込の自邸(久保貞次郎邸)
●1938年(昭和13年) 
栃木県真岡市に現存(移築)する真岡尋常小学校講堂(久保講堂 国登録有形文化財)
●1942年(昭和17年)
久保ギャラリー(栃木県真岡)

真岡の広大なお屋敷の一角にあった久保ギャラリーには遠藤新が得意とした暖炉があり、私たちはそこで目もくらむような名画の数々に触れたのでした。
(久保先生はストーブのコレクションでも有名で、暖炉の前にたくさんのストーブが並んだ写真がどこかにあったはず)
先日の加地邸の訪問は、40年前の久保邸でのあれこれを思い出す懐かしいひとときでした。