今日の夕方は久々に妻と二人でときの忘れものに。現在開催中なのは建築家のドローイング展。フランク・ロイド・ライトやル・コルビュジエから、安藤忠雄や磯崎新などの日本勢、そして光嶋裕介などの気鋭の若手まで、さまざまな建築家の作品が並ぶ。
建築「家」のドローイング展なので、建築をテーマにした作品ももちろんあるのだが、抽象画も交じっていてバラエティに富んだ内容となっている。一番印象に残ったのはフランク・ロイド・ライトの作品。何というか、今少女漫画の一コマに出てきてもまったく違和感のないような柔らかなモダンさを持っている。
分かる人が見れば建築家ならではの空間の把握力などを読み取ることが出来るんだろうけれど、僕にはそこまでの眼力は無いのがちょっと悔しくもある。

林光一郎さんのブログより)>

先週土曜日まで開催していた「建築家のドローイング展」はおかげ様で盛況のうちに終了しました。
初めての方や、学生さんがいつになく多かった展覧会でした。特に目立ったのは若い女性たち、最後のお客さまも若い女性で光嶋裕介さんの「幻想都市風景」を長い時間、じっとご覧になっていました。
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皆さん、ライトやル・コルビュジエの価格を見て(ゼロの数を何度も確認して)「えっ、こんなに高いんですか」と一様に驚きの声!
「いや、これでも欧米の市場からみると安いんですよ」と亭主。
まだまだ日本では難しいなあとため息をついていたのですが、最終日フランスの画廊から「送金は円じゃあなくてUSドルでいいか」とのオファー、あっさり高額商品が売約となりました。予想外の売上げに社長ゴキゲン

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業界きっての老舗画廊主の夫人で茨城県の教育委員も務めるHさんが「妊娠初期にもっと(障害の有無が)わかるようにできないんでしょうか。4カ月以降になるとおろせないですから」「茨城では減らしていける方向になったらいい」という発言をされ、大騒ぎになっているらしい。
悲しい。
私たちが恩師や先輩画商さんたちから教えられたのは、優れた美術作品は常に(いつの世も)少数者のものであった、ということでした。
いや優れていようとなかろうとこの世に生まれるものはひとしく存在する意味がある。
健康で無害な絵ばかりあふれたら人間は窒息してしまう。大画商の奥様(ご本人も副社長を務めている)ならそんなことわかってらっしゃるはず、なのに・・・・
世の中にはいろいろなものがあっていい、「退廃芸術」が排除されるような時代にはなって欲しくない。
森下泰輔さんのエッセイ「戦後・現代美術事件簿」を多くの人たちに読んでいただきたいですね。

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先週、某オークションにオノサト・トシノブの30号の油彩が出品された。「べた丸」の次の時代(1960~1968年のいわゆる丸の分割の時代)のもので志水楠男さんの南画廊のシールがついている。
1977年10月21日 (66)
オノサト・トシノブ先生(左)と高森俊さん
1977年10月21日
東京渋谷・ヤマハエピキュラスにて
*高森さんは創美会員でオノサト先生を支えた版画の版元グループのメンバー

ここ数年、市場では「べた丸」が高騰する一方、その後の時代のものは情けないほど低い評価。亭主が15年ぶりにオノサト・トシノブ展を開くにあたり「不運なオノサト、強運の瑛九」と嘆いたのはつい四ヶ月前のことでした。
オノサト先生を敬愛してやまない亭主は、黙って見過ごすわけには行きません。オークション会社に電話をかけました。
亭主「コンディションはどうかしら」
某社スタッフ「非常に悪いです」
亭主「具体的には?」
某社スタッフ「一箇所、二箇所じゃなく、全面的に深いキズがあります。高解像度の画像を送りますので確認してください」
てなやりとりがあり、修復の専門家と大番頭オダチに下見に行ってもらいました。二人とも所見は同じ「キズはひどいが、絵はいい」でした。

エスティメートは400万円~600万円。

間の悪いことに先日、恩地孝四郎の名品を内緒で買ったのがばれて社長はオカンムリ、おそるおそるお伺いをたてました。
亭主「落札したいんだけど・・・・」
社長「あなた何考えてるの、もう年末よ、みんなのボーナスもあるし、請求書は山ほど来るし、どこにそんなお金があるというの(怒)」
亭主「ほかで稼ぐから、何とかお願いします(涙声)」
冷戦二日の後、仕方なく折れた社長の許可が出て、大番頭オダチに出張ってもらいました。
今までの相場からいえば、「べた丸」より数段安いはず、キズもあることだし、まあエスティメートの上限を超えることはあるまい。
オークション当日、待てど暮らせど連絡がない。3時間ほど経ってようやく会場から電話がありました。
「落とせませんでした、どんどん競り上がり1,050万円まで行っちゃいました」

どうやら潮目が変わってきたらしい。
長年、オノサトの市場価格の低迷をぼやいていた亭主としては喜ぶべきか、はたまた今後のことを考えると(そう簡単には買えなくなる)悲しむべきか。
出金予定が無くなった社長だけはゴキゲンであります。