<近美の恩地孝四郎展には最終日の前日に行きました。
気がつくと2時間以上たち、
あと何部屋あるかと係の方に尋ねると「お客様のいる部屋がちょうど半分です」と言われました。
泣く泣く駆け足で観ましたが、どうも駆け足のふりで去らないお客様が多く、
それにまぎれて後半も粘ってまいりました。
静謐さと大胆さ、版の制約をものともしない自由自在で豊かな力強い表現は日本の版画界の宝ですね。
貴廊の恩地展とともに拝見できたのが嬉しい限りでした。
(Nさんからのメールより)>
一ヵ月半(短い!)にわたる東京国立近代美術館での恩地孝四郎展がついに終わってしまいました。
あれだけの大作群を亭主の生きているうちに見られることはもうあるまい、と思うとさびしさがこみ上げてきます。
ああそうだ、和歌山がある。
「恩地孝四郎展 抒情とモダン」
会期:2016年4月29日(金)-6月12日(日)
会場:和歌山県立近代美術館
遠いけれど行かなければ後悔するに決まっている。久しぶりに紀州の温泉に入りがてら和歌山に行きましょう。
それにしても、せめて余生のうちに一点でもいいからあの中の作品を画商として扱いたい(買いたい、そして売りたい)。
その夢がかなうでしょうか。
----------------------------
さて最近、展覧会や映画、評伝、画集の刊行など藤田嗣治が注目を浴びています。
戦争中の作品が非難の的となり、戦後逃げるようにフランスに渡った藤田の複雑な胸中をおしはかってのことでしょうか、藤田没後の著作権を継承した君代夫人は硬い姿勢を崩さず、「日本近代洋画シリーズ」「近代日本画家作品集」などの、他の画家達と並ぶ形での画集収録には断固として拒否してきました。
夫人が亡くなり、ようやく藤田の仕事の評価が多方面からなされるようになったことは作家のためにも良かったのではないでしょうか。
フランスに帰化し、レオナール・フジタ(Leonard Foujita)として1968年(昭和43年)1月に死去した際に、夫人を助け葬式一切を取り仕切ったのが海老原喜之助でした。
海老原は鹿児島出身の洋画家で、大正末期から昭和にかけてフランスと日本で活躍。藤田を師と仰ぎ、作風は異なるものの、「エビハラ・ブルー」と呼ばれた鮮やかな青の色彩を多用し、馬をモチーフにした作品を数多く制作しました。藤田の死の二年後の1970年9月、パリで客死、66歳でした。
なので、亭主は海老原に会ったことはありませんが、熊本におられた未亡人に法事に配るための銅版の後刷りを依頼されたことがあります。
私たちが師事した久保貞次郎先生が海老原を高く評価し、油彩や水彩、版画など多数コレクションされていたので、亭主も海老原ファンになりました。
昨春には横須賀美術館で「生誕110年 海老原喜之助展」が開催されましたが、あのチラシの『曲馬』が久保先生旧蔵の作品です。
海老原は1950年代にリトグラフ(石版画)を女屋勘左衛門さんの刷りで10数点を制作しています。
ときの忘れもののコレクションから10点ほどご紹介します。
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《祭り》
1954年
リトグラフ
イメージサイズ:53.9×36.0cm
シートサイズ:64.1×45.3cm
E.P.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《春眠》
1959年
リトグラフ
イメージサイズ:55.3×40.7cm
シートサイズ:64.3×45.2cm
E.P.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《記念碑的像》
1956年
リトグラフ
イメージサイズ:52.0×38.8cm
シートサイズ:64.0×45.3cm
Ed.50
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《本を焼く人》
1956年
リトグラフ
イメージサイズ:56.0×40.6cm
シートサイズ:64.0×45.2cm
Ed.50
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《娘と親》
リトグラフ
イメージサイズ:55.0×41.4cm
シートサイズ:64.0×45.4cm
Ed.50
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《籠をあむ》
1959年
リトグラフ
イメージサイズ:55.4×42.0cm
シートサイズ:65.7×50.7cm
E.P.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《樵》
リトグラフ
イメージサイズ:53.3×40.0cm
シートサイズ:64.0×45.6cm
Ed.50.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《群馬出動》
1961年
リトグラフ
イメージサイズ:56.7×41.6cm
シートサイズ:64.0×48.7cm
Ed.50.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《鰻》
1957年
リトグラフ
イメージサイズ:57.0×43.0cm
シートサイズ:65.7×50.5cm
Ed.50.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA
《火を運ぶ》
1956年
リトグラフ
イメージサイズ:56.0×40.3cm
シートサイズ:63.5×45.5cm
Ed.50.
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
日本とフランスで活躍、生前は多くのファンに囲まれ評価も高かった海老原ですが、時の流れは残酷で、いまの若い世代で海老原を知り、また評価する(コレクションする)人は少ない。
リバイバルして欲しい作家のひとりです。
◆「アートブックラウンジ Vol.01“版画挿入本の世界”」
会期:2016年3月9日[水]~3月17日[木] ※日・月・祝日は休廊

今回より日・月・祝日は休廊しますので、実質7日間の会期です。
短い会期ですが、ご来廊のうえ実物(版画挿入本)を手にとってご覧ください。
同時開催:文承根展
●ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内
第1回「独奏チェロによるJ.S.バッハと現代の音楽~ガット(羊腸)弦の音色で~」
日時:2016年3月19日(土)18時~19時
出演:富田牧子(チェロ)、木田いずみ(歌)
プロデュース:大野幸
曲目予定:J.S.バッハ、クルターク・ジェルジュ、ジョン・ケージ、尾高惇忠
*要予約=料金:1,000円
予約:メールにてお申し込みください。
info@tokinowasuremono.com
●ときの忘れものは2016年3月より日曜、月曜、祝日は休廊します。
従来企画展開催中は無休で営業していましたが、今後は企画展を開催中でも、日曜、月曜、祝日は休廊します。
気がつくと2時間以上たち、
あと何部屋あるかと係の方に尋ねると「お客様のいる部屋がちょうど半分です」と言われました。
泣く泣く駆け足で観ましたが、どうも駆け足のふりで去らないお客様が多く、
それにまぎれて後半も粘ってまいりました。
静謐さと大胆さ、版の制約をものともしない自由自在で豊かな力強い表現は日本の版画界の宝ですね。
貴廊の恩地展とともに拝見できたのが嬉しい限りでした。
(Nさんからのメールより)>
一ヵ月半(短い!)にわたる東京国立近代美術館での恩地孝四郎展がついに終わってしまいました。
あれだけの大作群を亭主の生きているうちに見られることはもうあるまい、と思うとさびしさがこみ上げてきます。
ああそうだ、和歌山がある。
「恩地孝四郎展 抒情とモダン」
会期:2016年4月29日(金)-6月12日(日)
会場:和歌山県立近代美術館
遠いけれど行かなければ後悔するに決まっている。久しぶりに紀州の温泉に入りがてら和歌山に行きましょう。
それにしても、せめて余生のうちに一点でもいいからあの中の作品を画商として扱いたい(買いたい、そして売りたい)。
その夢がかなうでしょうか。
----------------------------
さて最近、展覧会や映画、評伝、画集の刊行など藤田嗣治が注目を浴びています。
戦争中の作品が非難の的となり、戦後逃げるようにフランスに渡った藤田の複雑な胸中をおしはかってのことでしょうか、藤田没後の著作権を継承した君代夫人は硬い姿勢を崩さず、「日本近代洋画シリーズ」「近代日本画家作品集」などの、他の画家達と並ぶ形での画集収録には断固として拒否してきました。
夫人が亡くなり、ようやく藤田の仕事の評価が多方面からなされるようになったことは作家のためにも良かったのではないでしょうか。
フランスに帰化し、レオナール・フジタ(Leonard Foujita)として1968年(昭和43年)1月に死去した際に、夫人を助け葬式一切を取り仕切ったのが海老原喜之助でした。
海老原は鹿児島出身の洋画家で、大正末期から昭和にかけてフランスと日本で活躍。藤田を師と仰ぎ、作風は異なるものの、「エビハラ・ブルー」と呼ばれた鮮やかな青の色彩を多用し、馬をモチーフにした作品を数多く制作しました。藤田の死の二年後の1970年9月、パリで客死、66歳でした。
なので、亭主は海老原に会ったことはありませんが、熊本におられた未亡人に法事に配るための銅版の後刷りを依頼されたことがあります。
私たちが師事した久保貞次郎先生が海老原を高く評価し、油彩や水彩、版画など多数コレクションされていたので、亭主も海老原ファンになりました。
昨春には横須賀美術館で「生誕110年 海老原喜之助展」が開催されましたが、あのチラシの『曲馬』が久保先生旧蔵の作品です。
海老原は1950年代にリトグラフ(石版画)を女屋勘左衛門さんの刷りで10数点を制作しています。
ときの忘れもののコレクションから10点ほどご紹介します。
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《祭り》
1954年
リトグラフ
イメージサイズ:53.9×36.0cm
シートサイズ:64.1×45.3cm
E.P.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《春眠》
1959年
リトグラフ
イメージサイズ:55.3×40.7cm
シートサイズ:64.3×45.2cm
E.P.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《記念碑的像》
1956年
リトグラフ
イメージサイズ:52.0×38.8cm
シートサイズ:64.0×45.3cm
Ed.50
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《本を焼く人》
1956年
リトグラフ
イメージサイズ:56.0×40.6cm
シートサイズ:64.0×45.2cm
Ed.50
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《娘と親》
リトグラフ
イメージサイズ:55.0×41.4cm
シートサイズ:64.0×45.4cm
Ed.50
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《籠をあむ》
1959年
リトグラフ
イメージサイズ:55.4×42.0cm
シートサイズ:65.7×50.7cm
E.P.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《樵》
リトグラフ
イメージサイズ:53.3×40.0cm
シートサイズ:64.0×45.6cm
Ed.50.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《群馬出動》
1961年
リトグラフ
イメージサイズ:56.7×41.6cm
シートサイズ:64.0×48.7cm
Ed.50.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《鰻》
1957年
リトグラフ
イメージサイズ:57.0×43.0cm
シートサイズ:65.7×50.5cm
Ed.50.
サインあり
海老原喜之助 Kinosuke EBIHARA《火を運ぶ》
1956年
リトグラフ
イメージサイズ:56.0×40.3cm
シートサイズ:63.5×45.5cm
Ed.50.
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
日本とフランスで活躍、生前は多くのファンに囲まれ評価も高かった海老原ですが、時の流れは残酷で、いまの若い世代で海老原を知り、また評価する(コレクションする)人は少ない。
リバイバルして欲しい作家のひとりです。
◆「アートブックラウンジ Vol.01“版画挿入本の世界”」
会期:2016年3月9日[水]~3月17日[木] ※日・月・祝日は休廊

今回より日・月・祝日は休廊しますので、実質7日間の会期です。
短い会期ですが、ご来廊のうえ実物(版画挿入本)を手にとってご覧ください。
同時開催:文承根展
●ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内
第1回「独奏チェロによるJ.S.バッハと現代の音楽~ガット(羊腸)弦の音色で~」
日時:2016年3月19日(土)18時~19時
出演:富田牧子(チェロ)、木田いずみ(歌)
プロデュース:大野幸
曲目予定:J.S.バッハ、クルターク・ジェルジュ、ジョン・ケージ、尾高惇忠
*要予約=料金:1,000円
予約:メールにてお申し込みください。
info@tokinowasuremono.com
●ときの忘れものは2016年3月より日曜、月曜、祝日は休廊します。
従来企画展開催中は無休で営業していましたが、今後は企画展を開催中でも、日曜、月曜、祝日は休廊します。
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