野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第27回
「5度目のKIAFに向けて、他」
今年もときの忘れものさんのブースより、ソウルでのアートフェア KIAF2016に出展させて頂きます、今回で私は5度目のKIAFとなります。
KIAFの会期は一般公開が10月13日~なので、このエッセイが掲載される15日にはすでにソウルにいて、フェアも終盤戦かと思います。
今年の出展作品には最新作はありませんが、大作含め近作ばかり4点を出展させて頂きます。
野口琢郎
「Wish -Sound of the sky-」
185×102cm
2016年作
野口琢郎
「I wish」
53×45.5cm (F10号)
2016年作
野口琢郎
「Remembrance#B」
53×40.9cm (P10号)
2016年作
野口琢郎
「Remembrance#C」
52×50cm
2016年作
「Wish -Sound of the sky-」は長いタイトルですが、空に舞う金の粒が「願い」であり、その願いの粒が、音楽が世界に響き渡るように空へ広がっていき、その光で海も輝いている、そういう風景を描いた作品です。
今年もソウルの方々の心に何かインパクトを残せればよいのですが、がんばります。
来月にでもまたレポートを書こうと思います。
ちなみに、最近作品制作の方が行き詰まり気味です。
行き詰まるなんて毎度の事で慣れているのですが、今度のは十年に一度の大きな台風のような感じでしょうか。
多分少し作り疲れもあるのかと思いますが、今まで自分が制作した作品に対して何か大きな物足りなさを感じていて、この数年はそれに気が付きながらも何とか捻り出して少しでも新しいものを作る事はできていたものの、ついに少し足を止めて考える時が来たようです。
何が足りないのか、色々あるのかと思うのですが、ではどうすれば納得できるのか、どんなものを作りたいのか、何とか今までの自分の作品に無かった真新しいものができないのかと、、その辺で日々もがいております。
ま、こうやって言葉にすると、モノ作りには当たり前にある葛藤ですね。
漆や金箔など材料費が高くつく為、とにかく手が動くままに作りまくる、という事は普段しないです。
スケッチブックに描きながら頭の中でイメージをある程度固めてから本番の箔の作業に入るのですが、こんな時は普段と違うやり方を試すのも大事なのかとは思います。
そして結局は今までの作品の延長線であっても、その中の小さな進化から次の新たなイメージに繋がる事はよくあるので、そうやって手探りでも作りながら進んでいくしかないのかとは思います。
ただ、先日知人の方に、「それはスランプではなくて、新しいものができる前の良い時期なんじゃないですか、野口さんはその技術で何でもできるんだから」という言葉を頂いて、少し楽になりました。
どん詰まりだのスランプだの、人に言って言葉に出す程に自己暗示かけてるなとは思ってはいたのですが、立ち止まったまま時間を費しているとなかなか焦ってくるもので、ついネガティブになりがちでした。
少し時間をかけ、じっくり考えてみようかとも思います。
「何でもできる」と言って頂いたのは、今まで普通に絵画で描かれてきたモチーフやテーマでも、それを箔画で表現すれば新しいものになるだろう、という事なのかと思いました、がんばります。
また、先月取材頂いたフリーペーパー「temiru」が完成して先日頂く事ができました。
散らかり放題の仕事部屋もカッコよく写して頂き、箔画制作に必要な材料や、高画質で作品の画像も載せて頂き嬉しかったです。
しかし何より表紙の海の写真がイイ、これはtemiruの取材スタッフでありフォトグラファーの牧野和馬さんの作品で、毎回特集する作家のイメージに合わせて選ばれるそうなのですが、もうこのまま箔画にしたい位ぴったりでした。
醍醐中学での汗だくのワークショップの写真はやはり一人だけ水浴びしたかのようで笑えました(笑)
「temiru」は京都市中の全ての中学、高校、芸術系大学に配布されるので、色んな学生さんに見てもらえればなと思います。







(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。
野口琢郎
「Landscape#37」
2016年
箔画(Lacquer, Gold/Silver/Platinum foil, Charcoal, Resin on Wood panel)
65.2×53.0cm
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
◆野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
「5度目のKIAFに向けて、他」
今年もときの忘れものさんのブースより、ソウルでのアートフェア KIAF2016に出展させて頂きます、今回で私は5度目のKIAFとなります。
KIAFの会期は一般公開が10月13日~なので、このエッセイが掲載される15日にはすでにソウルにいて、フェアも終盤戦かと思います。
今年の出展作品には最新作はありませんが、大作含め近作ばかり4点を出展させて頂きます。
野口琢郎「Wish -Sound of the sky-」
185×102cm
2016年作
野口琢郎「I wish」
53×45.5cm (F10号)
2016年作
野口琢郎「Remembrance#B」
53×40.9cm (P10号)
2016年作
野口琢郎「Remembrance#C」
52×50cm
2016年作
「Wish -Sound of the sky-」は長いタイトルですが、空に舞う金の粒が「願い」であり、その願いの粒が、音楽が世界に響き渡るように空へ広がっていき、その光で海も輝いている、そういう風景を描いた作品です。
今年もソウルの方々の心に何かインパクトを残せればよいのですが、がんばります。
来月にでもまたレポートを書こうと思います。
ちなみに、最近作品制作の方が行き詰まり気味です。
行き詰まるなんて毎度の事で慣れているのですが、今度のは十年に一度の大きな台風のような感じでしょうか。
多分少し作り疲れもあるのかと思いますが、今まで自分が制作した作品に対して何か大きな物足りなさを感じていて、この数年はそれに気が付きながらも何とか捻り出して少しでも新しいものを作る事はできていたものの、ついに少し足を止めて考える時が来たようです。
何が足りないのか、色々あるのかと思うのですが、ではどうすれば納得できるのか、どんなものを作りたいのか、何とか今までの自分の作品に無かった真新しいものができないのかと、、その辺で日々もがいております。
ま、こうやって言葉にすると、モノ作りには当たり前にある葛藤ですね。
漆や金箔など材料費が高くつく為、とにかく手が動くままに作りまくる、という事は普段しないです。
スケッチブックに描きながら頭の中でイメージをある程度固めてから本番の箔の作業に入るのですが、こんな時は普段と違うやり方を試すのも大事なのかとは思います。
そして結局は今までの作品の延長線であっても、その中の小さな進化から次の新たなイメージに繋がる事はよくあるので、そうやって手探りでも作りながら進んでいくしかないのかとは思います。
ただ、先日知人の方に、「それはスランプではなくて、新しいものができる前の良い時期なんじゃないですか、野口さんはその技術で何でもできるんだから」という言葉を頂いて、少し楽になりました。
どん詰まりだのスランプだの、人に言って言葉に出す程に自己暗示かけてるなとは思ってはいたのですが、立ち止まったまま時間を費しているとなかなか焦ってくるもので、ついネガティブになりがちでした。
少し時間をかけ、じっくり考えてみようかとも思います。
「何でもできる」と言って頂いたのは、今まで普通に絵画で描かれてきたモチーフやテーマでも、それを箔画で表現すれば新しいものになるだろう、という事なのかと思いました、がんばります。
また、先月取材頂いたフリーペーパー「temiru」が完成して先日頂く事ができました。
散らかり放題の仕事部屋もカッコよく写して頂き、箔画制作に必要な材料や、高画質で作品の画像も載せて頂き嬉しかったです。
しかし何より表紙の海の写真がイイ、これはtemiruの取材スタッフでありフォトグラファーの牧野和馬さんの作品で、毎回特集する作家のイメージに合わせて選ばれるそうなのですが、もうこのまま箔画にしたい位ぴったりでした。
醍醐中学での汗だくのワークショップの写真はやはり一人だけ水浴びしたかのようで笑えました(笑)
「temiru」は京都市中の全ての中学、高校、芸術系大学に配布されるので、色んな学生さんに見てもらえればなと思います。







(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。
野口琢郎「Landscape#37」
2016年
箔画(Lacquer, Gold/Silver/Platinum foil, Charcoal, Resin on Wood panel)
65.2×53.0cm
サインあり
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
◆野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
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